EffectCraftは、コンポジションとレイヤーを組み合わせてアニメーションや合成を作る無料アプリです。キーフレーム、エクスプレッション、多数のエフェクトを掲載していますが、AEP/AEPXを直接開けず、After Effects用プラグインもそのまま使えません。新しい作品を作る用途と、既存案件を引き継ぐ用途で評価を分けます。
確認日:2026年10月21日。EffectCraft v0.13.0の公開資料を基準に比較しています。実機での再現・速度測定は含みません。表の「掲載」は公式資料に記載があることを示し、同名機能の処理結果や安定性まで一致するという意味ではありません。
最初に押さえたい違い
| 比較する点 | After Effects | EffectCraft |
|---|---|---|
| 主な用途 | モーショングラフィックス、合成、VFX | 同種の制作。開発段階はalpha |
| 費用 | 有料サブスクリプション | アプリは無料 |
| 既存プロジェクト | AEP/AEPXを編集 | 独自のECPROJ形式。AEP/AEPX直接読み込みなし |
| 選ぶ際の分かれ目 | 既存案件・テンプレート・プラグイン | 新規のモーション、式や自動化の試用 |
詳細な機能と制約の出典:EffectCraftの機能説明、既知の差分、機能別の評価。
機能を細かく比較
| 機能・作業 | After Effects | EffectCraft |
|---|---|---|
| コンポジション・レイヤー | プリコンポーズ、親子関係、調整等 | ネスト、ヌル、親子、調整、トラックマット等を掲載 |
| キーフレーム | ベジェ、イージーイーズ、グラフ等 | 同種の補間と値/速度グラフを掲載 |
| シェイプ・マスク | パス、リピーター、マスク操作等 | パスのトリミング、反復、マージ、フェザー等を掲載 |
| 文字アニメーション | テキストアニメーター、セレクター等 | 文字・段落、範囲セレクター付きアニメーターを掲載 |
| エクスプレッション | JavaScriptベースの式とプロパティ参照 | wiggle、loopOut、レイヤー参照などを掲載。全挙動の一致は未保証 |
| エフェクト | 内蔵効果と外部プラグイン | 当該READMEに306効果を掲載。同名効果の描画一致とは別 |
| ロト・顔追跡 | ロトブラシ、トラッキング等 | 任意のMobileSAM・MediaPipeモデルを使う機能を掲載。AEとの品質差は未測定 |
| パペット | メッシュ変形・ピン操作 | 位置、曲げ、重なり等のピンを掲載 |
| 3D | カメラ、ライト、3Dレンダラー等 | 3Dレイヤー、カメラ、ライト、影を掲載。素材・モデル・操作に差 |
| 透過・連番出力 | ProRes 4444、画像連番等 | ProResのアルファ、PNG/TIFF/EXR連番等を掲載 |
| Lottie | 外部拡張などのワークフロー | Lottieの読み書きを掲載。表現できない機能は変換制限 |
| テンプレート | FFX、MOGRT等 | 独自プリセット/テンプレート。FFX・MOGRT互換に不足 |
| 外部プラグイン | After Effects SDK用の拡張環境 | AEプラグインをホストしない |
| Premiere連携・自動化 | Dynamic Link、スクリプト等 | CLI・MCPと独自の操作環境。Dynamic Linkの置き換えではない |
AEPとテンプレートはそのまま移せない
EffectCraftの公式READMEには、AEP/AEPXを直接読み込めないことが明記されています。既存のAfter Effects案件を開いて続きから作業する用途では、この制約が最初の障壁になります。
アニメーションプリセットやテンプレートも別です。EffectCraftの独自形式があっても、After EffectsのFFXやPremiere向けMOGRTと同じデータとして扱えるとは限りません。納品でAEPやMOGRTが必要なら、完成動画を出せるだけでは要件を満たしません。
映像だけを受け渡すなら、アルファ付き動画や画像連番で渡す方法があります。ただし、その場合は文字やエフェクトのパラメーターを後から相手が自由に変更できる状態にはなりません。
エフェクト数と再現性を分けて比較する
EffectCraftの紹介ページには259エフェクト、今回の基準バージョンのREADMEには306エフェクトと記載されています。更新時点が異なるため、本記事では後者を資料上の件数として扱います。件数が多いことは、After Effectsの各効果が同じ画を出す証拠ではありません。
公式の差分資料では、効果の計算、カラー処理、プレビュー、形状やマスクなどの挙動差が挙げられています。たとえばグローの広がり、ブラーの端、粒子の動き、32bit画像の明部などは、同じ名称や数値でも比較が必要です。
エクスプレッションにはwiggleやloopOutなどが掲載されていますが、既存の式やスクリプトの全互換を保証していません。実際に使う式を短いコンポジションへ入れ、複数のフレームで値と画像を比べます。
ロトブラシ・3D・日本語テキスト
EffectCraftには追加モデルを利用するロトブラシや顔追跡があり、モデルの導入条件が記載されています。一方、After Effectsとの品質比較は未実施とされています。毛髪、半透明部分、素早い動き、遮蔽を含む映像で、輪郭だけでなく時間方向のちらつきも確認します。
3Dではレイヤー、カメラ、ライト、影などを掲載しています。ただし、読み込む3D形式、マテリアル、アニメーション、反射、操作用ハンドルなどの範囲は異なります。After EffectsのAdvanced 3DやCinema 4D連携の代替として一括りにはできません。
日本語のテロップは、入力、フォント、行間、句読点、複数行の揃え、文字アニメーターの単位を確認します。画面の日本語化と、最終映像の日本語組版は別の項目です。
プラグインとPremiere連携の差
After Effects用のTrapcode、Element 3D、Saberなどを使う案件は、EffectCraftへプラグインごと移せません。似た内蔵効果があっても、その案件を同じ見た目で再現するには組み直しが必要になります。
AdobeのAfter Effectsヘルプでは、Dynamic Link、サードパーティプラグイン、Cinema 4Dとの連携が案内されています。EffectCraftのMCPは編集操作の自動化に使う仕組みで、これらの連携やプラグイン互換の代わりにはなりません。
透過書き出しとLottieの確認
EffectCraftはProResのアルファ出力や、PNG・TIFF・32bit EXRなどの連番を書き出し対象に挙げています。背景を透過したい場合は、アルファを保持するコーデックや形式を選び、黒・白など別の背景に重ねて縁を確認します。H.264のMP4というだけでは透過納品になりません。
Lottieは読み書きを掲載していますが、すべての映像効果や3D表現を表現できる形式ではありません。書き出し時の未対応項目を確認し、実際に埋め込むWebページやアプリのプレーヤーでも再生結果を比べます。
料金・対応環境・導入方法
EffectCraftは無料で配布されているオープンソースアプリです。Windows・macOS・Linux向けの配布があり、WebAssembly版も案内されています。ただし、ブラウザー版の配布物と、すぐ使える公開Webサービスは別です。CPUの種類に合う配布物と、各リリースの注意事項を確認してください。
EffectCraft公式ダウンロードからランチャーまたは単体版を選べます。紹介ページとGitHubでバージョンが違う場合があるため、本記事の基準はv0.13.0のリリースです。
Adobe側は有料のサブスクリプションです。単体、写真向け、複数アプリ、学生・法人向けで条件が違うため、Adobe公式のプランと価格で契約期間と支払い方法をそろえて比較してください。
アプリの無料配布には、Adobe Fonts、Adobe Stock、有料プラグイン、外部AIサービスの利用権は含まれません。ソフトウェアのライセンスと、使用するフォント・素材・追加モデルの条件は別に確認します。
移行前に自分のデータで確認すること
- 新規の短いコンポジションで、文字・シェイプ・マスク・親子関係を作る。
- 普段のエクスプレッションを入れ、開始・途中・終了の値と画を比較する。
- 実写の輪郭や粒子・グロー・色補正を、静止画と連続再生の両方で確認する。
- アルファ付き動画/連番を書き出し、使用先で縁・色・フレーム数を確認する。
- 必要な納品形式がAEP、MOGRT、動画、Lottieのどれかを先に確定する。
どんな用途で選ぶか
新しいタイトルアニメーションやシェイプ中心の表現、自動化の検証ならEffectCraftを試せます。AEPの継続編集、購入テンプレート、専用プラグイン、Premiereとの連携が必要な案件では、After Effectsを使う理由が明確に残ります。
