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MayaでArnoldレンダリングを始める方法|ライト・マテリアル・出力設定

MayaでArnoldレンダリングを始める方法

MayaでArnoldを使ってレンダリングするには、Render SettingsのRender UsingをArnold Rendererにし、オブジェクトにstandard_surfaceを割り当て、ライトを置いてからArnold RenderViewで確かめます。

仕上げの画質はRender SettingsのCamera (AA)などのサンプル数で決め、画像の形式はCommonタブのFile Outputで選びます。

この記事は、Autodesk公式の「Arnold for Maya User Guide」と、Maya 2027ヘルプの「Arnold for Maya renderer」のページをもとにまとめたものです(2026年10月18日に確認)。

実機での再現は含みません。

画面の名前は、公式ガイドの英語の表記で書いています。

Mayaを日本語の表示にしたときの項目名は確かめていません。

目次

Arnoldが使える状態か確かめる

Maya 2027ヘルプによると、Arnold for Mayaは、mtoa.mllというプラグインとしてMayaの既定のインストールに含まれています。

このプラグインは自動で読み込まれ、Arnoldが優先のレンダラーとして設定されます。

読み込まれていない場合は、Windows>Settings/Preferences>Plug-in Managerを開き、mtoa.mllを有効にすると手動で読み込めると書かれています。

Mayaのインストール時にArnold for Mayaの項目を外すと、Arnoldは入りません。

透かし(ウォーターマーク)が入る条件

Maya 2027ヘルプでは、Mayaに入っているArnold for MayaはMayaの中でインタラクティブに動かすためのものと説明されています。

1フレームでも連番でも、Mayaの中からならレンダリングできます。

一方で、バッチレンダリングやmayabatch.exeからの呼び出しは使えず、画像に透かしが入ると書かれています。

Arnoldのライセンスを持っている場合、そのライセンスはバッチレンダリングなど透かしなしで出したいときにだけ使われ、Maya内でのインタラクティブなレンダリングでは使われないとされています。

レンダラーをArnoldにする

公式ガイドの「Rendering Your First Scene」では、最初にMayaの現在のレンダラーをArnoldに切り替えます。

  1. 上のメニューからWindow>Rendering Editors>Render Settingsを選ぶ
  2. Render Usingのドロップダウンで、Arnold Rendererを選ぶ

Arnoldにすると、Render Settingsに共通の出力を決めるCommonタブ、画質やライトの設定をまとめたArnold Rendererタブ、パスを分けて出すAOVsタブなどが並びます。

ここで決める値はシーン全体に効く設定で、オブジェクトごとの設定はAttribute EditorのArnoldの欄で変えます。

マテリアルを割り当てる(standard_surface)

Arnoldで使う基本のマテリアルは、standard_surfaceです。

  1. オブジェクトを選び、右マウスボタンを押したままにしてショートカットメニューを出す
  2. Assign New Materialを選ぶ
  3. Arnoldのシェーダーの中からstandard_surfaceを選ぶ
  4. Attribute Editorでbase_color(色)を変える

公式ガイドでは、Arnoldに組み込まれたシェーダーには「Ai」という接頭辞が付いていると説明されています。

Hypershadeの左のCreate Barからも、Arnoldのノードを作れます。

standard_surfaceで素材を作り分ける

Arnold User GuideのStandard Surfaceのページによると、初期値はプラスチック・木・石のような素材に合う値になっています。

次の値を1にすると、別の種類の素材をすばやく作れると書かれています。

1にする値向いている素材(公式の例)
Metalness金・銀・鉄・車の塗装
Transmissionガラス・水・はちみつ・シャボン玉
Subsurface肌・大理石・ろう・紙・葉
Thin Walled紙・葉・シャボン玉
standard_surfaceの素材の作り分け

0と1の間の値にすると、複数の種類を混ぜた素材になります。

公式のスカイドームのチュートリアルでは、クロムのような鏡面の素材を、Base Weightを1、Metalnessを1、Specular Roughnessを0にして作っています。

Specular Roughnessを上げるとハイライトが広くやわらかくなり、下げると鋭くなります。

値を1より大きくしない

standard_surfaceは、初期状態で入ってくる光より出ていく光が多くならないように、各層の強さが釣り合うようになっています。

公式ガイドでは、層の重みや色に1より大きい値を入れるとこの釣り合いが崩れ、照明によって予想と違う見え方になったり、ノイズや処理の重さにつながったりするため、勧めないとされています。

面の法線が内側を向いていると正しく描かれないため、法線の向きも確かめておきます。

ライトを置く

公式のチュートリアルでは、マテリアルを付けただけでレンダリングすると画面は真っ黒になり、ライトを足して明るくしています。

Mayaの標準のライトは、そのままArnoldで使えます。

ライトを選んでAttribute Editorを見ると、通常の項目に加えてArnoldの欄があり、Arnold用の設定はそこで変えます。

暗いと感じたとき

公式ガイドによると、Arnoldのライトは初期状態で距離の2乗で減衰します。

Mayaの既定のライトは減衰なしなので、同じシーンでも暗く見えることがあります。

ライトのAttribute EditorにあるMaya側の減衰(Decay)の設定は、Arnoldでは効かないと書かれています。

暗さは、ライトの強さかExposureの値で調整します。

公式ガイドでは、強さ(とモデルの大きさ)を先に決め、Exposureで細かく合わせるよう勧めています。

ポイントライトのArnoldの欄で半径(radius)を大きくすると、影の輪郭がやわらかくなります。

ライトの種類

ライト公式ガイドの説明
Area Light面の光源。Mayaのエリアライトは四角形として扱われる。円盤や円柱にしたいときはノードの種類をAi Area Lightにし、Light Shapeで形を選ぶ
Skydome Lightシーンを包む球やドームからの光。空の光を表し、HDR画像を使った屋外の照明に向く
Directional Light遠くからの平行な光。太陽光によく使われる
Point Light点、または球からの光。全方向へ均等に出る
Spot Light円すい状に広がる光
Mesh Lightメッシュを光源にする。メッシュを選んでArnold>Light>Mesh lightで作る
Photometric Light実在の照明器具を測ったデータ(IESなど)を使う
Light PortalArnold>Lights>Light Portalで作る
Arnold for Mayaで使えるおもなライト

MayaのAmbient LightとVolume Lightは、Arnold for Mayaでは使えないと書かれています。

ライトを複製(インスタンス)して使うときは、Light Linkingをnoneにしておかないと、複製したライトが描かれないとされています。

HDR画像で照らす(Skydome Light)

公式のチュートリアル「Using the Sky Dome Light」の手順は次のとおりです。

  1. Hypershadeを開き、左のCreate BarにあるArnoldのノードからSkydome Lightを選んで作る
  2. Skydome LightのAttribute Editorで、Colorに2Dのファイルテクスチャーをつなぎ、HDR画像を選ぶ
  3. Formatを、HDR画像が撮られた形式に合わせる(チュートリアルではmirrored ball)
  4. Resolutionに、HDR画像の解像度に合う値を入れる

ファイルを選ぶ画面でHDRのファイルが見えないときは、ファイルの種類をAll Typesに切り替えるよう書かれています。

Resolutionは、HDR画像の細部を拾える程度に高くしつつ、HDR画像そのものの解像度より高くしないようにと説明されています。

Arnold RenderViewで確かめる

Arnold>Renderを選ぶと、Arnold RenderViewのウィンドウが開いてレンダリングが始まります。

Arnold RenderViewは、ArnoldのシェルフとMayaのArnoldメニューにあります。

公式ガイドによると、初期状態では低い画質から段階的に上げながら描き、シーンを変えると自動で描き直します。

そのため、マテリアルやライトを変えながら、結果をその場で見られます。

やりたいこと公式ガイドの方法
一部だけ描いて速く確かめるRender>Crop Region、またはShiftキーを押しながら範囲をドラッグする
変更のたびに描き直さないScene Updatesを切り、手動でRenderを実行する
途中の段階を飛ばして最終の画質で描くProgressive refinementを切る
表示している画像を保存するFile>Save Image(拡張子を付けないとJPEGで保存される)
AOVを含めて保存するFile>Save Multi-Layer EXR
Arnold RenderViewのよく使う操作

画面の下のステータスバーには、レンダリングにかかった時間・解像度・カメラ名・サンプル数・メモリの使用量が出ます。

公式ガイドでは、ここに出る時間は最後の段階のもので、バッチレンダリングで同じ画像を出すときのおおよその時間にあたると説明されています。

Scene UpdatesとProgressive refinementの両方を切ると、Mayaの通常のRenderコマンドと同じ動きになるとされています。

ノイズを減らす(サンプル数)

ノイズの量は、Render SettingsのArnold RendererタブにあるSamplingの値で決まります。

Arnold User GuideのSamplingのページによると、実際に使われるサンプル数は入力した値の2乗です。

たとえばCamera (AA)が3なら、3×3=9サンプルになります。

Diffuse・Specular・Transmission・SSS・Volumeのサンプル数は、Camera (AA)の1サンプルごとの値です。

そのため、Camera (AA)が3でDiffuseが2なら、1ピクセルあたりのDiffuseのサンプルは9×4=36になると説明されています。

Camera (AA)は、ほかのサンプル数すべてにかかる倍率のように働きます。

試しと仕上げの目安

公式のスカイドームのチュートリアルでは、Camera (AA)の初期値3は試しのレンダリングには十分で、仕上げでは被写界深度の量に応じて7以上に上げることがあると書かれています。

同じチュートリアルでは、影のノイズを減らすためにSkydome LightのSamplesを3に上げています。

モデルの表面のノイズが残るときは、Render SettingsのDiffuseのサンプル数を上げる必要があるかもしれないとされています。

公式のノイズ除去のガイド「Removing Noise」では、どの光でノイズが出ているかをAOVで分けて見てから、そのサンプル数だけを上げるよう勧めています。

関係のないサンプル数を上げると、ノイズは減らないままレンダリング時間だけが伸びるためです。

Adaptive Sampling

Adaptive Samplingを有効にすると、ばらつきの大きいピクセルにだけ多くのサンプルを使います。

公式ガイドでは、Max. Camera (AA)がCamera (AA)より大きく、Camera (AA)が2以上のときに働くと説明されています。

被写界深度やモーションブラーが強いシーン、髪のシェーダーを使うシーンのように、一部だけノイズが多い場合に向いているとされています。

デノイザー

Arnold User GuideのDenoisingのページでは、次の3つのデノイザーが紹介されています。

デノイザー動く場所速さアニメーション
NVIDIA OptiX DenoiserNVIDIAのGPU速い非対応
Intel Open Image Denoise(OIDN)CPU・NVIDIAのGPU速い非対応(一部の連番ではうまく働くと注記あり)
Arnold Denoiser(noice)CPU遅い対応
Arnoldのデノイザー(公式の比較表より)

OptiXとOIDNは、カメラを動かしながら調整するときに素早くノイズを消す使い方が想定されています。

Arnold Denoiser(noice)は速さより画質を優先し、仕上げや連番に向くと説明されています。

noiceを使うには、先にvariance AOVを有効にしたEXRで書き出しておく必要があると書かれています。

GPUでのレンダリングを考えている場合のPC選びは、Maya用PCの選び方にまとめています。

出力形式を決める

書き出すファイルの形式は、Render SettingsのCommonタブにあるFile Outputの欄で決めます。

Image formatで選べるのは、Deep EXR・EXR・JPEG・PNG・TIFFです。

ファイル名を空欄にすると、シーンの名前が使われます。

AOVを1つのEXRにまとめたいときは、Merge AOVsの設定で、有効なAOVをすべて1つのマルチチャンネルのEXRに書き込めます。

色の扱い(Color Space)

公式ガイドによると、初期状態では、8ビットの画像にはView Transform(初期値はsRGBのガンマ)がかかります。

16ビット・32ビットの画像はUse Output Transformの扱いになり、Mayaの色管理の設定でApply Output Transform to Rendererが無効(初期値)なら色の変換はかかりません。

この場合、出力の色空間は、色管理の設定のRendering Spaceと同じになります。

RenderViewのSave Imageでも、JPEGはsRGB、EXRはリニアで保存されると書かれています。

合成ソフトに渡すならEXR、そのまま見せる画像ならJPEGやPNG、と目的で選ぶと迷いにくくなります。

連番を書き出す

アニメーションを連番で書き出す方法は、ライセンスによって変わります。

方法公式ガイドの説明
Render>Render SequenceArnoldのライセンスを持っていない場合はこちらを使う
Render>Batch RenderMayaのバッチレンダラーで連番を出す。透かしを消すにはArnoldのライセンスが必要
コマンドラインのRenderMayaを開かずに連番を出せる。フラグでレンダー設定を変えられる。透かしの条件はBatch Renderと同じ
連番の書き出し方

コマンドラインで書き出す前に、プロジェクトの設定、レンダラーがArnoldになっていること、カメラなどのRender Settingsを確かめてからシーンを保存するよう書かれています。

公式ガイドに載っている書き方の例は次のとおりです(1〜10フレームを書き出す例)。

Render -s 1 -e 10 C:\Users\Documents\maya\projects\Batch_render\scenes\batch_render.mb

Arnoldで使えるフラグの一覧は、次のコマンドで表示できるとされています。

Render --help -r arnold

Render.exeは、既定ではMayaのインストール先のbinフォルダーにあります。

公式ガイドでは、このフォルダーをWindowsの環境変数Pathに足すか、Render.exeをフルパスで指定する方法が紹介されています。

arnoldRenderer.xmlのエラーが出たとき

コマンドラインのレンダリングで次のエラーが出ることがあります。

Cannot open renderer description file "arnoldRenderer.xml"

公式ガイドによると、Arnoldを手動で入れた場合などに、Arnoldのレンダラー定義ファイルがMayaのインストール先にコピーされていないと出ます。

環境変数MAYA_RENDER_DESC_PATHでarnoldRenderer.xmlの場所を指すか、arnoldRenderer.xmlをMayaのインストール先へコピーすると直ると書かれています。

arnoldRenderer.xmlは、Arnold for Mayaのインストール先の一番上のフォルダーにあります。

最初の1枚までの流れ

  1. Render SettingsのRender UsingをArnold Rendererにする
  2. オブジェクトにstandard_surfaceを割り当て、base_colorなどを決める
  3. ライトを置く(屋外ならSkydome LightにHDR画像をつなぐ)
  4. Arnold>RenderでArnold RenderViewを開き、マテリアルとライトを調整する
  5. Camera (AA)などのサンプル数を仕上げ用に上げる
  6. CommonタブのFile Outputで形式とファイル名を決める
  7. 1枚ならRenderViewから保存し、連番ならRender>Render Sequenceで書き出す

この流れは、公式のチュートリアルの手順をもとに編集部がまとめたものです。

Mayaで書き出したモデルを別のソフトに渡す場合は、MayaからFBXを書き出す方法も参考にしてください。

確かめていないこと

  • この記事の手順を、Mayaの画面で実際に操作して確かめてはいない
  • Mayaを日本語の表示にしたときの各項目の表示名
  • Arnold for Mayaのバージョンごとの画面や初期値の違い(公式ガイドは最新版の記載をもとにした)
  • 各サンプル数の値で、実際にどれだけノイズと時間が変わるか
  • GPUでレンダリングしたときの設定の違い

参照した資料は、Arnold for Maya User Guide:Rendering Your First Scene、Lights、Arnold RenderView Window、Common (Output)、Batch Renderingです。

あわせて、Arnold User GuideのSampling・Standard Surface・Denoisingと、Maya 2027ヘルプのArnold for Maya レンダラを参照しました。

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