映像制作の現場ではMacを使う人が多く、動画編集用にMacを検討している方も多いと思います。
Macは動画編集に向いています。
ただし、Windows機とは選ぶときに見る場所がまったく違います。
結論から言うと、
Macで書き出し速度を決めるのは、CPUの性能ではなくMedia Engineの数です。
ここを知らずにCPUのコア数だけで選ぶと、判断を誤ります。
Macの強みはMedia Engine
Apple SiliconにはMedia Engineという映像専用の回路が入っています。
動画の書き出しと読み込みを、CPUやGPUとは別の専用回路で処理する仕組みです。
これがMacの動画編集における大きな強みです。
省電力なノートPCでも、書き出しが速く、4K素材の再生も軽くなります。
重要:Media Engineの数はグレードで変わる
| チップ | 映像エンコード | ProRes処理 | メモリ帯域 |
|---|---|---|---|
| M5(無印)/M6 | 1基 | 搭載 | 153〜170GB/s(M6) |
| M5 Pro | 1基 | 1組 | 最大307GB/s |
| M5 Max | 2基 | 2組 | 最大614GB/s |
M5 MaxはM5 Proに対して、エンコード回路とProRes回路が倍あります。
書き出しを2本同時に走らせても、専用回路で並行処理できます。
つまり書き出し時間を短くしたいなら、上位グレードに上げるのが最も効果的です。
CPUのコア数を見るより、この違いを確認してください。
Final Cut Proを使うなら
Final Cut ProはMac専用で、Apple Siliconに最適化されています。
必要メモリは最小8GB、推奨16GBとされていますが、4K編集をするなら32GB以上を目安にしてください。
Premiere ProやDaVinci Resolveと違い、買い切りで使える点も特徴です。
サブスクリプションを避けたい人には、Macを選ぶ理由のひとつになります。
メモリはいくつ必要か
Macのユニファイドメモリは購入後に増設できません。
Windowsのデスクトップと違い、購入時の容量が上限になります。
作業内容に合わせて必要な容量を慎重に選んでください。
| メモリ | できること | 向いている人 |
|---|---|---|
| 16GB | フルHDの編集。4Kは短尺なら | 学習・YouTube向けの短い動画 |
| 24〜32GB | 4Kの一般的な編集 | 実務の標準ライン |
| 48GB以上 | 4K多トラック、カラーグレーディング | 本業で毎日使う |
Apple SiliconはCPUとGPUがメモリを共有するため、同じ容量でもWindows機より余裕が出ます。
Windowsで32GB必要な作業が、Macでは24GBで収まることもあります。
どのMacを選ぶか
据え置きで安く始める:Mac mini
約15万円から買える据え置き機です。
Media Engineを搭載しているので、この価格帯でも書き出しは十分に速いです。
メモリは32GBが上限なので、4Kの長尺を扱うようになったら手狭になります。
モニターとキーボードを別に用意する必要がある点は、予算に入れておいてください。
持ち歩いて編集する:MacBook Air M4
ファンレスで動作音がせず、バッテリーも長持ちします。
フルHD中心のYouTube編集なら、1台で完結します。
整備済み品ならAppleの保証が付いて、新品より安く購入できます。
実務の主力:MacBook Pro M5 Pro
仕事で動画編集をするなら、ここが標準ラインです。
15コアCPUと最大64GBのメモリで、4K素材の編集も余裕をもってこなせます。
メモリは最低でも24GB、できれば36GB以上を選んでください。
書き出しを最速にする:MacBook Pro M5 Max
Media Engineが2基あるのはこのグレードだけです。
書き出しの本数が多い、納期に追われている、4Kや8Kを常用する。
こうした条件に当てはまるなら、価格差に見合います。
逆にフルHD中心で書き出しが1日数本なら、M5 Proとの差は体感しにくいです。
参考:M5(無印)搭載のMacBook Pro
MacBook Proの中では最も安い構成です。
ただし価格はMac miniの倍以上になるため、持ち運ばないならMac miniのほうが合理的です。
据え置きで本格的にやるなら:Mac Studio
2026年8月に新しいMac Studioが登場しました。
持ち運ばないなら、同じ予算でMacBook Proより高い性能が手に入ります。
ノートPCのような発熱や電力の制約がないぶん、長時間の書き出しでも性能が落ちにくいのが利点です。
Mac Studio(M5 Max)|MacBook Proより安く同等の性能
18コアCPUと32コアGPUで、Media Engineは2基あります。
同じM5 Maxを積んだMacBook Pro 16インチが約75万円なのに対し、こちらは約42万円です。
持ち運びをしないのであれば、30万円以上の価格差は大きい選択肢となります。
メモリは36GBからで、4K編集なら十分な容量です。
Mac Studio(M5 Ultra)|8Kや大規模案件向け
30コアCPU、64コアGPU、96GBメモリという構成です。
8K素材を扱う、複数の重い案件を並行する、といった規模でなければ過剰になります。
まずM5 Maxで足りるかを考えてから検討してください。
Mac StudioとMacBook Pro、どちらを選ぶか
判断基準は持ち運ぶかどうかです。
- 作業場所が固定なら Mac Studio。
同じ性能を安く手に入れられます - 撮影現場や外で作業するなら MacBook Pro。
その分の価格差は移動できることへの対価です
なおMac Studioにはモニターとキーボードが付きません。
初めて買う場合は、その費用も予算に入れてください。
MacとWindows、どちらを選ぶか
| Mac | Windows | |
|---|---|---|
| 書き出しの速さ | Media Engineで速い | NVENC / Quick Syncで速い |
| 同容量での実効メモリ | 有利(ユニファイドメモリ) | CPU側とGPU側で別管理 |
| メモリ増設 | できない | デスクトップなら可能 |
| 同予算での容量 | 高くつく | 安く積める |
| 静音性・消費電力 | 優れている | 構成による |
| DaVinci Resolve | 動くが、GPUを選べない | VRAMを積んだGPUを選べる |
| Final Cut Pro | 使える | 使えない |
DaVinci Resolveでカラーグレーディングを本格的にやるなら、Windowsのほうが有利です。
GPUを用途に応じて選べて、VRAMを16GB以上に積めるためです。
ソフトごとの違いは動画編集PCの選び方で解説しました。
Windows機の比較は動画編集向けPC比較、ノートPCはおすすめのノートPCにまとめています。
Macで編集するときの注意点
- メモリもストレージも増設できません。
本体のストレージは最小構成にして、外付けSSDで補うほうが費用対効果は高くなります - 素材は外付けSSDに置く前提で考えてください。
内蔵256GBだと4K素材はすぐ埋まります - ProRes素材はMacと相性が良い反面、容量を大量に消費します。
保管用のストレージも見込んでおいてください
周辺機器の優先順位は作業が速くなる周辺機器にまとめました。
まとめ
- 書き出し速度はMedia Engineの数で決まる。
M5 Maxだけが2基 - メモリは24〜32GBが実務の標準。
増設できないので購入時に決め切る - 据え置きならMac miniが最も安く始められる
- DaVinci中心ならWindowsも検討。
GPUを選べる利点があります
※本記事に掲載した価格・仕様は2026年9月3日時点の調査に基づきます。
最終調査日:2026年9月3日。
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