After Effectsのレンダリング時間を比べるには、同じコンポジション・範囲・出力形式で複数回測り、キャッシュと同時実行アプリの条件を記録します。
他のPCの結果を使う場合も、測定条件が自分の作業に近いか確認してください。
After Effectsの処理時間は、プロジェクトの中身で大きく変わるためです。
同じPCでも、パーティクルを多用したコンポと、テキストを動かすだけのコンポでは、ボトルネックになる場所がまったく違います。
だから、自分のプロジェクトで測るのが一番確実です。
この記事では、正しい測り方と、どこが足を引っ張っているかを切り分ける手順をまとめます。
測る前に、「レンダリング設定」で条件をそろえます。
この画面では、画質は「最高」、解像度は「フル画質」、サイズは1280×720、フレームレートは25、時間範囲は「ワークエリアのみ」(0:00:00:00〜0:00:04:24、5秒)でした。

速くする設定(マルチフレームレンダリング・GPU・品質)はAfter Effectsのレンダリング設定まとめに並べています。
同じ条件を3回測り、中央値で比べる
練習用にプロジェクトを別名保存し、同じ3秒の範囲、解像度、fps、出力形式、保存先を固定します。
使用したAE版とプラグインも記録します。
練習ZIPのtrial-log.csvに条件A・Bを各3回書けます。
繰り返し処理を測るなら、条件A・Bで同じ準備のプレビューをしてから各3回測ります。
初回処理を測るならキャッシュを消した測定を別の組として記録し、前者と混ぜません。
出力フォルダーは試行ごとに分けます。
計算の例として、条件Aが12・10・11秒なら中央値は11秒、条件Bが9・8・10秒なら9秒です。
短縮率は(11−9)÷11×100で約18.2%です。
これは計算用の架空値で、AEで実測した改善率ではありません。
PNGとWAVを分けて出す手順なら、最終MP4へのエンコードも含む合計時間を別に測ります。
レンダーキューの時間だけと、受け渡しを含む全体の時間を比較しないようにします。
結果が揃わないときは処理範囲、キャッシュ状態、常駐アプリ、出力先の競合を先に見直します。
作業後は変更した設定と出力先を戻し、元のプロジェクトを開きます。
消去したキャッシュは元に戻すのではなく再生成されます。
キャッシュの仕様とMFRの説明を2026年10月3日に照合しました。
同じ設定での3回書き出しを、次の節で実測しています。
キャッシュ消去あり・なしの比較や、PCの部品変更による効果測定は未実施です。
| 確認すること | 期待する結果 | 違ったとき |
|---|---|---|
| 条件 | 同じ範囲・fps・形式・キャッシュ状態 | 変えた項目が複数ないか確認 |
| 結果 | 各3回の秒数と中央値を記録 | 差がぶれるなら他の負荷を確認 |
| 戻し方 | 元の設定とプロジェクトに戻る | 消去したキャッシュは再生成を待つ |
Windowsで同じ条件を3回書き出す
2026年10月14日にWindows 11 Pro(10.0.26200)、After Effects 26.5×89(Build 89、日本語)で測定しました。
CPUはRyzen 5 7530U(6コア・12スレッド)、メモリは搭載16GB(OS取得値約15.4GiB)、GPUはAMD Radeon Graphicsです。
これはこのPCでの記録例で、機種間の性能比較ではありません。
入力は自作のTiming_3sコンポ(640×360、30fps、3秒、8bpc)です。
暗い平面の上に100×100のオレンジ色の平面を置き、位置を0秒の[100,180]から3秒の[540,180]へ動かしました。
追加エフェクト、音声、外部素材は使っていません。
レンダリング設定は「最良設定」、範囲は0秒から3秒、出力モジュールは「H.264 – レンダリング設定を一致 – 15 Mbps」です。
同じコンポを1回ずつキューへ追加し、Cドライブ内のtrial1・trial2・trial3という別フォルダーへ出力しました。
下の画面の先頭1行は実行しない準備項目で、完了した2〜4行が3回の測定です。
キャッシュは測定前・試行間とも消去せず、AEを再起動していません。
ブラウザや記録用アプリも開いたままです。
キャッシュ内の全フレームの状態と他プロセスの負荷は統制していないため、厳密な初回処理・再処理の比較には使えません。
| 試行 | キューの表示時間 | スクリプトで計時した呼び出し時間 |
|---|---|---|
| 1回目 | 2秒 | 2.188秒 |
| 2回目 | 2秒 | 2.131秒 |
| 3回目 | 3秒 | 2.252秒 |
| 中央値 | 2秒 | 2.188秒 |

呼び出し時間は、AEスクリプトでレンダーキューのrender()実行直前と終了直後の時刻差を記録したものです。
AEがキューに表示する整数秒とは同じ指標ではありません。
今回、呼び出し時間は2.131〜2.252秒でしたが、キュー表示は2〜3秒となりました。
短い処理では表示単位の影響が大きいため、表示値だけから「3回目は50%遅い」とは判断しません。
1回目の出力完了後、記録補助スクリプトのログ処理でエラーが出ました。
出力と計時値は残っていたため、ログ処理を直して2回目から続けています。
3回とも完了し、ffprobeで各MP4がH.264、640×360、30fps、90フレーム、3秒であることを確認しました。
この例は測定値の残し方を示すもので、高速化の実証ではありません。
処理時間の差を比較したい場合は、同じ準備手順と負荷条件をそろえ、十分な長さの代表的なコンポで測り直してください。
MFRのオン・オフ、キャッシュの消去有無、ハードウェア変更の効果は今回測っていません。
AdobeのMFRの説明では、CPUコア数だけでなくRAM・GPU・エフェクト・プロジェクトの種類も処理性能に関係すると説明しています。
キャッシュの説明と合わせ、2026年10月14日に確認しました。
他サイトのベンチマークと比較するときの確認点
- テストに使うプロジェクトが違う。
3D主体か合成主体かで、効くパーツが変わります - プラグインの構成が違う。
マルチフレームレンダリング非対応のプラグインが1つ入るだけで、結果は変わります - キャッシュの状態が書かれていない。
キャッシュの再利用で時間が変わることがあるため、消去の有無をそろえます - 素材の置き場所が違う。
外付けドライブか内蔵かで読み込み速度が変わります
参考にするなら「傾向」までにとどめて、判断は自分の環境で測った数字で行ってください。
正しい測り方:4つのルール
① 冷えた状態とキャッシュがある状態を分けて測る
比較する2条件で、キャッシュの扱いをそろえることが大切です。
初回処理を調べる測定と、繰り返し作業を調べる測定は別に記録します。
2回目以降が速くなる場合は、キャッシュを使う実際の作業を測っている可能性があります。
毎回消す方法だけでなく、同じ準備をした状態同士でも比較します。
冷えた状態を調べるときだけ、「編集」→「キャッシュの消去」の対象を確認してから測ります。
消したキャッシュは再計算されるため、次のプレビューが遅くなることがあります。
Adobeの現行資料はWindows・macOSともキャッシュの消去をEdit(編集)→Purgeとして説明しています。
環境設定のメニューとは区別します。
② 変える条件は1つだけにする
メモリを増設したなら、それ以外は変えないでください。
同時に解像度も変えると、どちらが効いたのか分からなくなります。
③ 3回測って中央の値を採る
1回だけでは、バックグラウンドの処理に引っ張られることがあります。
3回の値を小さい順に並べ、真ん中を中央値として記録します。
中央値だけでなく最小値・最大値も残すと、試行間のばらつきを確認できます。
④ 同時実行するアプリと負荷をそろえる
ブラウザやチャットアプリなど、同時に動かしていたアプリを記録します。
専用の性能測定なら不要な処理を止め、普段の作業を再現するなら同じ併用条件で測ります。
特にメモリが不足気味の環境では、これだけで結果が変わります。
レンダーキューで、5秒の撮影用サンプルを書き出した結果です。
ステータスは「完了」、レンダリング時間は3秒、出力モジュールは「H.264 – レンダリング設定を一致 – 15 Mbps」でした。

この3秒は、撮影したPC1台で、1回測った値です。
比べるときは、同じ条件で3回測って、中央値を使ってください。
何を測るか:3つの指標
| 指標 | 測り方 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 書き出し時間 | レンダーキューに表示される経過時間 | そのプロジェクトと出力条件での所要時間 |
| プレビューの連続再生時間 | 範囲・ループ・fpsを固定して再生状況を記録 | その解像度でキャッシュ再生できる範囲。必要メモリ量の判断には警告や使用状況も確認 |
| プレビューの戻り時間 | 一度見たフレームの再生開始までの時間 | キャッシュ再利用時の応答。ストレージ速度だけの測定ではない |
意外と見落とされるのが2つ目です。
書き出しは夜間に回せますが、プレビューが止まると作業そのものが止まります。
AE 25.2以降はディスクキャッシュからもプレビューします。
再生秒数はRAMだけの指標ではありません。
範囲・ループ・スキップ・再生fpsとキャッシュ設定をそろえ、止まる原因やコマ落ちも記録してください。
ボトルネックを切り分ける手順
測った結果が遅かったとき、原因を特定する順番です。
手順1:メモリが足りているか確認する
レンダリング中に、Windowsならタスクマネージャー、macOSならアクティビティモニタでメモリ使用量を見ます。
空きメモリが少ない状態に加え、メモリの警告やスワップ、プレビューの挙動を確認します。
使用率だけで必要な増設量を決めません。
必要量を「CPUコア数×4GB+20GB」で固定する根拠は確認できていません。
構成の確認項目はAfter Effectsに必要なPCスペックにまとめました。
コア数だけで増設量を決めず、コンポジション、素材、同時処理と実際の使用量を確認してください。
手順2:マルチフレームレンダリングが効いているか確認する
レンダリング中のCPU使用率を見てください。
CPU使用率だけではマルチフレームレンダリングが働いていないと断定できません。
設定、レンダー中のフレーム数、非対応エフェクトの警告と、同じ条件での所要時間を合わせて見ます。
環境設定はWindowsでは「編集」→「環境設定」、macOSでは「After Effects」→「設定」から開きます。
Adobeの現行環境設定ガイドでは、Memory & CPU(メモリとCPU)のCPU欄にあるEnable Multi-Frame RenderingがMFRの設定です。
2026年10月26日に公式資料を確認した案内で、今回日本語画面で設定変更やオン・オフ比較を実行したものではありません。
ここが有効なのにコアが動かない場合は、次の原因が考えられます。
- メモリ不足:利用可能なRAMとコンポジションの必要量によって同時に扱えるフレーム数が変わります。
- 非対応プラグイン:黄色いMFR警告と処理時間を確認します。コンポジション全体のMFR設定が無効かどうかとは区別します。
- 処理の性質:処理間の依存関係や使用するエフェクトによって、同時処理の効果が異なります。
プラグインごとの傾向はプラグイン別・要求スペックで解説しています。
手順3:ストレージが足を引っ張っていないか確認する
プレビューの戻りが遅い場合、ディスクキャッシュの読み書きが原因のことがあります。
キャッシュの保存先、空き容量、読み書きの競合を確認します。
OSと同じSSDというだけでは、遅い原因と判定できません。
Adobeの現行環境設定ガイドでは、DiskパネルのDisk cache欄にあるChoose Folderでキャッシュの保存先を選びます。
旧版の「メディア&ディスクキャッシュ」と項目名が異なる場合は、使用版のガイドでDisk Cacheと保存先の設定を確認してください。
Adobeは高速なキャッシュ用ストレージを推奨しています。
ただし、別SSDなら必ず速くなるとは限りません。
空き容量や読み書きの負荷を測り、保存先だけを変えた比較で判断します。
手順4:GPUが使われているか確認する
GPU依存型のプラグインを使っているのにGPU使用率が上がらない場合、設定を確認してください。
GPU対応は使用するレンダラーやエフェクト、出力設定によって異なります。
GPU使用率が低いことだけで、正常・異常やGPUの不足を判断できません。
使っている処理がGPU対応か、書き出し時間やほかの負荷と合わせて確認します。
記録用のテンプレート
測った結果は、次の項目とセットで残しておくと後で比較できます。
| 記録する項目 | 例 |
|---|---|
| 測定日 | 2026年9月3日 |
| CPU / メモリ / GPU | Ryzen 7 5700X / 64GB / RTX 5070 |
| キャッシュの保存先 | 別ドライブ(NVMe SSD 2TB) |
| プロジェクト名と尺 | 案件A オープニング/15秒 |
| 解像度 | 1920×1080 |
| 使用プラグイン | (あれば記載) |
| 書き出し時間 | 3回測って中央値 |
| プレビュー再生状況 | 範囲・ループ・fps・キャッシュ設定と連続再生時間 |
| 変更点 | メモリを32GB→64GBに増設 |
「変更点」の欄が重要です。
何を変えたときに何秒縮んだかが残っていれば、次の投資判断の材料になります。
測った結果、遅かったときの改善順
- メモリの警告やスワップがあるなら、プレビュー解像度と同時処理を下げて原因を確認し、必要量を検討します。
- 読み書きが詰まっているなら、空き容量と保存先の負荷を確認します。保存先だけを変えて改善するか比較します。
- 非対応プラグインを見直す。
代替があるなら、マルチフレームレンダリング対応のものへ - CPUやGPUの変更は、対象の処理で不足している根拠を確認してから検討します。
メモリやストレージを変更すれば解決するとは限りません。
実際に遅い工程と、そのときの負荷を確認してから変更を試します。
固定の購入順を決めるより、自分のプロジェクトで遅い処理を確認するほうが判断しやすくなります。
メモリを増やす
キャッシュ用のSSDを足す
周辺機器を用途別に判断する確認点は作業が速くなる周辺機器にまとめています。
レンダリングや書き出しを速くする方法は、ほかにも書いています。




まとめ
レンダリング時間は、プロジェクトの中身で大きく変わります。
他人の数字ではなく、自分の環境で測るのが確実です。
- 初回処理と繰り返し処理を分け、比較する条件のキャッシュ状態をそろえる
- 変える条件は1つだけ
- 書き出し時間だけでなくプレビューの再生状況も条件をそろえて測る
- 改善対象は測った原因から選び、変更を1つずつ試す
買い替えを検討する段階なら、After Effects向けPC比較で予算とメモリから絞り込めます。
掲載商品は旧稿からの紹介例です。
現行価格・在庫・型番別仕様は今回再照合していません。
2026年10月23日に本文を確認しました。
掲載実測は2026年10月14日などの記録で、今回再測定した結果ではありません。
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制作PCの構成を比較するガイド
PCを見積もる際は、メモリと保存先、GPUを一括りにせず、普段の制作で不足する条件を整理します。
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