Blenderの新機能を、バージョンごとに並べました。
対象は2023年11月の4.0から2026年7月の5.2 LTSまで、9バージョンです。
リリース日と内容は、Blender公式サイトのリリースノートに記載のものです。
新しいバージョンから順に並べています。
長期サポート版(LTS)は5.2 LTSと4.5 LTS、4.2 LTSの3つです。
Blender 5.2 LTS(2026年7月14日)
ノードベースの物理演算が入った回です。
布と髪のシミュレーションが、ジオメトリノードの中で組めるようになりました。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| XPBD Solverノード | ノードベースの物理演算の中核。既定のノードグループを編集したり、一から組んだりできる |
| Cloth Dynamics | 任意のメッシュに布の挙動を付けられる。ピン留め・破れ・伸び・曲がりを設定できる |
| Hair Dynamics | 髪の物理演算。付着させる表面オブジェクトが要る |
| エフェクター | コライダー・力・カスタムの3種類。タグで対象のジオメトリを絞り込める |
| Mesh Bevelノード | エッジや頂点のベベルを手続き的に扱える |
| Sample Sound Frequenciesノード | 読み込んだ音声にノードを反応させられる。Soundソケットが追加された |
| Get/Set Geometry Bundleノード | バンドルをジオメトリに付けて、モディファイアやオブジェクトをまたいでデータを運べる |
| リスト型 | 任意の長さのデータ列を扱える。Filter List・Sort List・Get List Itemなどが追加された |
| 属性まわりのノード | Rename Attribute、Get Attribute Names、Transfer Attributesが追加。属性を4次元ベクトルで保存できる |
| 文字列フィールド | ジオメトリノードが文字列フィールドに対応。Trim Stringノードが追加された |
Blender 5.1(2026年3月17日)
速度と安定性に寄せた回です。
アニメーション再生が目に見えて速くなっています。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| Raycastノード(シェーダー) | シーンのジオメトリにレイを飛ばせる。CyclesとEEVEEの両方で使える。EEVEEはスクリーンスペースの範囲に限られる |
| EEVEEの起動短縮 | GPUパイプラインを並列で事前コンパイルし、マテリアルのコンパイルが速くなった |
| EEVEEのメモリ削減 | フレーム内でフレームバッファとレンダーテクスチャを重ねて使い、テクスチャメモリを節約する |
| アニメーション再生の高速化 | シェイプキーの評価が大きく改善した。公式の計測では24スレッドで39.2fpsから158.7fpsになっている |
| アクションの評価が高速化 | ボーンを多数キー付けしたアーマチュアで効く |
| Smooth (Gaussian) | Fカーブのノイズを非破壊で減らすモディファイア |
| サブフレーム表示 | 再生ヘッドに小数のフレーム値が出る |
| 補間線の色分け | ドープシートでキー間の補間タイプが色で分かる |
| Apply to Basis | 選択したシェイプキーの変形をBasisに適用して削除する |
| USDの改善 | UsdPreviewSurfaceが透過・半透明に対応。UVをインデックス付きで書き出す |
| AVIF対応 | AV1 Image File Formatを読み書きできる。OpenEXRにHTJ2Kの可逆圧縮が追加された |
| 動画のCRF指定 | 品質をCustomにしてffmpegのCRF値を直接指定できる |
この回でも「Winter of Quality」として350件以上の不具合が修正されています。
Blender 5.0(2025年11月18日)
カラーマネジメントが作り直されました。
HDRやACESのパイプラインに関わる人は、この回が分かれ目になります。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| HDR・広色域対応 | 画像と動画の両方で、HDRと広色域の表示・書き出しができる |
| ACES 1.3/2.0ビュー | AgXやFilmicの代わりに選べる。ACESパイプラインとの互換のため |
| Rec.2100-PQ/HLGディスプレイ | HDR動画向けのカラーグレーディングに使える |
| ワーキングカラースペース | ファイルごとにLinear Rec.2020やACEScgを指定できる |
| Sky Textureの多重散乱 | より現実に近い空になった。従来のNishitaモデルは「Single Scattering」として残っている |
| Radial Tilingノード | 放射状のタイリングや角丸の形状を作る土台になる |
| マルチレゾベイクの改善 | ベクターディスプレイスメントとn-gonに対応。焼き先の画像を選べる |
| シェーダーのRepeatゾーン | ジオメトリノードと同じ繰り返しがシェーダーでも使える。EEVEEは回数を動的に変えられる |
| 不偏なボリュームレンダリング | Cyclesの既定になった。ステップサイズや最大ステップ数の設定が要らなくなった |
| SSSの多重バウンス | ランダムウォークSSSが暗くなる問題を軽減する。レンダリング時間は増える |
| 金属の薄膜干渉 | 4.2 LTSで入った薄膜干渉が金属にも効くようになった |
| Adaptive Subdivision | 実験機能ではなくなり、常に使える。Object Spaceオプションが追加された |
Blender 4.5 LTS(2025年7月15日)
VulkanバックエンドがOpenGLと同等になった回です。
既定では無効なので、環境設定から切り替えます。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| Vulkanバックエンドの正式対応 | WindowsとLinuxで、環境設定→システムから有効にできる。ドライバの更新が前提になる |
| ジオメトリノードでファイル読み込み | OBJ・CSV・STL・VDB・PLY・テキストを読み込める。ノードエディタへのドラッグ&ドロップに対応 |
| Format Stringノード | 連番ファイルの読み込みを柔軟に組める |
| Set Mesh Normalノード | カスタム法線をジオメトリノードで編集できる。従来のTangent Spaceに加えて高速なFree形式が使える |
| グリースペンシル用ノード | 色・深度・柔らかさを設定するノードが追加され、専用のサブメニューにまとまった |
| ノードツールのパネル対応 | 折りたためるパネルで整理できる。「最後の操作を調整」パネルで属性を検索できる |
| 新ノード | Camera Info、Instance Bounds、Match String、Bit Math、Field Average/Variance/Min & Max |
| 属性変換の高速化 | 面から頂点へのドメイン補間が最大7倍、面コーナーとカスタム法線が2倍 |
Blender 4.4(2025年3月18日)
アニメーションの持ち方が変わった回です。
動画編集まわりの改善も多く入っています。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| Action Slots | 1つのアクションを複数のデータブロックで共有できる。オブジェクトの位置とマテリアルの変化を1つにまとめられる |
| Winter of Quality | 冬の期間に700件以上の不具合が修正された。グリースペンシル147件、ユーザーインターフェース119件など |
| テキストストリップの編集 | プレビュー上でTabキーを押してその場で文字を打てる |
| 複数行テキストの揃え | 左・右・中央で揃えられる |
| H.265/HEVC書き出し | 対応コーデックが増えた。10bitと12bitにも対応した(H.264は10bit、H.265とAV1は12bitまで) |
| BT.709で書き出し | 色空間が未指定だったために起きていた再生時の食い違いが解消された |
| シーケンサーの高速化 | プロキシ生成が速くなり、Curves・Hue Correct・ホワイトバランスが1.5〜2倍になった |
| ポーズアセットの刷新 | ポーズライブラリの使い勝手が見直された |
| ポール数で選択 | Select by Traitで3ポールや5ポールの頂点をまとめて選べる |
Blender 4.3(2024年11月19日)
EEVEEがCyclesと機能的に並んだ回です。
ジオメトリノードの追加も多いです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| EEVEEのライトリンク | 特定のオブジェクトだけを照らすライトをEEVEEでも設定できる。シャドウリンクも同様 |
| Metallic BSDFノード | 金属の設定を1つのノードにまとめた。F82 TintとConductor Fresnelの2方式がある(EEVEEはF82 Tintのみ) |
| Gabor Noiseテクスチャ | 方向と幅を制御できる帯状のノイズを作れる |
| EEVEEのパスをコンポジターで使える | ビューポート内でマルチパス合成ができる。F12を待たずにNPRの調整ができる |
| Minimum Stretch(SLIM) | UV展開の新方式。有機的な形状で歪みが少ない結果になる |
| For Each Elementゾーン | ジオメトリの要素ごとの繰り返しを並列で処理できる |
| ノードグループのギズモ | ビューポート上で直接ノードの入力を編集できる |
| Set Geometry Nameノード | ジオメトリに名前を付けられる |
| ブラシのアセット化 | ブラシがアセットとして扱われるようになった |
| ポータブルインストール | 環境変数や拡張機能の同梱に対応し、スタジオへの導入がしやすくなった |
Blender 4.2 LTS(2024年7月16日)
EEVEEが一から書き直された回です。
既存のファイルは自動で変換されますが、調整が必要な場合があります。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 新しいEEVEE | 全面的な作り直し。スクリーンスペースの大域照明、ディスプレイスメント、SSSの改善、ビューポートでのモーションブラーに対応した |
| World由来のサンライト | World環境から強い光を自動で抽出し、太陽光として扱って影を落とす |
| 仮想シャドウマップ | ライト数とBSDF数の上限がなくなった |
| Ray Portal BSDF | レイを別の位置へ飛ばせる。ポータル表現やカメラ映像の再現に使える |
| 薄膜干渉 | Principled BSDFが物理的に正しい薄膜干渉を扱える(この時点では誘電体のみ) |
| ブルーノイズサンプリング | 新規ファイルの既定になった。サンプル数が少ないときの見え方が良くなる |
| ボリュームのライトサンプリング | スポットライトやエリアライトでノイズが減った |
| OpenImageDenoise 2.3 | デノイズの品質が上がった |
| Extensions | アドオンとテーマが統合され、Blenderの中から更新できる。extensions.blender.org からドラッグ&ドロップで入れられる |
Blender 4.1(2024年3月26日)
大きな新機能というより、細かい改善と高速化が広く入った回です。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| ジオメトリノードのベイク | ノードグループの中でデータを保存・読み込みできる。静止フレームとアニメーションの両方に対応 |
| Menu Switchノード | 独自のプルダウンメニューを作れる。モディファイア側にドロップダウンとして出る |
| Index Switchノード | インデックスの値で入力を切り替える。通る入力だけが計算される |
| Musgraveの統合 | Musgraveテクスチャが廃止され、Noise Textureに機能が移った |
| Smooth by Angleモディファイア | メッシュのAuto Smoothの置き換え。ノードグループのアセットとして提供される |
| GPUデノイズ | OpenImageDenoiseがGPUで動くようになり、ビューポートでも高品質なデノイズが使える |
| ビューポートコンポジターの拡充 | Cryptomatte、Defocus、Vector Blur、Keying Screenに対応した |
| Kuwaharaノードの改善 | サイズ入力と高精度オプションが追加された |
| Splitノード | Split Viewerの置き換え |
| ノードの高速化 | Extrude Meshが6倍以上、Edges to Face Groupsが7倍以上になった |
Blender 4.0(2023年11月14日)
マテリアルと色の扱いが変わった回です。
3.6以前のファイルは見た目が変わることがあります。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| Principled BSDFの刷新 | エネルギー保存が改善され、レイヤーの順序が見直された。Coat(クリアコート)とSheenが独立した層になった |
| Coat層 | すべての層の上に載る。ガラス越しの発光表現や、色付きの車体コーティングに使える |
| Sheen層 | 新しいマイクロファイバーのモデル。布だけでなく、表面のほこりの表現にも使える |
| Principled BSDFの入力追加 | 異方性のあるGlossy BSDF、Subsurface Scale、Specular Tint、IOR Level、金属のエッジ色付け |
| AgX | 新しいビュートランスフォーム。露出オーバーの領域の扱いがFilmicより良い |
| Voronoi Textureのフラクタル | Detail・Roughness・Lacunarityの入力が追加され、1つのテクスチャで細部を作れる |
| ライトリンク・シャドウリンク | Cyclesで、特定のオブジェクトだけを照らすライトを設定できる。アウトライナーからドラッグ&ドロップで設定する |
| パスガイディングの拡張 | 光沢面にも効くようになり、ノイズが減った |
| Node Tools | ジオメトリノードを通常のオペレーターとして実行できる |
| Metalハードウェアレイトレーシング | macOSで対応した |
どのバージョンを使うか
2026年9月時点で最新のLTSは5.2 LTSです。
LTSは2年間の修正が入るため、途中でバージョンを上げたくない案件ではこちらを選びます。
4.5 LTSもサポート期間が残っているので、5.0のカラーマネジメント刷新を避けたい場合は4.5 LTSに留まる選択もあります。
ACESやHDRを扱わないなら、5.0以降で色の扱いが変わる影響はほとんどありません。
なお5.2 LTSのノードベース物理演算は、既存のクロスシミュレーションを置き換えるものではありません。
ジオメトリノードの中で組む新しい方法として追加されたものです。
個別の使い方は3DCGの使い方まとめにあります。
この記事は2026年9月8日に、Blender公式サイトのリリースノート(blender.org)の記載で確認して書いています。
