「動画編集用のPC」と一括りに語られることが多いのですが、使うソフトによって必要な構成はまったく違います。
同じ予算でも、選び方を間違えるとPCの性能を活かせません。
結論を先に書きます。
Premiere Proはメモリ、DaVinci ResolveはGPUのVRAMが効きます。
この違いを知らずに買うと、片方には過剰で、もう片方には足りない構成になります。
これから撮影も始めるなら、素材が自分のPCで扱えるかを先に確かめられます。
カメラのレンタルは撮影用カメラは借りてから選ぶで解説しました。
ソフトによって効くパーツが違う
| Premiere Pro | DaVinci Resolve | |
|---|---|---|
| 処理の重心 | CPUとGPUをバランスよく使う | ほぼGPUで処理する |
| 最優先で確保するもの | メモリ32GB以上 | VRAM 8GB以上 |
| メモリの目安 | 32GB(4Kなら推奨) | 16GBでも4Kに対応できる |
| GPUを変えたときの差 | 約2.1% | 約11.5% |
最後の行が両者の違いを最もよく表しています。
GPUを上位モデルに変えたとき、Premiere Proでは2%程度しか変わりませんが、DaVinci Resolveでは11%以上の差が出ます。
DaVinci Resolveはカラーグレーディング、エフェクト、リアルタイムプレビューのほぼすべてをGPUで処理する設計だからです。
つまりPremiere中心の人が高価なGPUに予算を寄せても、あまり報われません。
その分をメモリとストレージに回すほうが、体感は良くなります。
① メモリ:Premiere中心なら32GBから
Premiere Proはメモリを多く使います。
4K素材を扱うなら32GBが実質的な下限で、複数のシーケンスを行き来する使い方なら64GBあると詰まりません。
| メモリ | できること | 向いている人 |
|---|---|---|
| 16GB | フルHDの短い動画 | 学習・お試し |
| 32GB | 4Kの一般的な編集 | 実務の標準ライン |
| 64GB | 4K多トラック、モーション併用 | 本業で毎日使う |
DaVinci Resolveだけを使うなら、16GBでも4K編集は成立します。
ただしPremiereと併用する、After Effectsも使うなら32GB以上を見ておいてください。
② GPU:DaVinci中心ならVRAM容量が最優先
DaVinci ResolveではVRAMが足りないと、再生がカクつくだけでなくエラーで止まります。
見るべきはGPUの速さより、VRAMの容量です。
| VRAM | できること | 該当GPU |
|---|---|---|
| 6GB | 最低ライン。フルHDまで | RTX 5060 など |
| 8GB | 快適に使える下限 | RTX 5060 / 5070 Laptop |
| 12GB | 4Kのカラーグレーディング | RTX 5070 |
| 16GB以上 | 4Kで重いノード構成、ノイズ除去 | RTX 5060 Ti 16GB / 5070 Ti |
コスパで選ぶならVRAM 16GBのRTX 5060 Tiが有力です。
上位GPUより演算性能は劣りますが、VRAM容量は同じ16GBを確保できます。
DaVinciでは「速いが載らない」より「多少遅くても載る」ほうが実用的です。
③ 書き出し時間はGPUの「エンコーダー」で決まる
ここが動画編集特有で、最も見落とされる点です。
書き出しの速さは、GPUの3D性能ではなくハードウェアエンコーダーを使えるかどうかで決まります。
実測の例では、CPUによるソフトウェアエンコード(libx264)が17.66秒だったのに対し、NVIDIAのハードウェアエンコーダー(NVENC)では1.83秒でした。
約9.7倍の差です。
| 方式 | 搭載しているもの | 特徴 |
|---|---|---|
| NVENC | NVIDIA GeForce | 高速。動画編集での定番 |
| Quick Sync | Intel CPUの内蔵GPU | 高速。NVENCより圧縮率は控えめ |
| Media Engine | Apple Silicon | 省電力で高速 |
| ソフトウェアエンコード | CPUで計算 | 低速だが画質は最も良い |
ハードウェアエンコードは画質がわずかに劣りますが、YouTubeやSNS向けなら差はほとんど分かりません。
納品先が画質に厳しい場合だけ、ソフトウェアエンコードを使い分けてください。
選ぶときの注意点は、エンコーダーは廉価なGPUにも入っているということです。
書き出しを速くしたいだけなら、高価なGPUは必要ありません。
④ ストレージ:素材の読み出し速度が効く
4Kや6Kの素材は、再生するだけで高い転送速度を要求します。
外付けHDDに素材を置いたままだと、PCの性能に関係なく再生がカクつきます。
- 作業中の素材:内蔵NVMe SSDか、高速な外付けSSDに置く
- 書き出し先:作業ドライブと分けると安定します
- 保管用:容量単価の安いHDDで問題ありません
外付けを使うなら、USB 3.2 Gen2以上に対応したSSDを選んでください。
HDDや古い規格のUSBメモリでは、4K素材の再生に追いつきません。
ソフト別・推奨構成のまとめ
| 主に使うソフト | メモリ | GPU | 予算の目安 |
|---|---|---|---|
| Premiere Pro中心 | 32GB以上 | VRAM 8〜12GBで十分 | 28万円〜 |
| DaVinci Resolve中心 | 16〜32GB | VRAM 16GB以上 | 28万円〜 |
| 両方使う・AEも併用 | 32〜64GB | VRAM 16GB | 45万円〜 |
| フルHD中心・学習段階 | 16〜32GB | VRAM 8GB | 20万円前後 |
まとめ:見るべき順番
- 使うソフトを決める。
PremiereかDaVinciかで正解が変わります - Premiereならメモリ32GB以上を最優先で確保する
- DaVinciならVRAM 16GBを狙う。
GPUの速さより容量です - ハードウェアエンコーダーの有無を確認する。
書き出し時間が数倍変わります - 素材は高速なSSDに置く。
ここが遅いとPCの性能が活きません
※本記事に掲載した価格・仕様は2026年9月3日時点の調査に基づきます。
最終調査日:2026年9月3日。
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ソフト別・この3台
ここまでの通り、Premiereはメモリ、DaVinciはVRAMで決まります。
使うソフトごとに、対応する構成を挙げます。
① 両方使う・まだ決めていないなら:RTX 5060 Ti 16GB
VRAM 16GBとメモリ32GBを確保しているので、PremiereでもDaVinciでも詰まりません。
どちらを使うか決めていない段階なら、この構成が無難です。
② Premiere中心なら:mouse G TUNE DG
メモリ32GBを積み、3年保証が付きます。
国内メーカーのサポートを受けられるので、仕事で使うなら安心材料になります。
③ DaVinci中心なら:RTX 5070 Ti
DaVinciはVRAMが足りないとノードを重ねた時点で止まります。
VRAM 16GBに加えてCPUも強いので、カラーグレーディングまで通して使えます。
候補をもっと見比べたい場合は動画編集向けPC比較で、スペックを絞り込みながら選べます。
