Premiere Proで音ズレが起きたら、まず「最初から同じ量だけずれる」「後半ほどずれが広がる」「編集画面でだけずれる」を分けて確認します。可変フレームレート(VFR)は原因候補の一つですが、音ズレがあるだけでVFRとは判断できません。
元の動画と短い書き出しを比べ、どの段階でずれるかを確認してから、素材のプロパティや変換方法を調べます。以下の操作説明は公式資料に基づき、日本語UIの検出表示・同期設定と短い人工素材の直接出力について、2026年10月9日のWindows実機記録を追補しています。後半の練習用動画の変換と同期測定は、2026年10月2日にFFmpegで実行した記録です。
変換する前に音ズレの種類を切り分ける
| 症状 | 先に比較するもの | 次の確認 |
|---|---|---|
| 冒頭から末尾までほぼ一定量のズレ | 元動画、タイムライン上の音声位置、別録りの音声 | クリップを動かしていないか、同期の基準となる音と映像が合っているか |
| 冒頭は合うが後半ほどズレが広がる | 冒頭・中間・末尾の同じ出来事 | 素材のVFR表示と時刻情報、変換したコピーでの同期 |
| タイムライン再生ではずれるが書き出しは合う | 同じ範囲の書き出しとタイムライン再生 | 素材を変換する前に、再生時だけの現象かを確認 |
| 元動画は合うが書き出しでずれる | 短い書き出しを別のプレーヤーでも再生 | 書き出し条件と、特定の素材や範囲に限って発生するか |
この表は調べる順番を決めるためのものです。症状だけで原因を確定せず、同じ場面を比較します。長い素材では、冒頭だけ合っていても変換に成功したとは判断できません。
可変フレームレートとは
Adobeの資料では、メディアファイルのフレームレートが時間とともに変わることを指す言葉として説明されている。
圧縮の度合いを保つため、または撮影や録画のときの性能を良くするために行われる。
例として挙げられているのは次のものである。
- スマートフォンで撮った映像
- ウェブカメラの映像
- NVIDIA ShadowPlayのようなゲームの録画ソフト
- OBS Studioのような画面録画のソフト
録画方法だけで判断せず、問題がある素材の情報を確認する。
可変フレームレートは音ズレの原因候補だが、それだけで音がずれるとは限らない。
映像と音声の時刻情報を正しく扱える素材と変換では、フレーム間隔が変わっても同期を保てる。
素材が可変かどうかを調べる
先に、その素材が可変かどうかを確かめる。
Adobeの資料では、2つの調べ方が案内されている。
Premiere Proで見る
- 素材をPremiere Proに読み込む
- プロジェクトパネルでその素材を右クリックしてプロパティを選ぶ
- プロパティのパネルに「Variable Frame Rate Detected」と出るかを見る
この表示が出れば、可変フレームレートである。
2026年10月9日に、WindowsのPremiere Pro(日本語UI、引き継ぎ記録上のバージョンは26.5.2)でも同じ確認をしました。
日本語UIでは、プロパティの最後の行に「可変フレームレートが検出されました」と表示されます。
このとき同じプロパティのフレームレート欄には20.11と出ていて、こちらは平均値の表示です。
平均のフレームレート表示だけを見て固定フレームレートだと判断しないでください。
確認に使ったのは、640×360px・6秒で、前半を10fps、後半を30fpsとして作った人工的な素材です。
確認画面には作業パスや別の検証素材名が写っているため、画面画像の掲載を省いて確認内容を文章で示しています。
MediaInfoで見る
もう1つは、MediaInfoという無料のソフトで見る方法である。
- MediaInfoでファイルを開く
- Viewからツリー表示を選ぶ
- Videoの中のFrame Rate Modeを見る
ここがVariableになっていれば、可変フレームレートになる。
このとき、最小と最大のフレームレートの値も出る。
最小・最大の値はフレームレートの変動を調べる手掛かりになる。ただし、数値の差だけで音ズレの発生や変換の要否を判断する基準は、参照したFAQには示されていない。
Premiere Proの中で合わせる
Adobe社員が2019年1月に掲載したFAQでは、MPEG Sourceの同期設定が案内されている。以下はその説明であり、使用中の版や素材で項目が表示されるかを確認する。
- プロジェクトパネルから、その素材をソースモニターで開く
- エフェクトコントロールのパネルに切り替える
- MPEG Source の設定を見る
ここに、2つの選択肢がある。
| 設定 | 何をするか | 代わりに起きること |
|---|---|---|
| Preserve Audio Sync | 音と映像が合うようにデコードする | 映像のフレームを足したり落としたりするため、動きが滑らかでなくなることがある |
| Smooth Video Motion | 素材にあるフレームをすべてデコードする | 音と映像を合わせようとしない |
音のある可変フレームレートの素材では、Preserve Audio Syncが既定になる。
音が検出されない場合は、Smooth Video Motionが既定になる。
モーショングラフィックスの作業で、あるフレームをすべて使いたい場合はこちらを選ぶ、と説明されている。
2026年10月9日に、WindowsのPremiere Pro(日本語UI、引き継ぎ記録上のバージョンは26.5.2)で、この設定が実際に表示されるかを確認しました。
日本語UIでソース設定を開くと、「MP4 ソース設定」というダイアログに「可変フレームレートモード」の項目があります。
今回の素材では、この項目に「オーディオ同期を保持」が選ばれた状態で表示されていました。
これが英語UIのPreserve Audio Syncにあたる表示です。
今回は表示を確認しただけで、設定は変更せずにダイアログを閉じています。
この項目が表示されることと、手元の実写素材の音ズレが直ることは別の話です。
それでも合わないとき
Adobeの資料には、この設定が意図どおりに働かない場合があると注記されている。
理由として挙げられているのは、最小と最大のフレームレートの差が大きいことである。
その場合は、固定フレームレートへ変換してから使うことが勧められている。
変換に使うソフトとして、Shutter EncoderとHandbrakeが挙げられている。
Media Encoderでも変換できるファイルはあるが、読み込めないファイルについては上の2つを使うよう案内されている。
先に変換したほうがよい場合
Adobeの資料には、制限として2つ挙げられている。
- プロキシ、統合、トランスコードの作業を使う予定があるなら、編集を始める前に固定フレームレートへ変換したほうがよい
- 旧バージョンで手動同期したVFR素材をPremiere Pro 12.0.1以降で開く場合は、同期を見直す必要がある(2019年のFAQに記載された移行条件)
1つ目は、あとから効いてくる話になる。
途中で作るプロキシにも、元素材との長さと同期の確認が必要になる。
可変だと分かった時点で変換しておくほうが、やり直しが少ない。
フレームレートの解釈を変えるのは別の話
フレームレートに関する設定として、フッテージを変換という機能がある。
これは可変フレームレートの対処ではなく、素材のフレームレートをどう解釈するかを変えるものである。
- プロジェクトパネルで素材を右クリックする
- 変更 > フッテージを変換 を選ぶ
- 「このフレームレートを仮定」を選び、値を入れる
- デュレーションの欄で長さの変化を見る
- OKを押す
公式の説明では、フレームレートを変えると映像だけでなく音も変わる。
そして、元の長さが比例して変わる。
例として、10秒の24fpsのクリップを48fpsにすると、長さが半分の5秒になると書かれている。
音ズレを直すつもりでこれを使うと、素材の長さそのものが変わってしまう。
確かめる順番
- プロパティで「Variable Frame Rate Detected」が出るかを見る
- 表示されない場合も、それだけで原因を決めず、素材の時刻と音声の設定を調べる
- 出たら、MPEG Source の設定を見る
- Preserve Audio Sync になっているかを確かめる
- それでも合わないなら、MediaInfoの情報と、元動画・書き出しの冒頭、中間、末尾を比較する
- VFR素材で問題が続く場合は、固定フレームレートへ変換したコピーを読み込み、元動画と同期を比較する
表示の有無に加え、音声トラックの位置、別録り音声との同期、素材の開始時刻、再生と書き出しの違いを確認する。
先にここで分けておくと、無駄な変換をせずに済む。
録る側で避ける
毎回変換するより、録る時点で固定にできるなら、そのほうが早い。
- 画面録画のソフトに固定フレームレートの設定があれば、そちらにする
- 録画のフレームレートを、編集で使う値に合わせておく
- 長い録画では、開始・中間・終端の同期を確認する
可変フレームレートにする目的や、負荷時にフレームを落とす動作は録画ソフトと設定によって異なる。
録画ソフトで固定フレームレートを指定した場合も、録画後の素材でフレームレート情報と冒頭・中間・末尾の同期を確認する。
変換後の光と音を確認する練習
2026年10月2日に作った模様と合成音で、人物や撮影素材は含みません。
展開したフォルダーから実行します。
同梱のvfr-sync.mp4は6秒の動画で、最初の3秒を10fps、その後を30fpsにした入力です。
0.5秒と3秒に白いフレームと短い音を入れ、元動画では2か所とも時刻が一致しています。
FFmpegを導入済みのWindowsで、次の例は元を残して30fpsの新しいコピーへ変換します。
30はこの練習用データの指定で、実素材では編集の条件に合わせます。
ffmpeg -hide_banner -nostdin -n -i "vfr-sync.mp4" -map 0:v:0 -map 0:a:0 -vf fps=30 -fps_mode cfr -c:v libx264 -crf 20 -c:a aac -movflags +faststart "ffmpeg-cfr-sync.mp4"
| 確認点 | 入力 | FFmpegの出力 |
|---|---|---|
| 1回目の白い映像/音 | 0.5秒/0.5秒 | 0.5秒/0.5秒 |
| 2回目の白い映像/音 | 3秒/3秒 | 3秒/3秒 |
| 映像フレームの間隔 | 10fpsから30fpsへ変化 | 1/30秒で一定 |
2026年10月2日にFFmpeg 9.0.2で、映像のフレーム時刻と音声の波形を測定した結果です。
Premiere Proでの読み込みや再生を実測した記録ではありません。
同じ入力をHandBrakeCLI 1.11.2のFast 1080p30、RF 22、30fps固定で変換すると、2回目の白い映像が2.5秒、音が3秒になりました。
この急にfpsが変わる練習用入力での結果であり、すべてのHandBrake変換や実際の録画で同じ問題が起こるとは断定しません。
実素材では変換コピーをPremiereへ読み込み、冒頭・中間・終端の口の動きや合図と音を元と比べます。
プロジェクトを別名で保存してから試し、ずれが増える出力は採用せず、保持した元素材と更新前のプロジェクトへ戻します。
出力名が存在するとFFmpegの-nが上書きを止めます。
今回のWindows版では、その場合に終了コードが0でも既存ファイルを保持して止まったため、終了コードだけで成功と判断せず、ログと新しい出力の内容を確認します。
変換方法の使い分けはVFRからCFRへ変換する記事を確認してください。
Adobeの設定説明は2019年掲載の社員FAQに基づくため、使用中の版で項目を確認します。
Premiere Proから直接書き出して光と音を比べた記録
前の節はFFmpegとHandBrakeCLIで変換した結果で、Premiere Proの読み込みや書き出しを測ったものではありません。
ここでは同じ条件で作った入力をPremiere Proに読み込み、アプリから直接書き出した結果を分けて記録します。
2026年10月9日に、WindowsのPremiere Pro(日本語UI、引き継ぎ記録上のバージョンは26.5.2)で実行しました。
素材は640×360px・6秒で、前半を10fps、後半を30fpsにした自作の図形と合成音です。
0.5秒と3秒に白いフラッシュと短い音を入れてあり、元の素材では2か所とも映像と音の時刻が一致しています。
この素材から作ったシーケンスは、シーケンス設定のタイムベースが20.11フレーム/秒でした。
書き出し画面ではソースが20.114fpsと表示され、出力のフレームレートは18になりました。
書き出したH.264のMP4をFFmpegで調べると、18fps・107フレーム・約5.944秒でした。
18fpsはこの素材でそうなったという記録であり、書き出しに18fpsをすすめるものではありません。
出力を解析すると、白いフラッシュは0.5秒と3秒のままでした。
音の始まりは10ms刻みの測定で0.52秒と3.02秒でした。
2か所とも、音が映像より約20ms遅れていたことになります。
映像のフレーム間隔は約0.0556秒で一定になりました。
元の素材のフレーム間隔は約0.0333秒と0.1秒が混じった状態でした。
フレーム間隔は一定になりましたが、ずれがゼロになったという結果ではありません。
| 確認点 | 入力 | Premiere Proの直接出力 |
|---|---|---|
| 1回目の白い映像/音 | 0.5秒/0.5秒 | 0.5秒/0.52秒 |
| 2回目の白い映像/音 | 3秒/3秒 | 3秒/3.02秒 |
| 映像フレームの間隔 | 10fpsから30fpsへ変化 | 18fpsで一定 |
この測定は6秒の人工素材に対するもので、長時間の録画や人の口の動きを評価したものではありません。
実際に音を聴いて確かめる確認は行っていません。
前の節のFFmpegとHandBrakeCLIの結果とは別々の測定なので、分けて読んでください。
HandBrakeCLIの条件で2回目の白い映像が2.5秒になった結果は、今回の測定で打ち消されるものではありません。
変換すれば必ず直るとは言えない、という点は変わりません。
保存したプロジェクトを閉じて開き直し、元の素材がオンラインのまま表示されることも確認しました。
ソース設定の表示は、開き直す前に確認した内容です。
今回の確認はWindowsで行っていて、macOSでの再開は確認していません。
まとめ
- 後半ほど開いていく音ズレは、可変フレームレートを疑う
- スマートフォン、ウェブカメラ、ゲームや画面の録画ソフトに多い
- プロパティに「Variable Frame Rate Detected」と出るかで分かる
- MPEG Source の Preserve Audio Sync が、音を合わせる側の設定
- Smooth Video Motion は、合わせずにフレームをすべて使う側
- VFR素材で問題が続く場合は、CFRへ変換したコピーで同期を比較する
- フッテージを変換は別の機能で、長さそのものが変わる
- Preserve Audio Syncは、日本語UIでは「オーディオ同期を保持」と表示される
- 自作の6秒のVFR素材をPremiere Proから直接書き出した測定では、2か所とも音が約20ms遅れた
公式資料は2026年10月3日に確認した。VFRの同期設定は2019年のFAQ、フッテージの変換は2026年1月更新の公式ヘルプを参照している。
可変フレームレートについての記載は、Adobeのコミュニティに社員がFAQとして掲載しているものを参照した。
可変フレームレートの扱いはAdobeコミュニティのFAQにまとまっている。
フッテージを変換の仕様はAdobe公式のクリップのフレームレートを変更するにある。
プロキシの考え方はDaVinci Resolveのプロキシと最適化メディアの違いにも書いた。
動画編集の話は動画編集の使い方まとめにも置いている。
声の大きさの違いを直したい場合は、同期の調整とは別にエッセンシャルサウンドで音量を揃える方法を確認してください。
