動画編集用のPCを調べると、30万円や50万円の構成が並びます。
これから始める人や、副業でYouTube編集をする人にとっては現実的な金額ではありません。
結論からお伝えします。
フルHDの編集なら、10万円台で十分に成立します。
ただし妥協が必要な点を知らずに選ぶと失敗しやすいため、その境界線を明確にします。
10万円台でできること・できないこと
| 作業内容 | 10万円台での可否 | 目安・条件 |
|---|---|---|
| フルHDのカット編集 | 問題なく対応可能 | 一般的なYouTube編集で快適に作業可能 |
| テロップ・BGM・基本的なエフェクト | 問題なく対応可能 | 副業などの標準的な案件で対応可能な水準 |
| フルHDの書き出し | 高速に処理可能 | ハードウェアエンコーダー使用で数分程度 |
| 4Kのカット編集 | 条件付きで可能 | プロキシを作成すれば編集作業は可能 |
| 4K素材の等倍プレビュー | 負荷が高く困難 | プレビュー解像度を下げれば再生可能 |
| カラーグレーディング(複数ノード) | 負荷が高く困難 | VRAM不足によりコマ落ちや停止が発生 |
| 4K複数トラック+負荷の高いエフェクト | 対応不可 | メモリ・VRAM不足で動作が極めて重くなります |
要点は「フルHD編集であれば実務でも通用する」点です。
YouTube向け動画やSNS用の縦型動画、企業案件でもフルHD納品が多くを占めます。
4K制作を日常的に行う段階になってから、上位構成への買い替えや増設を検討しても遅くありません。
10万円台で必須となる2つの条件
① ハードウェアエンコーダーの搭載
書き出し速度を左右する最重要ポイントです。
書き出しの所要時間は、CPU単体の処理能力よりも専用ハードウェアエンコーダーの有無に大きく左右されます。
実測例では、CPUによるソフトウェアエンコードが17.66秒かかったのに対し、NVIDIAのNVENCでは1.83秒で完了しました。
| エンコーダー方式 | 主な搭載環境 |
|---|---|
| NVENC | NVIDIA GeForce搭載機 |
| Quick Sync Video | Intel Coreプロセッサ内蔵GPU |
| Media Engine | Apple Silicon(Macシリーズ) |
いずれかの方式に対応していれば問題ありません。
IntelのCore Ultraを搭載したノートPCなら、独立GPU非搭載でもQuick Syncによる高速書き出しが利用できます。
② メモリ16GBの確保
フルHD編集における推奨最小容量は16GBです。
8GBでも編集ソフト自体は起動しますが、ブラウザなど他アプリを併用した際にメモリ不足で動作が停止しやすくなります。
デスクトップPCなら、購入後にメモリを増設できる点が大きな利点です。
初期費用を抑えて16GBから始め、4Kを扱う段階で32GBへ増設するステップアップが可能です。
デスクトップPC:将来的な増設に対応
持ち運ぶ予定がないなら、同予算帯においてデスクトップPCが圧倒的に有利です。
同じ予算でも独立GPUを搭載しやすく、メモリやストレージを購入後に増設できるメリットがあります。
約16.5万円:ジーム G-StormXa(RTX 5060 / 16GB)|最安ライン
GeForce RTX 5060を搭載しており、NVENCによる高速なエンコードが利用できます。
CPU性能は抑えめですが、フルHDのカット編集であれば十分に対応します。
10万円台における性能の基準として比較してください。
約17.6万円:RTX 5060 / Ryzen 7 5700X / 16GB|CPUに余裕
8コアのRyzen 7 5700Xを採用した構成です。
エフェクトの多用や複数トラックを扱う場面において、下位モデルよりも処理落ちが少なく安定して動作します。
約1万円の差額でCPU処理性能を底上げできるため、安定性を重視するならこちらがおすすめです。
約18.7万円:SSD 1TB版|ストレージ容量に余裕を持たせる
上記の構成をベースに内蔵SSDを1TBへ増量したモデルです。
動画素材はデータサイズが大きいため、512GB構成では短期間で容量不足に陥ります。
外付けストレージを後から買い足す手間やコストを考慮すると、初期状態で1TBを選択するのが便利です。
ノートPC:持ち運んで作業する場合
外出先で編集作業を行う場合、選択肢は大きく2つに分かれます。
GPU非搭載でもQuick Syncで高速書き出しが可能
IntelのCore Ultraを搭載したモバイルノートPCは、独立GPUを搭載していなくてもQuick Sync Videoによる高速な動画書き出しが可能です。
フルHDのカット編集やテロップ入れが中心であれば、GPUなしモデルでも十分に処理できます。
本体が軽量でバッテリー駆動時間も長いため、外出先での作業を前提とするなら実用的な選択肢です。
上位のCore Ultra 7搭載機を選べば、プレビューや書き出しの処理速度にさらに余裕が生まれます。
独立GPU搭載ノートPCは20万円台からが目安
GeForce RTXシリーズなどの独立GPUを積んだノートPCは、相場が20万円台からとなります。
DaVinci Resolveでの本格的な編集や4K動画の扱いも視野に入れる場合は、GPU搭載ノートPCを検討してください。
具体的なおすすめモデルはおすすめのノートPCで詳しく紹介しています。
Mac miniという選択肢
macOS環境を選ぶ場合、Mac miniが約15万円前後から購入できます。
動画処理用のMedia Engineを内蔵しているため、この価格帯でもフルHDや4K素材のエンコードを高速に行えます。
本体のみの製品のため、外付けディスプレイやキーボード、マウスを別途用意する費用を想定しておく必要があります。
Macを使った編集環境の詳細はMacで動画編集するならで詳しく解説しています。
購入後に段階的に拡張する手順
10万円台のPCを導入する場合、必要に応じてパーツや周辺機器を後から拡張する設計にしておくことが費用対効果を高めるポイントです。
① 素材保存用の外付けSSDを追加
運用を始めると真っ先に不足するのがデータ保存領域です。
動画編集用の外付けドライブには、転送速度の遅い外付けHDDではなく高速な外付けSSDを選択してください。
プレビュー再生時の引っかかりやコマ落ちは、ストレージの読み込み速度不足が原因となる事例が多く見られます。
② メモリを32GBへ増設
デスクトップPCならメモリスロットに空きがあれば簡単に増設可能です。
4K素材の取り扱いやレイヤーの多い編集が増えてきた段階で、まず32GBへの増設を検討してください。
③ 外部モニターの導入
ノートPCの画面単体では、タイムラインとプレビュー画面の両方を広々と表示できず作業効率が低下します。
解像度の高い外部モニターを1台接続するだけで、カット作業やテロップ配置の快適性が大幅に向上します。
周辺機器の優先順位や選び方の詳細は作業が速くなる周辺機器で詳しく解説しています。
10万円台の構成で妥協が必要になる作業
- 4K素材をそのままの画質でプレビュー再生する作業。
解像度を下げた軽量データ(プロキシ)を生成すれば快適に作業できますが、事前変換の手間が発生します。 - 複数ノードを重ねた複雑なカラーグレーディング。
グラフィックボードのVRAM容量が不足し、プレビューの極端なコマ落ちやソフトのクラッシュを招きます。 - 負荷の高いエフェクトを多用した長時間のプロジェクト。
16GBメモリではスワップが発生しやすく、タイムライン再生やレンダリング・書き出しに長時間を要します。
DaVinci Resolveでの本格的なカラー編集を検討している方はDaVinci Resolveの推奨スペックもあわせてご確認ください。
まとめ
フルHDの動画編集が中心なら、10万円台の構成でも十分に実務へ対応できます。
選ぶ際は「ハードウェアエンコーダーの有無」と「16GB以上のメモリ」の2点を確実に満たしてください。
この2要件を抑えておけば、初心者から副業での動画制作まで快適にスタートできます。
将来的に4K動画を本格的に扱うようになってから、必要に応じて外付けSSDやメモリを増設していきましょう。
最初から過剰な上位機種を購入するよりも、必要に応じて段階的に拡張していく進め方が最も経済的です。
他の予算帯を含めた機種比較は動画編集向けPC比較を、詳しいパーツ選びの基準は動画編集PCの選び方をそれぞれ参照してください。
※本記事に掲載した価格・仕様は2026年9月3日時点の調査に基づきます。
最終調査日:2026年9月3日。
価格は変動するため、購入前に各販売ページで最新の情報をご確認ください。
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動画編集PCの構成・増設費用の確認
購入機種を確定する前に、使用する編集ソフト・素材解像度・増設費用やストレージを含めた総額を確認できます。
姉妹サイト「デザノマ」の動画編集PCの構成・増設費の確認にて確認できます。
