After Effectsの「トラックマット」は、別のレイヤーを使って画像や映像の表示範囲を決める機能です。
透明度で抜くならアルファ、黒白の明るさで抜くならルミナンスを選び、残す範囲を逆にしたいときは反転を使います。
この記事では、透明背景の白い円と、不透明な黒白画像を使って、各設定の違いをこのPCのAfter Effectsで確認しました。
アルファとルミナンスは何を基準に抜くかが違う
| 設定 | マットのどこを見るか | 残る範囲 |
|---|---|---|
| アルファマット | 透明度 | 不透明な部分 |
| ルミナンスマット | 明るさ | 白い部分 |
| 反転 | 選んだ基準を逆にする | アルファなら透明な部分、ルミナンスなら黒い部分 |
ルミナンスマットでは、白と黒の間の明るさは半透明の表示になります。
この説明はAdobe公式の定義に基づき、以下の実機比較では白・黒・透明の3条件に絞っています。
参考:Adobe公式:Track mattes and traveling mattes。
今回の検証素材と環境
| 項目 | 検証条件 |
|---|---|
| 確認日 | 2026年10月8日 |
| 環境 | Windows版 After Effects 2026/26.5.0(Build 89)/日本語UI |
| コンポジション | 1280×720/30fps/3秒/8bpc |
| 表示する素材 | FILL_BLUE.png:全面が不透明な青 |
| 円マット | MATTE_CIRCLE.png:白い円の内側は不透明、外側は透明 |
| 黒白マット | MATTE_BW.png:左半分は黒、右半分は白、両側とも不透明 |
| 比較する時刻 | 0秒/移動やエフェクトを加えない静止画 |
素材は検証用に自作したPNGで、同じサイズ・同じ位置に重ねています。
スクリーンショットの市松模様は透明部分を示し、画像をクリックすると大きな画面で設定を確認できます。
トラックマットの列を表示してマットを指定する
- 表示したい素材と、表示範囲を決めるマット素材をコンポジションに配置します。
- タイムライン下部の「スイッチ/モード」をクリックし、「トラックマット」の列を表示します。
- 表示したい素材の行で、トラックマットの選択欄を開きます。
- 円で抜く場合は、参照するレイヤーに「MATTE_CIRCLE.png」を選びます。


設定するのは、表示範囲を変えたい青い素材の行です。
マットの行に青い素材を指定すると、表示する側と参照する側が逆になります。
参照レイヤーの選択欄の右にあるボタンで、アルファ/ルミナンスと反転を切り替えます。
ボタンにポインターを置くと設定名が表示されるため、アイコンの形だけで判断せず確認します。
透明背景の円をアルファマットにする
- 青い素材のトラックマットに円マットを指定します。
- 種類のボタンを「アルファマット」にし、反転をオフにします。
- コンポジションで、円の内側だけに青が残ることを確認します。

円の内側は不透明なので青が残り、円の外側は透明なので青が消えました。
反転をオンにすると、円の内側が透明になり、外側に青が残ります。

不透明な黒白画像はアルファでは全面が残る
次は、参照レイヤーを黒白マットの「MATTE_BW.png」に変更します。
この素材は黒い部分も白い部分も不透明なため、アルファマットでは青が全面に残りました。

黒を透明にしたい場合は、黒白の明るさを使うルミナンスマットに切り替えます。
ルミナンスマットは白い側を残し、反転で黒い側を残す
- 青い素材のトラックマットに黒白マットを指定します。
- 種類のボタンを「ルミナンスマット」にし、反転をオフにします。
- 白い右半分だけに青が残ることを確認します。

黒い左半分は透明になり、白い右半分だけが青く表示されました。
反転をオンにすると、黒い左半分に青が残り、白い右半分が透明になります。

同じ黒白マットでも、アルファに戻して反転をオンにすると、青は全面が透明になります。

両側とも不透明な素材なので、アルファを反転したときに青を残す透明領域がありません。
| 素材と設定 | 実機で確認した結果 |
|---|---|
| 円/アルファ | 円の内側が残る |
| 円/アルファ+反転 | 円の外側が残る |
| 黒白/アルファ | 全面が残る |
| 黒白/アルファ+反転 | 全面が透明になる |
| 黒白/ルミナンス | 白い右半分が残る |
| 黒白/ルミナンス+反転 | 黒い左半分が残る |
マットは直上のレイヤーでなくても指定できる
今回の黒白比較では、青い素材を1番、円マットを2番、黒白マットを3番に配置しました。
間に円マットがある状態でも、1番の青い素材から3番の黒白マットを参照できました。
Adobe公式でも、現在のトラックマットはレイヤーの位置を選んで参照できると案内されています。
マットとして指定すると参照レイヤーの表示はオフになるため、青い素材の表示結果で抜け方を確認します。
トラックマットで抜けない・全部消えるときの確認点
| 症状 | 確認する場所 |
|---|---|
| 黒い部分が抜けない | 不透明な黒白素材をアルファで参照していないか |
| 残す範囲が逆になる | 反転がオンになっていないか |
| 青が全面消える | 不透明な素材をアルファで反転していないか |
| 白いマットそのものが見える | 参照レイヤーの表示をオンにしていないか |
| 想定した図形で抜けない | 青い素材の行から正しいマットを参照しているか |
この比較では青い素材だけを表示し、円マットと黒白マットの表示はオフにしています。
AEP保存と静止画の書き出しでも結果を確認
ルミナンスマットで右半分を残した状態をAEP形式で保存し、開き直して同じ表示になることを確認しました。
0秒の1フレームをPSD形式の「RGB+アルファ」で書き出し、After Effectsに読み込み直しました。


保存・アプリ再起動後の状態として提供された比較画面では、左のコンポジション「TRACK_MATTE_TEST」と右の書出しPSD「luma-result.psd」を並べて表示しています。
どちらも左半分が透明表示のチェッカーになり、右半分が青く見えています。
この画面は保存結果を再表示したもので、トラックマットの種類を選ぶ操作やPSDの書き出し操作の瞬間を撮影したものではありません。
今回提供された保存後のPSD再表示でも、左半分が透明、右半分が青の状態を確認できます。
今回の検証は静止画の切り抜きで、マットを動かすアニメーションや複数レイヤーでのマット共有は検証していません。
実画面の撮影と公式資料の参照日:2026年10月8日。
