テキストアニメーターは、テキストレイヤーの文字を1文字ずつ、または1単語ずつ動かす機能です。
文字ごとにキーフレームを打たなくても、タイプライターのように表示したり、文字をばらばらに揺らしたりできます。
- アニメーター:何を変えるか(不透明度・位置・回転など)
- セレクター:どの文字にどれだけ効かせるか
- 範囲セレクター:開始・終了を動かして、効く範囲を移動させる
- ウィグリーセレクター:効き方をランダムに揺らす
- エクスプレッションセレクター:文字の番号を使って式で決める
この記事は、Adobe公式ヘルプ「Animating text」(2026年10月3日に公式資料を確認)にもとづいています。
2026年10月13日に撮影した After Effects の画面で、範囲・ウィグリー・エクスプレッションの各セレクターを確認しました。
2026年10月15日には、5文字「ABCDE」で、タイプライターと式の結果を、After Effects 26.5.0(Build 89)の画面と書き出した画像で確かめました。
アニメーターとセレクターの関係
テキストアニメーターは、「アニメーター」と「セレクター」の組み合わせで動きます。
アニメーターで「不透明度を0にする」と決め、セレクターで「その変化をどの文字に効かせるか」を決める、という分担です。
よくあるやり方は、アニメーターの値を「最後の見た目」ではなく「変化させたい量」に設定し、セレクターを動かして効く範囲を変えることです。
アニメーターを足す
タイムラインでテキストレイヤーを選び、次のどちらかで足します。
- メニューの「アニメーション」→「テキストをアニメート」から、変えたいプロパティを選ぶ
- タイムラインのテキストレイヤーにある「アニメート」メニューから選ぶ
足すと、アニメーターのグループと、初期のセレクター(範囲セレクター)がタイムラインに出てきます。
同じアニメーターに別のプロパティを足すときは、アニメーターのグループを選んでから「追加」のメニューで足します。
1文字ずつ表示する(タイプライター)
- テキストレイヤーに「不透明度」のアニメーターを足す
- アニメーターの「不透明度」を 0% にする(この時点で全部の文字が消える)
- 「範囲セレクター」を開き、「開始」の 0% にキーフレームを打つ
- 「高度」で単位を「パーセント」、基準を「文字」、シェイプを「矩形」にし、「なめらかさ」(Smoothness)を0%にする。終了は100%、オフセットは0%にする
- 2秒後に移動して、「開始」を 100% にする
開始を0%から100%へ動かすと、選択範囲から外れた文字が元の不透明度へ戻ります。
初期のなめらかさ100%では文字が徐々に切り替わるため、タイプライターとしては0%にします。
2026年10月15日に「ABCDE」で試すと、1秒(開始50%)の時点で、なめらかさ100%では3文字目のCが半透明になりました。
書き出した画像では、Cの内側の不透明度は約50%(128/255)でした。
なめらかさを0%にすると、同じ時点でCも完全に表示され、DとEは消えたままでした。
「開始」「終了」を文字数で考えたいときは、範囲セレクターの「高度」にある「単位」を「インデックス」にします。
範囲セレクターの主な設定
| 設定 | 決めること |
|---|---|
| 開始・終了(Start / End) | 効かせる範囲の始まりと終わり |
| オフセット(Offset) | 開始・終了で決めた範囲を、まとめてずらす量 |
| 基準(Based On) | 数える単位(文字・スペースを除く文字・単語・行) |
| シェイプ(Shape) | 範囲の端での効き方の形(矩形・三角など) |
| イーズ(高)・(低)(Ease High / Low) | 効き始め・効き終わりの変化のなめらかさ |
| 順序をランダム化(Randomize Order) | 効かせる文字の順番をランダムにする |
「基準」を「文字」にすると、スペースも1文字として数えるので、単語の間で一瞬止まったように見えます。
止まるのが気になるときは「スペースを除く文字」にします。
次の2枚は、先ほどの不透明度のタイプライターとは別に、位置のアニメーターで文字を上へ動かした範囲セレクターの例です。
「範囲セレクター 1」の「終了」にキーフレームを打ちます。
開始時の終了は0%で、文字は動いていませんでした。

終了を55%にすると、「RANGE SELECTOR」の途中までの文字が、上に動きました。

ウィグリーセレクター
ウィグリーセレクターは、効き方を時間とともにランダムに揺らします。
位置や回転のアニメーターと組み合わせると、文字がばらばらに震える動きになります。
| 設定 | 決めること |
|---|---|
| 最大量・最小量(Max / Min Amount) | 揺れの幅 |
| ウィグル/秒(Wiggles/Second) | 1秒に何回揺れるか |
| 相関(Correlation) | 100%で全部の文字が同じように揺れ、0%でばらばらに揺れる |
| 次元を固定(Lock Dimensions) | 拡大・縮小などで、縦と横を同じ量だけ揺らす |
セレクターは、アニメーターのグループの「追加」→「セレクター」から、範囲・ウィグリー・エクスプレッションを選んで足します。
範囲セレクターの「順序をランダム化」は効かせる順番を、ウィグリーセレクターは値そのものをランダムにする、という違いがあります。
ウィグリーセレクターを追加した画面です。
「モード」は「加算」、「最大量」は100%、「最小量」は−100%、「基準」は「文字」、「ウィグル/秒」は2.0、「相関性」は50%でした。

文字ごとに上下の位置がばらばらに揺れます。
エクスプレッションセレクター
エクスプレッションセレクターは、1文字ごとに式を計算して、効かせる量を決めます。
「適用量」(Amount)の初期の式は次のとおりです。
selectorValue * textIndex/textTotaltextIndex はその文字が何文字目か、textTotal は全部の文字数です。
同じselectorValueが各文字に入る条件なら、後ろの文字ほど割合が大きくなります。
selectorValueは先にあるセレクターの値なので、範囲やウィグリーセレクターの状態で結果が変わります。
たとえば、1文字おきに効かせたいときは次のように書けます。
textIndex % 2 == 0 ? 100 : 0偶数番目の文字には100%、奇数番目には0%だけ効きます。
公式ヘルプは、エクスプレッションセレクターの例として、アニメーションプリセットの「Text Bounce」や「Inch Worm」を当ててみることを勧めています。
エクスプレッションセレクターの画面です。
「基準」は「文字」で、「適用量」に式「textIndex/textTotal*100」を入れていました。

文字番号に応じて、右の文字ほど位置が上に上がり、文字列全体が右上がりに並びました。
文字ごとの3D
テキストレイヤーを選び、「アニメーション」→「テキストをアニメート」→「文字単位の3D化」を有効にすると、アニメーターの位置・アンカーポイント・スケールに奥行きが加わり、X回転・Y回転も使えるようになります。
文字が1枚ずつ奥から飛んでくるような動きは、この設定と範囲セレクターの組み合わせで作ります。
テキストの縦書きと横書きの切り替えは、After Effectsのテキストを縦書き・横書きに切り替える方法で紹介しています。
5文字で選択範囲と式を確かめる練習
別名保存したプロジェクトの練習用テキストを「ABCDE」にし、上の不透明度アニメーターで0秒は非表示、2秒は全文表示になるか確認します。
うっすら表示される文字が残る場合は、シェイプが「矩形」、なめらかさが0%になっているかを確認します。
ほかのアニメーターやセレクターを併用せずに始めます。
ABCDEで試した結果(2026年10月15日)
2026年10月15日に、Windows 11 Pro 上の After Effects 26.5.0(Build 89、日本語表示)で、この練習を試しました。
コンポジションは1920×1080、30fps、3秒です。
テキストは「ABCDE」、フォントはConsolasの160px、白い塗りで、ほかのアニメーターは付けていません。
不透明度0%のアニメーターに範囲セレクターを1つ付け、開始は0秒で0%、2秒で100%、終了100%、オフセット0%、単位はパーセント、基準は文字、シェイプは矩形です。
コンポジションとキーフレームの準備はスクリプトで行い、画面で操作したのは、なめらかさを100%から0%に変える操作と、時刻の移動です。
アニメーターやキーフレームを画面から手で足す操作は、確認に含めていません。
書き出した画像で、各時刻に表示された文字は次のとおりでした。
| 時刻 | 表示された文字 |
|---|---|
| 0秒 | なし(5文字とも完全に透明) |
| 0.4秒 | A |
| 0.8秒 | AB |
| 1秒 | ABC |
| 1.2秒 | ABC |
| 1.6秒 | ABCD |
| 2秒 | ABCDE |
表示された文字は、アニメーターを付けていない同じテキストを書き出した画像と、透明度が画素ごとに一致しました。
確かめたのは表の7つの時刻で、すべてのフレームではありません。

偶数番目だけに効かせる式と初期の式
偶数だけに作用させる練習は、別の練習用テキストレイヤーに不透明度0%のアニメーターを1つだけ付けて行います。範囲セレクターを外し、エクスプレッションセレクターの「適用量」に偶数判定の式を貼ります。先のタイプライター用アニメーターは併用しません。
不透明度0%ならB・Dが消え、A・C・Eが残る条件です。
2026年10月15日の確認では、範囲セレクターを持たない不透明度0%のアニメーターに、この式のエクスプレッションセレクターを1つだけ付けました。
BとDは完全に消え、A・C・Eは元の位置のまま残りました。
残った文字は詰められず、元の字間のままです。
式の入力はスクリプトで行い、画面では式と結果を表示して確かめました。

基準を単語・行に変えると番号の意味が変わるので、文字を対象にして比較します。
公式の初期式はAEの配列演算を使います。
標準JavaScriptへそのまま移植すると同じ計算にはなりません。
AEのmulで書く場合は次の例です。
適用量が3要素の配列(画面では「100.0, 100.0, 100.0%」)でも、同じ比率で各成分を掛けます。
var ratio = textTotal > 0 ? textIndex / textTotal : 0;
mul(selectorValue, ratio);| 入力 | 計算例 | 条件 |
|---|---|---|
| textIndex=1、textTotal=5、量 [100,100,100] | [20,20,20] | mulの各成分 |
| textIndex=5、textTotal=5 | [100,100,100] | 末尾の割合 |
| textTotal=0 | [0,0,0] | ゼロ除算を避ける |
2026年10月15日に、不透明度0%のアニメーターで「ABCDE」に初期の式とmulの式をそれぞれ付け、1秒の時点を書き出して比べました。
2つの画像は、全画素が一致しました。
AからEに効いた割合は20%・40%・60%・80%・100%で、表の計算どおりでした。
そのため、文字の内側の不透明度は80%・60%・40%・20%・0%(書き出した値で204・153・102・51・0)になりました。
どちらの式もエラーは出ませんでした。
表の textTotal=0 の行は、文字が無いと結果を画面で見られないため、確認に含めていません。
戻すときは練習アニメーターを削除せず、その複製を無効にするか保存したプロジェクトへ戻します。
元の文字・セレクターの順序・量の式を記録しておきます。
まとめ
- アニメーターで何を変えるか、セレクターでどの文字に効かせるかを決める
- 1文字ずつ表示するなら、不透明度0%のアニメーターと範囲セレクターの開始を動かす
- ばらばらに揺らすならウィグリー、決まりで効かせるならエクスプレッションセレクター
- スペースで止まるときは、基準を「スペースを除く文字」にする
参考:Adobe「Animating text」(2026年10月3日に公式資料を確認)。
よくある質問:After Effectsのテキストアニメーターを使うとき
テキストアニメーターの「アニメーター」と「セレクター」は、何が違いますか?
アニメーターは何を変えるか(不透明度・位置・回転など)、セレクターはどの文字にどれだけ効かせるかを決めます。アニメーターで「不透明度を0にする」と決め、セレクターで「その変化をどの文字に効かせるか」を決める、という分担です。
アニメーターは、どこから足しますか?
タイムラインでテキストレイヤーを選び、メニューの「アニメーション」→「テキストをアニメート」から変えたいプロパティを選ぶか、タイムラインのテキストレイヤーにある「アニメート」メニューから選びます。同じアニメーターに別のプロパティを足すときは、アニメーターのグループを選んでから「追加」のメニューで足します。
タイプライターのように1文字ずつ表示するには?
テキストレイヤーに「不透明度」のアニメーターを足し、不透明度を0%にして、範囲セレクターの開始を動かします。初期のなめらかさ100%では文字が徐々に切り替わるため、タイプライターとしては0%にします。
単語の間で一瞬止まったように見えるのはなぜですか?
範囲セレクターの「基準」を「文字」にすると、スペースも1文字として数えるためです。止まるのが気になるときは「スペースを除く文字」にします。
「開始」「終了」を文字数で指定するには?
範囲セレクターの「高度」にある「単位」を「インデックス」にします。
ウィグリーセレクターは、範囲セレクターの「順序をランダム化」と何が違いますか?
範囲セレクターの「順序をランダム化」は効かせる順番を、ウィグリーセレクターは値そのものをランダムにするという違いがあります。位置や回転のアニメーターと組み合わせると、文字がばらばらに震える動きになります。
エクスプレッションセレクターでは、何を使えますか?
1文字ごとに式を計算して、効かせる量を決めます。その文字が何文字目かを表すtextIndexと、全部の文字数を表すtextTotalが使えます。selectorValueは先にあるセレクターの値なので、範囲やウィグリーセレクターの状態で結果が変わります。公式ヘルプは、アニメーションプリセットの「Text Bounce」や「Inch Worm」を当ててみることを勧めています。
文字が1枚ずつ奥から飛んでくる動きは、どう作りますか?
テキストレイヤーで「文字単位の3D化」を有効にすると、アニメーターの位置・アンカーポイント・スケールに奥行きが加わり、X回転・Y回転も使えるようになります。この設定と範囲セレクターを組み合わせて作ります。
この記事の内容は、実機で確認済みですか?
Adobe公式ヘルプ「Animating text」(2026年10月3日に公式資料を確認)にもとづいています。範囲・ウィグリー・エクスプレッションの各セレクターは2026年10月13日に、5文字の練習(タイプライター、偶数判定の式、初期の式とmulの式)は2026年10月15日に、After Effects 26.5の画面と書き出した画像で確かめました。文字が無いとき(textTotal=0)、複数のセレクターの重ね方、単語・行を基準にした場合、日本語や縦書き、文字単位の3D化は確かめていません。
