Premiere Proで書き出した動画の画質が、編集中より悪く見えるときは、まずビットレート、フレームサイズ、プロキシやプレビューファイルを使った書き出しになっていないか、の3つを確かめます。
動きの多い場面だけが崩れるならビットレートの不足、画面全体がぼやけるならフレームサイズの縮小・拡大やプロキシでの書き出しが疑わしい原因です。
この記事は、Adobe公式ヘルプ(書き出し設定の概要、基本ビデオ設定)の記載をもとにまとめたものです(2026年10月18日確認)。
画面での操作の再現と、実際に書き出した動画での画質の比較は含みません。
項目の名前は、この機に入っているPremiere Pro 2026(26.5.2)とMedia Encoderの日本語の文字列ファイルで確かめています。
症状から原因の見当をつける
| 症状 | まず見る設定 |
|---|---|
| 動きの多い場面や暗い場面でブロック状に崩れる | ビットレート(ターゲットビットレート、CBR・VBR) |
| 画面全体が少しぼやける、文字の輪郭がにじむ | フレームサイズ、最高レンダリング品質を使用、プロキシを使用する、プレビューを使用 |
| 空やグラデーションに縞が出る | 最大深度でレンダリング |
| 映像が縦や横に伸びて見える | 縦横比(ピクセル縦横比) |
| 動きがカクつく、残像のように見える | フレームレートと補間 |
書き出しの設定は、ファイルメニューの「書き出し」から「メディア…」を選んで開く画面で確かめます。
ヘルプでは、ビデオの設定は選んだ形式によって変わり、形式ごとに使える設定が決まっていると説明されています。
1.ビットレートが低すぎないか
ビットレートは、1秒あたりのデータの量です。
ヘルプでは、一般にビットレートを高くするとビデオとオーディオの品質が上がると説明されています。
| 項目 | ヘルプの説明 |
|---|---|
| CBR(固定ビットレート) | データレートを一定にする。書き出しは速くなるが、複雑なフレームでは品質に影響することがある |
| VBR(可変ビットレート) | 映像の複雑さに合わせてデータレートを変える。ファイルが小さくても全体の品質は上がるが、書き出しに時間がかかることがある |
| VBR 2パス | 2回目の処理でエンコードの効率が上がり、多くの場合は品質も上がる。そのぶん時間がかかる |
| ターゲットビットレート | ファイル全体のビットレート。ビデオはMbpsで指定する |
動きの多い場面だけが崩れるときは、ターゲットビットレートを上げるか、VBRの2パスに変えて書き出し直します。
ヘルプでは、CBRのファイルはさまざまな環境で安定して再生しやすく、VBRのファイルは画質が高くなる傾向があると説明されています。
H.264のプリセットには、ほとんどの設定をソースに合わせ、ソースのフレームサイズに応じてビットレートを調整する「ソースの一致 - アダプティブビットレート」があるとヘルプに書かれています。
Media Encoderの文字列ファイルでは、このプリセットは「(低)」「(中)」「(高)」の3つに分かれています。
ビットレートを自分で決めるのが難しければ、まず「ソースの一致 - アダプティブビットレート (高)」で書き出して比べてみてください。
YouTube向けの設定は、YouTube向けにH.264で書き出す設定にまとめています。
2.フレームサイズを縮小・拡大していないか
書き出しのフレームサイズが、シーケンスや素材と違うと、書き出しのときに拡大や縮小が起こります。
フルHDの素材を4Kで書き出しても細部は増えず、4KのシーケンスをフルHDで書き出すと縮小されます。
ヘルプでは、「最高レンダリング品質を使用」は、ソースとは違うフレームサイズに拡大・縮小するときに、細部を保ち、エイリアス(輪郭のギザギザ)を防ぐのに役立つと説明されています。
- 高解像度の4KシーケンスからHDやSDに書き出すときなどに効く
- GPUに対応していない環境では、書き出し時間が大幅に増えることがある
- レンダラーがMetal・CUDA・OpenCLで、対応するGPUがある環境では、自動的に最高のレンダリング品質が使われる
GPUで処理している環境では、このチェックを入れても変わらない場合があるということです。
縦横比(ピクセル縦横比)がソースと違うと映像がゆがむことがある、ともヘルプに書かれています。
フルHDや4Kの素材なら、通常は正方形ピクセル(1.0)のままにします。
3.プロキシやプレビューファイルで書き出していないか
書き出しの設定の「一般」には、「プレビューを使用」と「プロキシを使用する」があります。
| 項目 | ヘルプの説明 |
|---|---|
| プレビューを使用 | 新しくレンダリングせず、シーケンス用に作ったプレビューファイルを使って書き出す。書き出しは速くなるが、プレビューの形式によっては品質に影響する |
| プロキシを使用する | 新しくレンダリングせず、作っておいたプロキシファイルを使って書き出す。初期設定はオフ |
プロキシは編集を軽くするための低解像度のファイルなので、これを使って書き出すと画質が落ちます。
画面全体がぼやけて見えるときは、この2つのチェックが外れているか確かめてください。
Media Encoderの文字列ファイルには、元のメディアがオフラインの場合はプロキシを使ってエンコードされる、という警告の文字列もあります。
元の素材のリンクが切れていないかも、あわせて確かめてください。
プロキシの切り替えと原本での書き出しは、Premiere Proのプロキシの作り方で説明しています。
4.グラデーションに縞が出るなら最大深度でレンダリング
ヘルプでは、「最大深度でレンダリング」をオンにすると、形式が対応する最大のビット深度(多くの場合は32ビットフロート)でエフェクトがレンダリングされると説明されています。
色の情報を多く保つことで、なめらかなグラデーションの部分の縞(バンディング)が減り、明るい部分や暗い部分の細部も残りやすくなるとされています。
ただし、GPUアクセラレーションが有効な環境では、この設定に関係なく、常に最大のビット深度でエフェクトがレンダリングされるとヘルプに書かれています。
Premiere Pro 26.5.2の文字列ファイルでは、この項目の表記が「最大深度に合わせてレンダリング」になっているものもあります。
5.フレームレートをソースと変えていないか
ヘルプでは、ソースと違うフレームレートを選ぶと、不要な動きのアーティファクトが出ることがあると説明されています。
| 補間の方法 | ヘルプの説明 |
|---|---|
| フレームサンプリング | フレームを複製・削除して合わせる。再生が途切れたりぎこちなくなったりすることがある |
| フレームブレンド | 前後のフレームを混ぜて追加・削除する。よりなめらかになる |
| オプティカルフロー | ピクセルの動きから補間する。通常は最もなめらかだが、フレーム間の違いが大きいと乱れることがある |
特別な理由がなければ、フレームレートはソースやシーケンスと同じにして書き出します。
ハードウェアエンコーディングについて
ヘルプでは、H.264とHEVCでは初期設定でハードウェアによる高速化が選ばれ、使えるハードウェアでエンコード時間を短くすると説明されています。
文字列ファイルには、ソフトウェアエンコーディングを選ぶとハードウェアエンコーディングが無効になり、エンコード時間が長くなることがある、という説明があります。
ハードウェアとソフトウェアで画質が変わるかについては、今回読んだヘルプには記載がありませんでした。
ほかの設定を見直しても画質が気になる場合は、短い範囲を両方で書き出して見比べてください。
見直す順番のまとめ
- 書き出しの「プロキシを使用する」「プレビューを使用」が外れているか確かめる
- 書き出しのフレームサイズ・フレームレート・縦横比が、シーケンスと同じか確かめる
- ターゲットビットレートを上げるか、VBRの2パスにする
- 縮小して書き出すなら「最高レンダリング品質を使用」を入れる
- グラデーションに縞が出るなら「最大深度でレンダリング」を入れる
- 短い範囲だけを書き出して、変えた設定の効果を比べる
書き出しが途中で止まる、エラーが出るといった場合は、Premiere Proで書き出しできない原因と対処法を見てください。
確かめていないこと
- この記事の設定を、Premiere Proの画面で操作して確かめてはいない
- 実際に書き出した動画で、設定による画質の違いを比べてはいない
- ハードウェアエンコーディングとソフトウェアエンコーディングで画質が変わるか
- 書き出しの画面で、各項目がどのセクションに表示されるか
参照したページは、Adobe:書き出し設定の概要、Adobe:基本ビデオ設定です。
