印刷所に入稿するPDFは、ふつうのPDFではなく、印刷向けの決まり(PDF/X)に沿って書き出すよう求められることがあります。
Illustratorでよく使うのは、PDF/X-1a と PDF/X-4 の2つです。
- いちばんの違い:PDF/X-1a は透明を分割・統合する、PDF/X-4 は透明をそのまま残す
- 色:PDF/X-1a は CMYK と特色だけ、PDF/X-4 はカラーマネジメントに対応
- Adobeは、印刷向けには PDF/X-4:2008 を最適な形式として勧めている
- 実際に選ぶのは、入稿先の印刷所の指定
この記事は、Adobe公式ヘルプ「Create Adobe PDF files」「Adobe PDF options」(2026年9月29日に確認)にもとづいています。
Illustratorの画面での再現は含みません。
PDF/X-1aとPDF/X-4の違い
| PDF/X-1a | PDF/X-4 | |
|---|---|---|
| 向いている流れ | CMYKで作って刷る | カラーマネジメントを使う流れ |
| 透明 | 分割・統合する(高解像度の設定で) | 分割せずに残す |
| 色 | CMYK・特色・その両方 | RGBやICCプロファイルも扱える |
| 確認する設定 | 規格の版と「互換性」は、選択したプリセット・入稿先の指定で確認する | |
| フォント | すべて埋め込む(使っている文字だけ) | 同じ |
| 画像 | 圧縮・ダウンサンプルはプリセットとしきい値で決まる | 同じ |
PDF/X-1aでは、使用するフォントの埋め込みやCMYK・特色の扱いなど、印刷用データの条件を満たす必要があります。トンボの要否と塗り足し量は、入稿先の指定で別に確認します。
どちらも、どの印刷の条件向けに作ったかを表す情報(出力インテント)が必要です。
どちらを選ぶか
- 印刷所の入稿ガイドに指定があれば、必ずそれに合わせる
- 透明を保持するワークフローではPDF/X-4が候補。ただし、入稿先が受け付けるかを先に確認する
- PDF/X-1aの指定がある場合は、透明を分割・統合した結果を確認する
PDF/X-1a は透明を分割・統合するので、透明の重なりの部分に細い線が見えたり、文字が画像になったりすることがあります。
書き出したあとは、Acrobat などで開いて、見た目が変わっていないかを確かめます。
書き出す手順
- 「ファイル」→「別名で保存」を選び、ファイルの種類を「Adobe PDF」にする
- 「Adobe PDF を保存」の画面で、プリセットから PDF/X-1a か PDF/X-4 を選ぶ(または上の「準拠する規格」で選ぶ)
- 左の「トンボと裁ち落とし」で、トンボの種類と裁ち落とし(ドキュメントの設定を使うなど)を入稿先の指定に合わせる
- 左の「出力」で、PDF/X の出力インテント(印刷の条件)を選ぶ
- 「PDF を保存」を押す
設定を1つでも変えると、プリセットの名前は「カスタム」に変わります。
よく使う組み合わせは「プリセットを保存」で登録しておくと、次から選ぶだけで済みます。
編集機能の保持と納品用PDFを分ける
オンにすると、PDFの中にIllustratorのデータが丸ごと入り、あとでIllustratorで開いて直せます。
そのぶん圧縮が効きにくくなり、ファイルが大きくなります。
元の編集用AIを別に残し、納品用PDFの編集機能の保持は入稿先の指定に合わせます。容量を抑えたい場合はオフが候補ですが、ファイルサイズの差は実際の出力で確認します。
ほかのプリセットとの違い
| プリセット | PDF/Xに準拠 | 使いどころ |
|---|---|---|
| PDF/X-1a・PDF/X-3・PDF/X-4 | する | 入稿 |
| プレス品質 | しない | 高品質な印刷向けだが規格には沿わない |
| 高品質印刷 | しない | 家庭用・事務用のプリンターや校正 |
| 最小ファイルサイズ | しない | Webやメールで見せる(色はsRGBに変わる) |
PDF/X の書き出しでは、パスワードなどのセキュリティの設定は使えません。
規格・プリセット・入稿先の指定を分けて確認する
PDF/Xの規格名だけで画像の解像度や塗り足し量が一律に決まるわけではありません。「圧縮」のダウンサンプル値と対象画像のしきい値、「トンボと裁ち落とし」、「出力」の色変換と出力インテントを確認します。印刷会社がjoboptionsファイルを配布している場合は、その用途と対応版も確認してください。
書き出したPDFは、ページ寸法・塗り足し・文字・リンク画像の見た目を確認します。Acrobat Pro等で規格を確認した結果と、印刷会社が受理した結果は別の確認です。元の編集用AIは別に保持します。
参照:Adobe PDFオプション、Adobe PDFの作成(2026年10月3日確認)。実機での出力比較は未実施です。
まとめ
- PDF/X-1a は透明を分割・統合し、CMYKと特色だけで表す
- PDF/X-4 は透明を残し、カラーマネジメントに対応する
- Adobeは PDF/X-4:2008 を勧めているが、選ぶのは入稿先の指定
- 書き出したら Acrobat などで開いて、見た目の変化を確かめる
参考:Adobe「Create Adobe PDF files」「Adobe PDF options」(2026年9月29日に確認)。
書き出しの前後に確認すること
規格を選ぶ前に入稿形式・仕上がり寸法・塗り足し・色・文字の確認表へ条件を控えます。保存後はオーバープリントの確認とページ範囲・フォント・画像を照合してください。
フォルダー内AIのPDF一括変換JSXを使う場合も、プリセットの名前だけでPDF/X準拠を保証しません。記事内の3件・4ページの検証は通常プリセットによる限定試験で、PDF/X規格の検証や印刷受理の試験とは分けています。
