Unity Toon ShaderとlilToonを選ぶときは、ゲームかアバターかだけで決めず、モデルの設定、Unityの版、描画パイプライン、必要な機能を先に確認します。
どちらも複数のパイプラインに対応していますが、すべての機能が同じ条件で使えるわけではありません。
この記事は2026年10月5日に取得したUnity公式文書とlilToon作者の文書・リリース情報に基づく比較で、実機での描画・移行・性能測定は行っていません。
比較する版と、対応条件の読み方
| 項目 | Unity Toon Shader(UTS3) | lilToon |
|---|---|---|
| 今回確認した版 | 0.15.1-preview | 公開リリース2.3.4 |
| Unityの条件 | package.jsonの要求は6000.0 | 作者の対応表は2022.3、2023.1~2023.3 |
| 文書上の描画対応 | Built-in・URP・HDRPで機能差あり | Built-in・LWRP・URP・HDRP |
| 版の扱い | プレビュー/実験的パッケージ | 確認時の最新公開リリースで、全環境の動作保証ではない |
| 先に確認すること | 必要機能とパイプライン別の可否 | モデル指定の版、サービスの条件、導入済み版 |
| ライセンスの表記 | コードはUnity Companion License | 本体はMIT、第三者素材は別の告知も確認 |
UTSの版とUnity要求は公式リポジトリのpackage.json、lilToonの2.3.4は作者の公開リリースで確認しています。
lilToonの公式「はじめに」に記載された動作確認環境は、Unity 2022.3.22f1、Built-in、URP 14.0.8、HDRP 14.0.8です。
同ページにUnity 6の記載がないことだけでは「必ず動かない」とは断定できませんが、こちらでUnity 6対応を検証済みと案内することもできません。
UTSのUnity 6000.0という要求も、以降のすべてのUnity版・端末・機能の組み合わせを保証するものではありません。
UTSはパイプライン名だけでなく機能を確認する
UTSは、ベース色と2段階の影色、境界の位置やぼかし、輪郭線を使ってセル調の見た目を調整するシェーダーです。
旧記事の「Toon (Tessellation)も各パイプラインで同じように使える」と読める説明は、公式のパイプライン別機能表に合わせて訂正します。
| 機能・条件 | Built-in | URPの3D | HDRP |
|---|---|---|---|
| テッセレーション | DX11/DX12/Vulkan/Metalの記載あり | 非対応 | DX11/DX12/Vulkan/Metalの記載あり |
| Stencil | 対応 | 対応 | 現時点で利用不可 |
| MatCap・Rim Light | 対応 | 対応 | 対応 |
| Deferred | 現時点で利用不可 | 現時点で利用不可 | 対応 |
これはUTS 0.15.1-previewの機能表の抜粋で、描画速度や品質を比較した結果ではありません。
Unity 6.3以降の「URP 3D as 2D」はさらに別の列で扱われ、MatCapやRim Lightなどは利用不可と記載されています。
URP対応という一語から2D Rendererでも全機能が使えると判断せず、必要な機能を該当列で確認してください。
基本設定の順番は公式Getting Startedにあるライト、マテリアル、基本色、影の境界、輪郭線を参考にし、テッセレーションを使わない通常設定と分けます。
モデルが設定済みなら、シェーダーを替える前に確認する
配布モデルがlilToonで設定済みなら、作者指定のシェーダーと版を確認して導入し、まず元の見た目を維持できるか確かめます。
lilToonの公式手順は、設定済みモデルではマテリアル作成以降の新規セットアップが不要と説明しています。
そのため、全モデルを詳細設定に変えたり、プリセットを当て直したりすることを最初の必須操作にはしません。
| 状況 | 先に確認する判断材料 |
|---|---|
| 設定済みモデルの色だけ変える | 指定シェーダーを維持し、簡易設定で必要な変更に絞る |
| 新規モデルやシェーダー移行 | 詳細設定でテクスチャ、透過、影、輪郭線を確認する |
| UTS2の素材を引き継ぐ | 元の保存版と変換ツールの条件を確認する |
| ゲームや映像に新規採用する | 必要機能、対象パイプライン、使用版、プレビュー採用可否を確認する |
| VRChat等へ持ち込む | シェーダー対応とは別に、そのサービス・対象端末・モデルの要件を確認する |
lilToonの不要機能を省く仕組みは作者が案内していますが、それだけでUTSより軽い、あるいはどのアバターでも軽いとは評価できません。
比較する場合は同じモデル・画角・ライト・透過やファー等の機能条件をそろえ、対象端末で見た目と負荷を確認する必要があります。
導入方法を混ぜず、使う版を記録する
UTSの公式導入手順はGitの準備、Package ManagerのAdd package by name、com.unity.toonshaderの追加を案内しています。
公式に掲載されている0.9.4-previewという指定例は古い版の入力例であり、今回確認した0.15.1-previewを選ぶ根拠とは別です。
プロジェクトを複製し、採用する版と依存パッケージを確認してから導入することで、元の環境へ戻せるようにします。
lilToonはunitypackage、VCC・ALCOM、Package Managerのうち一つの導入経路を使うよう作者が案内しています。
既に導入されている場合はその経路と版を確認し、別経路のファイルを重ねて入れることから始めないでください。
作者READMEに掲載されているUPM用URLは次のとおりです。
https://github.com/lilxyzw/lilToon.git?path=Assets/lilToon#masterこのURLのmasterは固定リリース番号ではなく、取得時点のブランチを参照するため、同じURLでも将来同じ内容になるとは限りません。
VCC・ALCOMへ登録するリポジトリURLは次のとおりで、Git URLとは用途が違います。
https://lilxyzw.github.io/vpm-repos/vpm.json導入後は実際に入った版を記録し、Unity Console、元のマテリアル、対象パイプラインでの表示を確認してから本番の素材へ適用します。
UTS2からの移行と、配布時に残すもの
UTS2の設定例はユニティちゃんトゥーンシェーダーの既存解説に残し、この比較記事では移行判断の条件を扱います。
UTSのMaterial Converter公式手順では、2.0.6より古いUTS2で保存したマテリアルを、先に2.0.7以降で保存し直すよう案内しています。
変換はWindow → Rendering → Unity Toon Shader Converterから対象のパイプラインとシェーダーを選び、Scan後にConvertへ進む流れです。
公式が変換を元に戻せない操作と明記しているため、元プロジェクトのバックアップを用意し、失敗時は変換前のコピーへ戻す前提にします。
このツールでlilToonとの相互変換までできるとは案内されておらず、シェーダーを変更するだけで影・輪郭線・透過設定が完全に移るとも限りません。
配布時はUTSの公式リポジトリにあるコードのライセンスとUnity-chanサンプルのライセンスを分けて確認します。
lilToonも本体のMIT表記だけで同梱素材の条件を一括判断せず、作者が案内するThird Party Noticesを確認します。
作者はモデルとシェーダー本体を一つのunitypackageにまとめると古い版で上書きする可能性があるため非推奨とし、VRChat向けではVCCからの導入案内を勧めています。
選んだ後は、小さな検証用コピーで確認する
最初はモデル一体と必要なマテリアルだけで、影、輪郭線、透過、照明の変化を確認し、必要な機能が動くかを判断します。
自分の環境はURP・HDRP・Built-inの違いで整理できます。
ピンク表示はパイプライン不一致だけが原因とは限らないため、マテリアルがピンクになる原因と確認方法とConsoleのエラーを合わせて確認してください。
用途名だけで優劣を決めず、元モデルの設定を保てること、採用版の条件を満たすこと、必要機能が対象環境で使えることを選定基準にします。
