映像制作の現場ではMacを使う人が多く、「After EffectsはMacでも快適に動くのか」という相談をよく受けます。
結論から言うと、実務でも問題なく動きます。
After Effectsは2021年からApple Siliconにネイティブ対応していて、プレビューやレンダリングも安定して動作します。
ただしWindows搭載PCとはメモリの考え方が異なるため、同じ感覚でスペックを選ぶと予算配分で過剰投資になります。
Mac特有のメモリ仕様を踏まえた失敗しない選び方を整理します。
Macでのメモリの考え方は、Windowsと違う
Windows環境では「CPUコア数×4GB+20GB」という計算式がメモリ容量の目安として使われます。
これはマルチフレームレンダリングで各コアにメモリを割り当てるためで、詳細はAfter Effectsに必要なPCスペックで解説しています。
一方、Macではこの計算式をそのまま適用する必要はありません。
Apple Siliconはユニファイドメモリ構造を採用し、CPUとGPUが同一のメモリ領域を共有します。
CPUとGPUの間で重複したデータ保持が発生しないため、同じメモリ容量でも効率よく扱えます。
さらにメモリ帯域が非常に広い点もMacの大きな利点です。
転送帯域が広いため、高解像度素材や大量のレイヤーを扱う際もデータ転送のボトルネックが起きにくくなります。
現行Macのメモリ帯域と容量
| チップ | メモリ帯域 | 最大メモリ | After Effectsでの位置づけ |
|---|---|---|---|
| M5 | 標準 | 32GB | 学習・短尺のモーショングラフィックス |
| M5 Pro | 最大307GB/s | 最大64GB | 実務の主力。多くの案件はここで足りる |
| M5 Max | 最大614GB/s | 最大128GB | 4K・3D・重いプラグインを多用する場合 |
| M6(Mac mini) | 153〜170GB/s | 32GB | 据え置きで軽めの作業 |
参考までに、前世代のM4 Proは273GB/s、M4 Maxは546GB/sでした。
上位チップほど帯域幅が広く、大容量データの処理で優位になります。
どれを選ぶか
実務の主力なら:MacBook Pro M5 Pro
多くの実務制作者にとって、最もバランスが良い選択肢です。
マルチコアCPUと大容量メモリ構成により、フルHDから標準的な4K制作まで快適に対応できます。
実務用途のメモリは最低でも36GB、できれば48GB以上を目安に選択してください。
4K・3D・重いプラグインを多用するなら:M5 Max
強化されたGPUと614GB/sの広帯域を備え、高負荷処理で最も余裕を持てる構成です。
Advanced 3Dレンダラーの常用や、4K素材を複数重ねる重い合成処理を行う用途に適しています。
一方、2D主体のモーショングラフィックスが中心なら、M5 Proとの処理速度差は体感しにくい傾向があります。
学習・軽い作業なら:MacBook Pro M5
After Effectsの基本操作を学ぶ段階や、SNS向けの短いモーショングラフィックス制作なら対応できます。
ただし搭載メモリは32GBが上限となるため、本格的な商用案件が増えた段階での買い替えを前提に検討してください。
据え置きで安く始めるなら:Mac mini
持ち運びが不要であれば、Mac miniが初期導入費用を最も抑えられます。
メモリ上限が32GBまでのため、長尺コンポジションや4K案件のプレビュー維持には向きません。
別途ディスプレイやキーボード、マウスを揃える必要がある点も予算計画に含めてください。
メモリはいくつ選ぶべきか
Macを購入するうえで最も注意すべきポイントがメモリ容量です。
ユニファイドメモリは購入後に増設できません。
後からスロットにメモリを追加できる一般的なデスクトップWindows機と異なり、購入時の容量が上限になります。
| メモリ | できること | 向いている人 |
|---|---|---|
| 16GB | 短いカットの編集。プレビューのキャッシュ保持時間は短い | 学習用途向け。商用の実務作業には非推奨 |
| 24〜32GB | フルHDの一般的な案件 | 副業や短尺中心の小規模案件 |
| 48GB | 4K素材や長尺カットのプレビューも実用的 | 映像制作を請け負う実務の標準ライン |
| 64GB以上 | 高負荷プラグインや3D要素を多用しても安定 | 本業で連日長時間の重い制作を行う人 |
予算配分に迷った場合は、CPUのグレードを一段下げてでもメモリ容量を優先してください。
After Effectsでは演算速度の低下よりも、メモリ枯渇によるプレビュー停止やエラーが作業を止める原因になります。
MacとWindows、どちらを選ぶか
| Mac | Windows | |
|---|---|---|
| 同容量での実効メモリ | 有利(ユニファイドメモリ) | CPU側とGPU側で別管理 |
| メモリ帯域 | 広い | 構成による |
| メモリ増設 | 不可 | あとから増設可能 |
| 同予算での容量 | 割高 | 大容量を安価に搭載可能 |
| 静音性・消費電力 | 優れている | 構成による |
| プラグインの対応 | 対応済みが多いが事前確認推奨 | 最も確実 |
| GPUの選択肢 | チップ内蔵のみ | 用途に応じて単体GPUを選択可能 |
すでにMac中心の制作環境を構築しているなら、無理にWindowsへ乗り換える必要はありません。
一方、同等の予算でより大容量のメモリを積みたい場合や、高性能GPUの選定・後からのパーツ増設を重視するならWindows機が有利です。
Windows搭載PCの詳しい選び方はAfter Effects向けPC比較にまとめています。
Macで作業するときの注意点
- メモリは購入後に増設できません。
注文時の容量が上限になるため、将来の作業規模を見越して余裕を持った容量を選定してください。 - 内蔵ストレージも購入後の交換・増設はできません。
本体ストレージは基本容量に抑え、Thunderbolt接続などの高速外付けSSDで補う運用が費用対効果に優れます。 - 利用予定プラグインのApple Silicon対応状況を確認してください。
主要な商用プラグインの多くはネイティブ対応していますが、更新が止まっているプラグインや特定ツールは事前に動作確認が必要です。 - ディスクキャッシュ先は外付けSSDへ逃がせます。
内蔵ストレージの空き容量を圧迫しないよう、After Effectsの環境設定からキャッシュ専用の高速外付けSSDを指定する構成が効果的です。
推奨される外付けSSDや作業効率化デバイスについては、作業が速くなる周辺機器で詳しく解説しています。
まとめ
After EffectsはApple Silicon搭載Macでも安定して快適に動作します。
選定時に最も重視すべき基準は、CPUの最上位グレードよりも必要十分なメモリ容量です。
- 実務案件を幅広くこなすならM5 Pro+メモリ48GB以上が標準的な基準
- 4K制作や重い3Dエフェクトを多用するならM5 Max
- 学習や短尺動画が中心ならM5やMac miniから開始可能
- ユニファイドメモリは後から増設できないため、購入時に余裕を持った容量を選ぶ
※本記事に掲載した価格・仕様は2026年9月3日時点の調査に基づきます。
最終調査日:2026年9月3日。
価格は変動するため、購入前に販売ページで最新の情報をご確認ください。
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制作PCの構成を比較するガイド
PC構成を検討する際は、メモリ容量や保存ストレージ、GPUを用途別に切り分け、普段の制作でボトルネックとなる要素を整理することが大切です。
運営メディア「デザノマ」の制作PCの構成を比較するガイドで確認できます。
