本記事では、FaceRigとLive2Dを組み合わせてカスタムパラメーターで8つの感情を切り替える手順を解説します。
8つの感情表現を用意しておくと、配信や動画収録での幅広いシチュエーションに対応しやすくなります。
FaceRigで8つの感情をカスタムパラメーターで用意した理由
2018年7月のFaceRigアップデートにより、設定可能な特殊パラメーターが4つから8つへ拡張されました。
割り当て可能なキー操作は「Z・X・C・V」キーと「Shift + Z・X・C・V」キーの計8通りです。
衣装や装飾品の切り替え枠として使うこともできます。
今回はキャラクターの表情付けを重視し、8枠すべてを感情表現用として作成しました。
感情の環とは?
特殊パラメーター枠が8つに拡張された際、感情の分類モデルを参考に設計しました。
Unite 2018の「AniCast!東雲めぐちゃんの魔法ができるまで」講演内で紹介されていたプルチックの感情の環(Plutchik’s wheel of emotions)の基本8感情が、8枠のパラメーター構成と合致したため採用しています。

FaceRig + Live2Dで作成するパラメーター
制作時間を抑えるため、3時間程度で手軽に実装できるシンプルな表現を中心に構成しました。
| 感情 | 和訳 | パラメーター名 |
|---|---|---|
| JOY | 喜び | 目笑顔 |
| TRUST | 信頼 | 目キラキラ |
| FEAR | 心配 | 目くの字 |
| SUPRISE | 驚き | 目ぐるぐる |
| SADNESS | 悲しみ | 顔青筋 |
| DISGUST | 嫌悪 | 目ハイライト無し |
| ANGER | 怒り | 顔赤筋 |
| ANTICIPATION | 期待 | 顔照れ |
JOY 喜び 笑顔

目をアーチ状に変形させた笑顔表現を作成します。
新規のイラスト描き起こしは不要です。
Live2D側のモデリング作業は8種類の中で最も手間がかかりますが、作業時間は15分程度で完了します。
TRUST 信頼 目キラキラ

瞳に星型ハイライトを追加します。
イラスト側の素材作成は短時間で完了します。

Live2D側もハイライトパーツを追加表示する設定のみのため、すぐに作成できます。
FEAR 心配 目くの字

焦りや怯えを表現する「くの字」形状の目を漫符として作成します。
イラスト側は3点パスで1パーツを作成したあと、複製して配置します。
バランスよく見えるサイズ調整がポイントです。
Live2D側は通常表示の目を非表示にし、くの字目を表示させます。
頭部の動きに追従させるパラメータ調整は必要ですが、手順自体は簡単です。
SUPRISE 驚き 目ぐるぐる

混乱や驚きを表現する「ぐるぐる目」の漫符です。
イラスト側は円シェイプを複製して位置をずらしながら並べて作成しました。
手描きの渦巻きにする方法もありますが、工数短縮のためシェイプを活用しています。
Live2D側は通常の目をオフにして新規パーツを表示させます。
顔の向きに合わせる追従調整を行えば完成です。
SADNESS 悲しみ 青筋

血の気が引いて顔の上部が青ざめる縦線・グラデーションの表現です。
イラスト側は顔の輪郭に合わせて青系のグラデーションを配置するだけなので短時間で作成できます。
Live2D側も青ざめ用パーツを追加し、頭部や顔の動きに追従するよう設定します。
DISGUST 嫌悪 ハイライト無し

イラストの新規描き起こしは不要です。
Live2D側で瞳のハイライトパーツを非表示(不透明度0)に切り替えるだけで作成できます。
ANGER 怒り 赤筋

顔が紅潮して怒りを表す効果です。
広範囲を赤く染めると目や口の描画・ブレンドに影響するため、今回はパーツ干渉を避けた簡易的な範囲にとどめています。
イラスト側は顔の輪郭に合わせて赤系のグラデーションを配置して作成します。
Live2D側は赤みパーツを配置し、顔の動きに追従するように割り当てます。
ANTICIPATION 期待 照れ

喜びや照れ隠しなどを表現する頬染め効果です。
イラスト側は頬の位置にチークブラシを加えます。
Live2D公式のサンプルモデルの構造も参考になります。
Live2D側は照れパーツを追加し、顔の向き・傾きに合わせたデフォーマ設定を行います。
FaceRigの感情設定について
モデル設定ファイル「cc_neko.cfg(キャラ名がnekoの場合)」に、8つのカスタムパラメーター定義コードを追記します。
set_special_pose_param neko 'PARAM_JOY' 0 1 1
set_special_pose_param neko 'PARAM_TRUST' 0 1 2
set_special_pose_param neko 'PARAM_FEAR' 0 1 3
set_special_pose_param neko 'PARAM_SUPRISE' 0 1 4
set_special_pose_param neko 'PARAM_SADNESS' 0 1 5
set_special_pose_param neko 'PARAM_DISGUST' 0 1 6
set_special_pose_param neko 'PARAM_ANGER' 0 1 7
set_special_pose_param neko 'PARAM_ANTICIPATION' 0 1 8カスタムテンキー(NT-19UH2BKN)について
8種類のキー操作を通常キーボードだけで瞬時に切り替えるのは難しいため、プログラマブルテンキーを導入して専用キーを割り当てました。
- 設定ソフト(NT-19専用ソフト)を起動して各キーにショートカットを割り当てます。※Windows 10環境ではキー入力後にソフトが一時フリーズする事例が確認されているため留意してください。
- Shift + Cなどを割り当てる場合は、ソフト上のShiftアイコンをダブルクリックして点灯状態にしてからキーを入力します。
- キー書き込み後に画面上で「OK」と表示されたことを必ず確認してください。「Failure」と表示された場合は書き込みに失敗しています。

運用に合わせてテンキー側の配置を押しやすいキー配列(Z・X・C・V・B・N・G・Hなど)にカスタマイズしました。
実演動画のとおり、テンキーのワンプッシュで各感情をスムーズに切り替えられます。
この記事で紹介しているコードは、GitHubのMOTOKI-LLC/cg-method-codeにもまとめています。
FaceRigの記事は、ほかにもあります。




カスタムパラメーターで8つの感情を切り替える方法まとめ
感情の環では隣接する基本感情の混色表現も定義されているため、より自然な表現に向けたパラメーター設計は継続して検証中です。
パラメーター自体はON/OFFのトグル動作のため同時押しによる組み合わせも可能ですが、管理が複雑化しやすくなります。
まずは扱いやすい8つの単一感情をベースに設定し、運用のしやすさを高めていく運用がおすすめです。
FaceRigのカスタムパラメーターの基本的な導入手順や構文については、以下の記事もあわせて確認してください。

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