配信者が使っている機材をそのまま買っても、同じ音にはなりません。
マイクの性能より先に、部屋と入力の条件で音が決まるからです。
この記事では、機材を選ぶ前に確認しておくことを、費用のかからない順に説明します。
同じマイクでも音が変わる理由
マイクは目の前の声だけを拾っているわけではありません。
壁で反射した声も一緒に拾います。
この反射音が多いと、いわゆる風呂場のような響きになります。
配信者の声が近く聞こえるのは、高価なマイクを使っているからとは限りません。
反射を抑えた部屋で、口とマイクの距離を近く保っているからです。
| 条件 | 音への影響 |
|---|---|
| 硬い壁と床、家具が少ない | 反射が増えて響く。声が遠く聞こえる |
| カーテンや布、本棚がある | 反射が減って声が近く聞こえる |
| 口とマイクが30cm以上離れている | 部屋の音を拾う割合が増える |
| 口とマイクが10cm前後 | 声の比率が上がり、部屋の影響が減る |
最初に手を入れるべきは、マイクの買い替えではなく距離と反射です。
ここを直さないまま上位機種に変えても、響きはそのまま残ります。
指向性を理解すると選択肢が絞れる
指向性とは、マイクがどの方向の音を拾うかの性質です。
配信では単一指向性が基本になります。
| 指向性 | 拾う範囲 | 配信での使いどころ |
|---|---|---|
| 単一指向性(カーディオイド) | 正面を中心に拾い、背面を抑える | 1人の配信。基本はこれ |
| 双指向性 | 正面と背面を拾い、側面を抑える | 対面での2人収録 |
| 無指向性 | 全方向を均等に拾う | 複数人を1本で録る。反射も拾う |
単一指向性は背面の音を抑えるので、マイクの後ろに反射しやすい壁が来ないよう置くと効果が上がります。
逆に言えば、正面の奥にある壁の反射は拾いやすくなります。
ダイナミックとコンデンサーの選び分け
マイクには大きく2種類あります。
感度が違うので、部屋の条件によって向き不向きが分かれます。
| 種類 | 拾い方 | 電源 | 向いている環境 |
|---|---|---|---|
| ダイナミック | 近くの音を中心に拾う | 不要 | 生活音が入る。反射対策をしていない部屋 |
| コンデンサー | 広い範囲を繊細に拾う | 必要(ファンタム電源など) | 静かで、反射対策をした部屋 |
コンデンサーマイクは音質が良いと言われますが、環境音も同じだけ拾います。
エアコンの音やキーボードの打鍵音が気になるなら、ダイナミックのほうが扱いやすくなります。
ポップノイズは機材では消えない
パ行やバ行を発音したとき、息がマイクに直接当たって「ボッ」と入る音をポップノイズと呼びます。
編集で取り除くのが難しい種類のノイズです。
- ポップガードを口とマイクの間に挟むと、息の直撃を防げます。
- マイクを口の正面ではなく、少し斜めや下にずらして置くだけでも減ります。
- 高価なマイクに替えても、息が当たれば同じように入ります。
サンプリングレートを上げても配信の音は良くならない
マイクやインターフェースの仕様にある96kHzや192kHzという数字は、配信の音質にはほとんど影響しません。
配信は最終的に圧縮されて視聴者に届くためです。
48kHz・24bitで十分です。
数字の大きさより、ゲイン設定と部屋の条件のほうが結果に効きます。
マイクの前に、入力の経路を確認する
USBマイクはパソコンに挿すだけで使えます。
一方でオーディオインターフェースを挟む構成もあり、後から機材を足すときに違いが出ます。
| 構成 | 増設のしやすさ | 注意点 |
|---|---|---|
| USBマイク | 本体ごと買い替えることになる | 手軽。最初の1本には向く |
| XLRマイク + オーディオインターフェース | マイクだけ替えられる | 初期費用が上がる。設定項目が増える |
最初からXLRで揃える必要はありません。
ただし途中でマイクを替える予定があるなら、インターフェースを先に用意したほうが無駄が減ります。
ゲイン設定は機材選びより効く
ゲインは入力の増幅量です。
低すぎると声が小さく、上げすぎるとノイズまで一緒に大きくなります。
- 普通に話した状態で、メーターが緑から黄色の範囲に収まる位置に合わせます。
- 叫んだときに赤へ張り付くようなら下げます。
- 小さすぎる音を後から編集で持ち上げると、ノイズも一緒に持ち上がります。
この調整をしないまま「マイクが悪い」と判断してしまう例は少なくありません。
買い替える前に一度見直す価値があります。
優先順位のまとめ
| 順番 | やること | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 口とマイクの距離を10cm前後にする | 0円 |
| 2 | ゲインを適正値に合わせる | 0円 |
| 3 | マイクを口の正面から少しずらす | 0円 |
| 4 | 口が向いている先の壁の反射を布で減らす | 数千円 |
| 5 | ポップガードを付ける | 千円〜 |
| 6 | 部屋に合った指向性・種類のマイクに替える | 1万円〜 |
| 7 | オーディオインターフェースを足す | 1万円〜 |
上から順に効果が大きく、費用は小さくなっています。
上位3つは今日すぐ試せて、それだけで音が変わることも珍しくありません。
機材を買い足すのは、ここまで試してからで間に合います。
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