Photoshopのデータセットは、テンプレートの文字・画像・レイヤーの表示を、表の値に合わせて切り替える機能です。同じレイアウトのバナーやテロップを別の内容で作るときに使います。標準のデータセット書き出しではPSDを生成し、JPG・PNGへの変換はその後に行います。
最初は文字だけの2件で、変数名、読み込み、保存名を確認します。その後に表示切替や画像差し替えを加えると、エラーの原因を分けて確認できます。この記事の画像は2025年3月公開の旧記事から引き継いだ画面で、撮影時期とPhotoshopの版は未確認です。2026年10月の新規実機撮影ではありません。
データセットと文字の検索・置換の使い分け
行ごとに異なる見出しや商品画像を入れて複数のPSDを作る場合は、データセットを使います。開いている文書の「2025」を一律に「2026」へ変える場合は、文字の検索・置換が候補です。グループ内の文字を数えて、複製文書で置換したい場合は、文字レイヤーを一括置換するJSXを参照してください。
データセットはレイアウトそのものを作り直す機能ではありません。短い文字で作った枠へ長い見出しを入れると、改行やはみ出しが変わることがあります。文字量や画像の縦横比が異なる行を、出力前の確認対象にします。
文字だけのテンプレートを作り、変数を定義する
練習用のPSDに、表示する文字レイヤーと、保存名を扱うID用の文字レイヤーを用意します。旧記事ではID用の文字レイヤーの不透明度を0%にして、見た目へ表示しない方法を使っていました。文字として編集できる状態を残し、練習用PSDと原本のコピーを分けて保存します。

[イメージ]→[変数]→[定義]で、表示する文字レイヤーに「テキストの置き換え」を設定し、変数名を text にします。ID用の文字レイヤーにも同じ種類の変数を設定し、変数名を id にします。CSVの見出しは、この変数名と対応させます。レイヤーの名前と変数の名前は別の項目です。

この最小例では id と text の2変数だけを定義します。別の変数も定義してあるPSDを使う場合は、その変数もCSVへ含める必要があります。初回は複製した練習用PSDで、使わない変数が残っていないか確認してください。
CSVは1行目を変数名、2行目以降を差し替えデータにする
表計算ソフトでは、A1へ id、B1へ text を入力します。変数名を並べるのは1行目で、1列目ではありません。 2行目以降が差し替えデータで、下の例は2件です。旧記事の表の画面でも、変数名は横方向に並んでいます。

id,text
A001,春のキャンペーン
A002,"対象商品, 2点セット"
A001 と A002 は、この例のデータセット名にも使う値です。表示する文言にファイル名を兼ねさせると、改行や記号が保存名へ入るため、短いIDを別に用意しています。IDは重複させず、Windowsのファイル名に使えない記号や末尾の空白も避けます。
値の中にコンマを含める場合は、値全体を半角の二重引用符で囲みます。値の中に二重引用符を入れる場合は、CSV上で二重にします。例えば "商品""A""" は 商品"A" という値です。本文内の改行を含むセルも、引用符で囲まれた1つの値として保存します。
日本語を含むCSVはUTF-8で保存し、Photoshop側の読み込み設定もその文字コードに合わせます。表計算ソフトで保存したら、拡張子が .csv になっていることと、ID・改行・区切りが変わっていないことをテキスト表示でも確認します。.xlsx を拡張子だけ変更してもCSVにはなりません。
CSVを読み込み、すべてのデータセットをプレビューする
[イメージ]→[変数]→[データセット]から[読み込み]を開き、CSVを選びます。「最初の列をデータセット名として使用」を選ぶと、上の例では id 列の値をデータセット名に使います。最初の列は自由な管理列として無条件に追加できるものではなく、定義した変数との対応が必要です。

「既存のデータセットを置き換え」は、読み込み前に既存のデータセットを削除する設定です。以前のデータも残したい場合は、テンプレートを別名保存してから設定を選びます。CSVを修正したときは、その変更をPhotoshopへ反映するために読み込み直します。
読み込み後は、プレビューをオンにして A001 と A002 を切り替えます。表示文字、改行、はみ出し、フォントを確認してください。下の画像は旧記事でのプレビューで、今回の2件を実行した出力ではありません。

[適用]は開いている文書の内容を変更する操作です。原本を残したまま試すために複製した練習用PSDを使い、プレビューだけで終了する場合と、値を文書へ適用する場合を分けます。元のファイルへ保存するかどうかも別に判断します。
データセットからPSDを書き出し、JPG・PNGへ変換する
[ファイル]→[書き出し]のデータセット書き出しを開きます。旧記事の画面では「データセットからファイル」という名前です。保存先は既存ファイルのない専用フォルダーにし、出力するデータセットの範囲と、ファイル名の組み合わせを確認します。


この例ではデータセット名にIDを使い、保存名へその名前を含めます。出力後は、CSVの2件に対応するPSDがあるか、各ファイルを開いて文字が合っているかを照合してください。同名ファイルへの上書き動作に頼らず、別の出力先で確認します。次の一覧も旧記事の出力記録です。

標準のデータセット出力でJPG・PNGまで直接作成したと考えないようにしてください。PSDが正しく生成できたら、イメージプロセッサーやフォルダー内のPSDをJPG・PNGへ出力するJSXへ進みます。透過PNGが必要なら、透明部分を残す設定と、変換後の実画像を確認します。
レイヤーの表示・非表示をCSVで切り替える
文字の例とは別の練習用PSDで、表示を切り替えるA・Bのレイヤーを用意します。[変数]→[定義]で、それぞれの「表示」に layerA と layerB を設定します。


layerA,layerB
true,false
false,true
1件目はAを表示してBを非表示、2件目はその反対にする入力例です。このCSVは2変数だけを定義したPSD用です。前の文字用PSDへ追加する場合は、id と text を含めた全変数を同じCSVの1行目へ並べ、各行の値もそろえます。

読み込んだら、切り替え対象以外のレイヤーも含めてプレビューします。親グループの表示状態も見ながら、意図した組み合わせになっているかを確認します。

画像を差し替える変数と、画像パスを設定する
画像用の練習用PSDでは、差し替え対象を通常の画像レイヤーとして用意します。旧記事ではスマートオブジェクトのままではピクセルの置き換えを設定できない場合に、ラスタライズする手順を示していました。原本を直接ラスタライズせず、複製側で試し、元の編集可能な画像を残します。

[変数]→[定義]で「ピクセルの置き換え」を選び、imageA と imageB を定義します。挿入画像の縦横比が異なる場合は、枠へ収めるか、枠を埋めるか、切り抜くかを目的に合わせて決め、端が欠けていないかをプレビューで確認します。

CSVの1行目を imageA,imageB とし、各値へ実在する画像ファイルのパスを入れます。文字用の text と違い、画像の見出しやファイルの説明を入れる列ではありません。

最初はCSVと画像を同じフォルダーに置き、picture1.png のようなファイル名で確認すると、参照先を追いやすくなります。下の旧記事の配置例ではCSVの横に images フォルダーがあり、images/picture1.png のような相対パスを使っています。CSVや画像を別の場所へ移動した場合は、パスも見直してください。

画像の読み込みは、存在確認だけで終えず、内容と大きさ、位置、透明部分まで確認します。下の画像は旧記事のプレビューで、現行版での新規出力結果ではありません。

読み込めない・文字化け・保存名のエラーを切り分ける
変数名の解析エラーは、まずPSDの定義とCSVの1行目を照合します。使っていない列、足りない変数、名前の違いを確認し、その後に各行の値の数と引用符を確認します。値の中のコンマを囲み忘れると、列が増えたように読まれるためです。
CSVが使用中と表示された場合は、表計算ソフトなどでそのファイルを閉じてから読み込み直します。旧記事にある警告は、そのときの操作記録です。ファイルを開いた状態で必ず同じ警告が出るとは限りません。

文字化けではCSVの文字コードと読み込み設定を照合します。画像だけ差し替わらない場合は、変数の種類、画像レイヤーの状態、パス、実ファイルを確認します。複数の条件を一度に変更せず、文字だけの2件が通るかを先に確認すると、問題のある列を特定しやすくなります。
保存名のエラーでは、データセット名へ使う列に改行、禁止記号、末尾の空白がないかを確認します。複数行の本文をそのまま名前に使わず、重複しないIDを使います。出力数が期待と違う場合は、CSVのデータ件数と書き出し範囲を照合してください。
公式資料と今回の確認範囲
Adobeのデータ駆動型グラフィックの説明を2026年10月3日に確認しました。CSVの見出しと変数の対応、プレビューと適用、PSD出力の説明を照合しています。
この記事の文字用・表示用CSVはPythonで列数と値を読み取り、コンマ・引用符・改行を含む値を検査しました。Photoshopへの実読み込み、現在のメニュー表示、生成PSDとPNGの結果は今回未検証です。旧画面と過去の操作記録は、その確認を代替するものとして扱っていません。ほかの操作はPhotoshopの総合案内から探せます。
