LightCraftは、写真の整理とRAW現像をローカルで行う無料アプリです。Lightroomの比較相手として紹介されますが、保存方法はローカル中心のLightroom Classicに近い部分があります。移行では、RAWを本当に現像できるか、色を再現できるか、カタログと補正履歴を引き継げるかを別々に確認します。
確認日:2026年10月21日。LightCraft v0.10.0の公開資料を基準に比較しています。実機での再現・速度測定は含みません。表の「掲載」は公式資料に記載があることを示し、同名機能の処理結果や安定性まで一致するという意味ではありません。
最初に押さえたい違い
| 比較する点 | Lightroom/Classic | LightCraft |
|---|---|---|
| 主な用途 | Lightroom:写真編集と端末間連携。Classic:ローカル管理と現像 | 写真ライブラリと非破壊現像。開発段階はalpha |
| 費用 | 有料。プランによってアプリとストレージが異なる | アプリは無料。クラウドストレージ込みのサービスではない |
| 保存・同期 | Lightroomはクラウド連携、Classicはローカル中心 | ローカル中心。Adobeの同期環境は引き継がない |
| 選ぶ際の分かれ目 | 対応機種、仕上がり、端末連携、業務機能 | 1台での写真整理、対応RAW、無料での試用 |
詳細な機能と制約の出典:LightCraftの機能説明、既知の差分、機能別の評価。
機能を細かく比較
| 機能・作業 | Lightroom/Classic | LightCraft |
|---|---|---|
| ライブラリ | アルバム/コレクション、評価、選別等 | アルバム、フォルダー、スマートアルバム、評価、フラグ、スタックを掲載 |
| 非破壊現像 | 元画像を保持し、補正値で仕上がりを管理 | 32bit浮動小数点の現像処理と補正履歴を掲載 |
| 基本補正 | 露光、階調、カーブ、色、シャープ等 | 同種の補正を掲載。数値が同じでも出力が同じとは限らない |
| RAW対応 | 機種ごとのCamera Raw対応表で確認 | DNG、CR2/CR3、ARW、NEF、RAF等。機種・圧縮方式で制限 |
| カメラの色 | カメラ別のプロファイル | DNG行列、カメラJPEGからの推定、一部のプロファイル。測色に基づく網羅性に差 |
| レンズ補正 | 対応するカメラ・レンズプロファイル | 一部の埋め込み情報・個別補正あり。包括的な独自レンズDBは不足 |
| マスク | ブラシ、範囲選択、AI選択等 | 手動・範囲マスク。被写体/空はヒューリスティック、Object/Describeは追加モデル |
| AIノイズ除去 | 対応画像にAIノイズ除去等 | Bayer RAWは追加モデルで対応。X-Transや線形RGB、超解像に不足 |
| 修復・不要物除去 | 修復や生成削除等 | 修復、クローン、非生成の塗りつぶしを掲載。生成削除と同等ではない |
| HDR・パノラマ | 対応する合成とHDR編集 | HDR/パノラマ合成、HDR書き出しを掲載。画面のHDR表示は不足 |
| XMP・カタログ | Adobeの現像処理とカタログ | XMP読み書きとカタログ移行を掲載。移行は一方向で近似を含む |
| 印刷・ブック・地図 | Classicに専用モジュール | 印刷レイアウト/PDFあり。直接印刷、Book/Mapの画面などに不足 |
| テザー撮影・拡張 | Classicに対応カメラ・プラグイン環境 | テザー撮影、Lightroom SDK相当の拡張環境は不足 |
| 書き出し・自動化 | 一括書き出し、Classicの拡張等 | JPEG/PNG/TIFF等、一括処理、透かし、CLI・MCPを掲載 |
LightroomとLightroom Classicを分ける理由
AdobeのLightroomの選び方では、Classicをローカルの写真管理を中心とするアプリ、Lightroomのエコシステムを端末間のクラウド連携を中心とする構成として説明しています。Lightroomにもローカル写真を扱う機能はあるため、「Lightroomはローカル画像を使えない」という区別ではありません。
LightCraftへ移すとき、スマートフォンで付けた評価がPCにも反映される運用や、家族・顧客とのオンライン共有まで同じになるわけではありません。一方、1台のPCと外付けドライブで管理している場合は、写真フォルダー、評価、アルバム、補正値の移行を個別に比べられます。
RAWを開けることとRAW現像できることの違い
RAWにはセンサーの情報と、カメラが作ったプレビュー画像が入っていることがあります。LightCraftは対応していない圧縮形式で内蔵JPEGを表示する場合があり、写真が見えただけではセンサー情報を使って現像できた証拠になりません。
同バージョンの公式READMEでは、CR3の一部形式、圧縮ORF、NikonのHigh Efficiency NEFなどを制限として挙げています。メーカーや拡張子だけでなく、カメラ機種、撮影時の圧縮設定、ビット深度までそろえて対応を確認します。
色も別の確認項目です。LightCraftではカメラJPEGを利用した推定などが使われ、Adobeのカメラプロファイルと同じ色を出す保証はありません。白いもの、肌色、高彩度の被写体、暗部の色かぶりを同じRAWで比較します。
XMPとカタログを移したときに残るもの
XMPには評価やキーワードなどの情報と、現像設定が含まれます。設定値を読み込めても、現像エンジンが違えば結果は変わります。公式の差分資料では、Lightroomからのカタログ移行を一方向かつ近似とし、非対応のプロファイルやAI設定、履歴の扱いに制約を記しています。
移行では、元のRAW、カタログ、XMPを保管したうえで少数の写真を取り込みます。評価・アルバム・日付などの整理情報と、トリミング・色・マスクなどの現像結果を別々に確認します。完成した色を残したい写真は、確認用のJPEGやTIFFも用意すると比較できます。
AIマスク・ノイズ除去とHDRの条件
LightCraftの被写体・空の選択は、資料上では画像の特徴から判定する方式です。Object/Describeの選択は任意のSAM 3モデルを使い、AIノイズ除去はBayer RAWと別途導入するモデルに条件があります。Lightroomと同名・類似名でも、精度や導入手順は一致しません。
X-Trans RAWや合成後の線形RGB画像は、Bayer RAWと同じAIノイズ除去の対象にはなりません。HDRについても、HDR形式で書き出す機能と、HDRモニターに適切な明るさでプレビューする機能を分けて考えます。画面表示の対応が不足している間は、最終出力を別の対応環境で確認します。
Classicの周辺機能を使っている場合
LightCraftには写真の比較表示、一括補正、印刷レイアウト、PDF出力なども掲載されています。ただしClassicのテザー撮影、ブック制作、地図、公開サービス、プラグインまで一式を置き換える段階ではありません。
使っている機能を「現像」「整理」「撮影」「印刷」「共有」に分けると、移行に必要な作業が明確になります。現像だけで済む利用者と、撮影から納品までClassicで行う利用者では、同じ比較結果にはなりません。
料金・対応環境・導入方法
LightCraftは無料で配布されているオープンソースアプリです。Windows・macOS・Linux向けの配布があり、WebAssembly版も案内されています。ただし、ブラウザー版の配布物と、すぐ使える公開Webサービスは別です。CPUの種類に合う配布物と、各リリースの注意事項を確認してください。
LightCraft公式ダウンロードからランチャーまたは単体版を選べます。紹介ページとGitHubでバージョンが違う場合があるため、本記事の基準はv0.10.0のリリースです。
Adobe側は有料のサブスクリプションです。単体、写真向け、複数アプリ、学生・法人向けで条件が違うため、Adobe公式のプランと価格で契約期間と支払い方法をそろえて比較してください。
アプリの無料配布には、Adobe Fonts、Adobe Stock、有料プラグイン、外部AIサービスの利用権は含まれません。ソフトウェアのライセンスと、使用するフォント・素材・追加モデルの条件は別に確認します。
移行前に自分のデータで確認すること
- 使用する機種と圧縮設定のRAWを取り込み、内蔵JPEGへの代替表示になっていないか確認する。
- ホワイトバランス、肌色、白飛び、暗部、レンズの歪みをLightroomの出力と比べる。
- 少量のXMP/カタログで評価・アルバム・補正・マスクの移行結果を確認する。
- 必要なAIモデルを入れた状態で、ノイズ除去と選択の対象画像を確認する。
- 保存先の変更、外付けドライブの再接続、一括書き出し、バックアップからの復旧を試す。
どんな用途で選ぶか
1台のPCで管理する写真を、対応済みのRAWから新しく現像するならLightCraftを試せます。既存の仕上がりの再現、対応機種の広さ、クラウド同期、テザー撮影や専用プラグインが必要な場合は、LightroomまたはClassicを残して評価するのが適しています。
参照した公式資料
- Crafting Apps全体の案内
- LightCraft v0.10.0 リリース
- このバージョンの機能説明
- このバージョンの既知の差分
- このバージョンの機能別評価
- AdobeのLightroomの選び方
- Lightroom Classicヘルプ
- LightroomとClassicの比較
