PhotoCraftは、レイヤーやマスクを使った画像編集を無料で試せるアプリです。Photoshopに近い操作を目指していますが、PSDの再現性、生成AI、プラグイン、仕事で使う細かな操作には差が残ります。新規の画像制作を試す候補にはなるものの、取引先とPSDを往復する仕事では互換性の確認が先です。
確認日:2026年10月21日。PhotoCraft v0.11.1の公開資料を基準に比較しています。実機での再現・速度測定は含みません。表の「掲載」は公式資料に記載があることを示し、同名機能の処理結果や安定性まで一致するという意味ではありません。
最初に押さえたい違い
| 比較する点 | Photoshop | PhotoCraft |
|---|---|---|
| 主な用途 | 写真補正、合成、描画、デザイン | 同種の画像編集。開発段階はearly alpha |
| 費用 | 有料サブスクリプション | アプリは無料 |
| 既存データ | PSD・PSBを標準形式として編集 | PSD・PSBの読み書きを掲載。表示と再編集の完全互換ではない |
| 選ぶ際の分かれ目 | PSD納品、既存の自動化・拡張を継続 | 新規画像、ローカル処理、無料での試用 |
詳細な機能と制約の出典:PhotoCraftの機能説明、既知の差分、機能別の評価。
機能を細かく比較
| 機能・作業 | Photoshop | PhotoCraft |
|---|---|---|
| レイヤー・マスク | グループ、クリッピング、ピクセル/ベクトルマスク | 同種機能を掲載。描画モード、塗り、調整レイヤーも用意 |
| 補正・色調整 | レベル補正、トーンカーブなど | 同種の調整レイヤーを掲載。計算結果の一致は別問題 |
| スマートオブジェクト | 埋め込み・リンク、スマートフィルター | スマートオブジェクトと編集可能なフィルターを掲載。PSD由来の再描画に差 |
| 選択・切り抜き | 手動選択、被写体・オブジェクト選択、境界調整 | 手動選択、ローカルの被写体/オブジェクト選択、マスク調整を掲載 |
| ブラシ・修復 | 筆圧、ブラシ設定、修復・クローンなど | 同種のブラシ設定・修復を掲載。描き味とペン機器の挙動は要確認 |
| 文字・シェイプ | 文字、段落、パス、図形の編集 | 文字レイヤー、段落、ペン、図形を掲載。高度な文字組みは差分あり |
| 色管理 | プロファイル変換、校正表示など | ICC、RGB/CMYK/Lab、8/16/32bit、ソフトプルーフを掲載 |
| 生成AI | 生成塗りつぶし・生成拡張など | Photoshop相当の生成AIは不足。通常の修復と区別する |
| 画像形式 | PSD・PSB、JPEG、PNG、TIFFなど | PSD・PSB、レイヤー付きTIFF、PNG、JPEG、WebP、OpenEXRなどを掲載 |
| アクション・スクリプト | アクション、バッチ、既存スクリプト資産 | アクション/バッチとATNの一部対応。ExtendScript・UXP互換に差 |
| プラグイン・外部連携 | Photoshop向け拡張機能とAdobe連携 | Photoshopプラグインの互換性は不足 |
| AIエージェントによる操作 | 利用する拡張・連携環境による | CLI・JSON・MCPによる操作を掲載。生成AIの内蔵とは別 |
PSDが開くことと編集内容が戻ることの違い
PSD互換性は「開ける」「見た目が一致する」「各レイヤーを編集できる」「保存後にPhotoshopで再び編集できる」の4段階で考えます。合成画像だけ合っていても、文字、調整レイヤー、スマートオブジェクトが元どおりに編集できるとは限りません。
PhotoCraftの紹介ページには保存往復のテスト結果があります。一方、同バージョンの公式の差分資料では、Photoshopが作成したファイルの描画や、PhotoCraftが保存したPSDの受け入れに課題を挙げています。特定のテストファイルを元どおり保存できた割合を、あらゆるPSDの互換率として読むことはできません。
共同作業では、文字・マスク・スマートフィルターを含むPSDの複製で確認します。PhotoCraftで変更して保存し、Photoshopへ戻してレイヤー構造と見た目の両方を比べる必要があります。
色管理と非破壊編集の比較
PhotoCraftはICCプロファイルと高ビット深度の画像処理を掲げています。ただし、CMYKやLabを扱えることと、Photoshopの調整レイヤーを同じ色で合成することは別です。公式の差分資料でも色空間別の計算差が修正対象になっています。
印刷物では同じICCプロファイル、変換方式、黒点補正で書き出した画像を比べます。Web画像ではJPEGやPNGにした最終結果を、色管理に対応した表示環境で確認すると判断できます。スマートオブジェクトの基本的な考え方はAdobe公式のスマートオブジェクト解説が参考になります。
生成AIとMCPは別の機能
Photoshopの生成AI機能は、画像の一部を生成したり、画面の外側を描き足したりする機能です。PhotoCraftのMCPは、外部のAIエージェントが既存の編集機能を呼び出すための仕組みです。MCP対応だけで生成塗りつぶしの代替になるわけではありません。
PhotoCraftには通常の修復・コンテンツに応じた処理もありますが、それを生成モデルによる処理と混同しないようにします。アクションやATNの対応も処理単位に差があるため、今のPhotoshop作業をそのまま自動化できるとは限りません。
日本語とペンタブレットの確認
日本語の文字が表示できても、フォント選択、文字間隔、縦書き、入力中の変換、PSDに戻した際の文字編集まで同じとは限りません。文字を含むバナーなら、実際のフォントと文面で改行位置を確認します。
描画では筆圧・傾きに加えて、長いストローク、拡大縮小中の描画、消しゴム側の入力などを使用機器で確認します。公式の速度値は限定された環境の測定であり、Photoshopより常に速いという比較結果ではありません。
料金・対応環境・導入方法
PhotoCraftは無料で配布されているオープンソースアプリです。Windows・macOS・Linux向けの配布があり、WebAssembly版も案内されています。ただし、ブラウザー版の配布物と、すぐ使える公開Webサービスは別です。CPUの種類に合う配布物と、各リリースの注意事項を確認してください。
PhotoCraft公式ダウンロードからランチャーまたは単体版を選べます。紹介ページとGitHubでバージョンが違う場合があるため、本記事の基準はv0.11.1のリリースです。
Adobe側は有料のサブスクリプションです。単体、写真向け、複数アプリ、学生・法人向けで条件が違うため、Adobe公式のプランと価格で契約期間と支払い方法をそろえて比較してください。
アプリの無料配布には、Adobe Fonts、Adobe Stock、有料プラグイン、外部AIサービスの利用権は含まれません。ソフトウェアのライセンスと、使用するフォント・素材・追加モデルの条件は別に確認します。
移行前に自分のデータで確認すること
- レイヤー・文字・スマートオブジェクトがあるPSDを複製し、開いた直後の表示を比較する。
- マスクと調整を変更して保存し、Photoshopで再度開いて編集可能か確認する。
- Web用画像と印刷用画像をそれぞれ書き出し、色・透明部分・ビット深度を確認する。
- 必要なATN、スクリプト、プラグイン、フォント、ペン入力を個別に確認する。
どんな用途で選ぶか
Web画像を新しく作ってJPEG・PNGで仕上げる用途なら、PhotoCraftを試す余地があります。PSDを編集可能な状態で納品する仕事や、Photoshopの生成AI・拡張機能に依存する作業では、Photoshopを残して併用する判断が適しています。
参照した公式資料
- Crafting Apps全体の案内
- PhotoCraft v0.11.1 リリース
- このバージョンの機能説明
- このバージョンの既知の差分
- このバージョンの機能別評価
- Photoshopデスクトップヘルプ
- Photoshopのスマートオブジェクト
- Photoshopの生成AI
