DaVinci Resolveのカラーグレーディングは、Colorページで行います。
色と明るさの調整を「ノード」という単位で積み重ね、結果をビデオスコープ(Video Scopes)で確かめながら進めるのが基本の流れです。
この記事は、Blackmagic Design公式の「DaVinci Resolve 21 Reference Manual」(英語版PDF)のColorの章をもとにまとめたものです(2026年10月18日確認)。
実機での再現は含みません。
マニュアルが英語のため、画面の名前は英語の表記で書いています。
DaVinci Resolveは画面の表示を日本語に切り替えられますが(Preferences>User>UI Settings>Language)、日本語での表示名は確かめていません。
キーボードショートカットは、マニュアルの表記(Macのキー)のまま載せています。
カラーグレーディングで何をするか
マニュアルの「Introduction to Color Grading」では、カラーコレクションの目的として次のようなものが挙げられています。
- 素材の見え方を整える(撮影時の露出やホワイトバランスのばらつきを直す)
- 見せたいものを強調する(画面の一部だけを囲んだり、特定の色だけを選んだりして調整する)
- 同じシーンのカットどうしの色と明るさをそろえる
- 作品に合った雰囲気を足す
- 信号が納品先の規定の範囲を超えないようにし、白飛びや黒つぶれで細部を失わないようにする
マニュアルでは、ログで記録した素材は、フィルムのネガを現像するのと同じように、カラーコレクションで見られる絵に変換する必要があると説明されています。
Colorページの主な場所
マニュアルでは、Colorページはグレードを作るための7つの主な領域に分かれていると説明されています。
| 場所 | 役割 |
|---|---|
| Viewer | 再生ヘッドの位置のフレームを表示する。スチルとのワイプや分割表示で比べる |
| Gallery | 参考にするスチルと、コピーしたいグレードを保存する |
| LUT Browser | インストールされているLUTを一覧し、プレビューする |
| Node Editor | 補正(ノード)をつないで、1つのグレードに組み立てる |
| Timeline | Thumbnail timelineとMini-Timelineで、補正するクリップを選ぶ |
| Palette area | Primaries・Curves・Qualifier・Windowなど、補正の道具が並ぶ |
| 右下の領域 | Keyframe Editor・Video Scopes・Informationを切り替えて表示する |
ページ上部のツールバーにあるボタン(Gallery・LUTs・Media Pool・Clips・Timeline・Nodesなど)で、各領域の表示と非表示を切り替えます。
パレットのボタンには、選んでいるノードでそのパレットを調整していると、小さなオレンジの点が付きます。
ノードの考え方
マニュアルでは、どのクリップにも最初からノードが1つあり、最初の補正はそこに入ると説明されています。
ノードを増やすと、補正を分けて積み重ねられ、処理の順番も自分で決められます。
画像は左から右へ流れ、左端のSource(補正前の素材)から各ノードを通って、右端のNode Tree outputに届きます。
ノードを1列につなぐ直列(Serial)の形では、前のノードの出力が次のノードの入力になるため、並び順がそのまま処理の順番になります。
つなぎ方の決まり
- 緑の接続はRGB(画像)、青の接続はKey(補正する範囲の情報)で、入力は三角、出力は四角で表示される
- Node Editorに1つでもつながっていないノードがあると、そのクリップのグレード全体が無効になる
- 最後のノードのRGB出力がNode Tree outputにつながっていないと、グレードは効かない
- 選んでいるノード(current node)はオレンジで表示され、パレットで調整した内容はこのノードに入る
ノードを足す・止める・消す
| やりたいこと | 操作(マニュアルの表記) |
|---|---|
| 選んだノードの後ろに直列ノードを足す | Color>Nodes>Add Serial(Option-S) |
| 選んだノードの前に足す | Color>Nodes>Add Before Current(Shift-S) |
| ノードツリーの最後に足す | Color>Nodes>Append Node(Option-K) |
| 並列ノードを足す | Color>Nodes>Add Parallel(Option-P) |
| レイヤーノードを足す | Color>Nodes>Add Layer(Option-L) |
| 1つのノードだけを止める | ノードの番号をクリック、またはColor>Nodes>Enable/Disable Selected Nodes(Command-D) |
| すべてのノードを止める | Color>Nodes>Enable/Disable All Nodes(Option-D) |
| ノードを消す | 選んでForward-Deleteキー、または右クリックしてDelete Node |
| 選んだノードの補正だけを戻す | 右クリックしてReset Node Grade |
マニュアルでは、すべてのノードを止めてから戻すと、個別に止めていたノードもすべてオンに戻ると注意されています。
ノードの番号は足した順に付くため、途中に足したノードは最後の番号の続きになります。
ノードを右クリックしてChange Labelを選ぶと、名前を付けられます。
名前はスチルを保存したときにも一緒に残るため、後から見返すときに役立つとマニュアルに書かれています。
順番で結果が変わる例
マニュアルには、ノード1でコントラストと彩度を上げ、ノード2で空だけを選んで色を濃くし、ノード3で全体の彩度を下げて暖色にする例が載っています。
ノード2と3の順番を入れ替えると、空を選ぶノードが彩度を下げた後の画像から色を拾うことになり、選択の精度が落ちると説明されています。
範囲を選んで補正するノードは、情報が多く残っている段階に置くのが基本です。
ノードはいくつ使えばよいか
マニュアルでは、決まった答えはなく、3〜4個で仕上げる人もいれば、10〜20個以上を整理して使う人もいると書かれています。
素材の状態や作品の種類で変わるので、必要な数だけ使えばよいという立場です。
Primariesパレットで全体を整える
マニュアルでは、まず全体の色と明るさを整える「プライマリー」の補正を行い、その上に特定の部分を直す「セカンダリー」の補正を重ねるのが、昔からのやり方だと説明されています。
Primariesパレットには、Wheels・Bars・Logの3つのモードがあります。
いちばん基本になるのは、Wheelsモードの4組の輪(Lift・Gamma・Gain・Offset)です。
| 操作部 | 主に効く範囲 |
|---|---|
| Lift | 暗い部分に一番効き、明るい部分に向かって弱まる |
| Gamma | 中間の明るさに一番効き、黒と白に向かって弱まる |
| Gain | 明るい部分に一番効き、暗い部分に向かって弱まる |
| Offset | RGBの全体を一律に動かす |
それぞれの組は、色の輪(Color Balance)と、その下の明るさの輪(Master Wheel)でできています。
色の輪の中をドラッグすると、その範囲の色かぶりを動かせます。
Master Wheelを左へ動かすと、その範囲が暗くなり、右へ動かすと明るくなります。
色の輪の中をダブルクリックすると色だけが戻り、輪の右上のリセットを押すと色と明るさの両方が戻ります。
マニュアルでは、LiftとGainで黒と白の位置を決めてもGammaを大きく動かすと両端が動くことがあるため、3つを行き来しながら合わせることになると説明されています。
輪の上下にあるパラメーター
| パラメーター | 働き |
|---|---|
| Temp | オレンジと青の方向に、明るい部分の色を動かす(-4000〜+4000) |
| Tint | マゼンタと緑の方向に、明るい部分の色を動かす(-100〜+100) |
| Contrast・Pivot | Pivotを中心に、明るい部分と暗い部分の差を広げたり狭めたりする |
| Saturation | すべての色の鮮やかさを同じように変える。50が元のまま |
| Color Boost | 彩度の低い部分ほど強く効く鮮やかさの調整 |
| Highlights | 下げると、明るすぎて飛んだ部分の情報を戻す |
| Shadows | 暗い部分の情報だけを明るくしたり暗くしたりする |
パラメーターの名前をダブルクリックすると、その値だけを初期値に戻せます。
パレットの「A」ボタン(Auto Color)は、再生ヘッドの位置のフレームをもとに、黒と白のバランスを自動で整えます。
マニュアルでは、この自動補正はRec.709・ガンマ2.4で最も良い結果が出るように作られていると説明されています。
ビデオスコープで確かめる
画面の見た目は、モニターの設定や周りの明るさで変わります。
ビデオスコープは、映像の信号の状態をグラフで示すので、見た目に頼らずに判断できます。
スコープの出し方
- Colorページ右下のVideo Scopeボタンを押すと、スコープを1つずつ表示できる
- スコープ右上のExpandボタンで別のウィンドウに出すと、複数のスコープを並べて表示できる
- メニューからはWorkspace>Video Scopes>On/Off(Command-Shift-W)で別のウィンドウに出せる
- スコープはColorページのほか、MediaページとDeliverページでも使える
5つのスコープの見方
| スコープ | わかること |
|---|---|
| Waveform | Y(輝度)、CbCr、RGBの波形を重ねて表示し、明るさの分布を見る |
| Parade | RGB(YRGB・YCbCrも可)の波形を横に並べ、上端・下端・中ほどの高さの違いから色かぶりを見つける |
| Vectorscope | 色相と彩度の広がりを見る。中心が彩度0で、中心からずれた方向が色かぶりの方向 |
| Histogram | 各チャンネルの画素の数を、0%(黒)から100%(白)まで横に並べて表示する |
| CIE Chromaticity | 色が作業中の色域の三角形からはみ出していないかを見る |
Paradeでは、グラフの下端が黒の位置、上端が白の位置を表し、その差が大きいほどコントラストが強いと説明されています。
Vectorscopeには、肌色の目安になる線を表示する設定もあります。
CIE Chromaticityについては、グラフが三角形の外に出ていれば色域を超えているのは確かですが、内側に収まっていても完全に範囲内とは限らないと書かれています。
目盛りの読み方
WaveformとParadeの目盛りは、初期設定では10bitの全範囲(0〜1023)で表示されます。
これはProject SettingsのVideo/Data Levelの設定に関係なく同じです。
スコープの三点メニューにあるWaveform Scale Styleで、12bit、パーセント(0〜100)、ミリボルト、HDR(ST.2084/HLG)に切り替えられます。
HDRの目盛りはStudio版だけの機能とマニュアルに書かれています。
スコープも処理能力を使うため、マニュアルでは、スコープを閉じると処理がすべて補正に回ると説明されています。
非力なパソコンでは、三点メニューのQualityで描画の品質を下げる方法もあります。
カットごとの色をそろえる
同じシーンのカットの色をそろえるときは、基準にするカットの静止画(スチル)をGalleryに保存して、今のクリップと並べて比べます。
- 基準にするカットで、Color>Stills>Grab Still(Option-Command-G)を選ぶか、Viewerを右クリックしてGrab Stillを選ぶ
- そろえたいクリップを選ぶ
- Galleryのスチルをダブルクリックする(またはColor>Stills>Play Still、Command-W)
- Viewerに表示された境界をドラッグして動かし、2つの画像を見比べながら補正する
境界の形は、Viewerのツールバーで横・縦・斜め・重ね合わせなどに変えられます。
スチルには、そのクリップのグレードも一緒に保存されます。
クリップを選んでからスチルを右クリックしてApply Gradeを選ぶと、そのグレードをコピーできます。
マニュアルでは、この方法でコピーしたグレードは、コピー先の元のグレードを完全に上書きすると説明されています。
全部のクリップに同じ補正をかける
Node Editorには、クリップごとに補正するClipモードと、タイムラインのすべてのクリップに同じ補正をかけるTimelineモードがあります。
Node Editor右上のメニューか、ツールバーの点をクリックして切り替えます。
マニュアルでは、Clipモードで個別の補正とカットの色合わせを行い、Timelineモードで作品全体の雰囲気をまとめてかける使い方が紹介されています。
作業の進め方の例
ここまでのマニュアルの説明を、作業の順番に並べると次のようになります。
順番は編集部がまとめたもので、マニュアルに決まった手順として書かれているものではありません。
- Colorページで、補正するクリップを選ぶ
- Video Scopesを開き、WaveformかParadeを表示する
- 最初のノードでPrimariesのLift・Gamma・Gainを使い、黒と白の位置と全体の色かぶりを整える
- 直列ノードを足して、部分的な補正(QualifierやWindow)を入れる
- 基準のカットのスチルを保存し、ほかのカットと見比べて色をそろえる
- ノードの番号をクリックして止めたり戻したりし、補正の前後を見比べる
ノードを役割ごとに分けておくと、後から一部だけを直したり止めたりしやすくなります。
うまくいかないときの確認点
- 補正がまったく効かないときは、つながっていないノードがないか、最後のノードがNode Tree outputにつながっているかを見る
- 補正が画面の一部にしか効かないときは、そのノードでQualifierやWindowを使っていないかを見る
- 補正前の状態を見たいときは、Viewerのタイトルバーのボタンか、View>Bypass Color and Fusionで補正を一時的に外す
- そのクリップを選んだ時点の状態に戻したいときは、Color>Original Memory(Option-Shift-O)を使う
- 再生が重いときは、使っていないスコープを閉じる
マニュアルによると、ColorページではクリップごとにUndoの履歴が別になっています。
あるクリップで取り消しをしても、ほかのクリップの補正は戻りません。
パソコンの性能が足りないときは、DaVinci Resolveのプロキシと最適化メディアやDaVinci Resolveの推奨スペックも参考にしてください。
無料版とStudio版の違いは、DaVinci Resolve無料版とStudioの違いにまとめています。
確かめていないこと
- この記事の操作を、DaVinci Resolveの画面で確かめてはいない
- 画面を日本語にしたときの各部の表示名
- Windowsでのキーボードショートカット(マニュアルの表記はMacのキー)
- 無料版で使えない機能の全体(マニュアルで確認できたのは、HDRの目盛りがStudio版だけという記載)
参照した資料は、Blackmagic Design:DaVinci Resolve 21 Reference Manual(英語・PDF・約187MB)のChapter 125 Introduction to Color Grading、126 Using the Color Page、127 Viewers, Monitoring, and Video Scopes、131 Primaries Palette、143 Node Editing Basics、145 Serial, Parallel, and Layer Nodesです。
