Illustratorでドーナツのような穴のある図形を作るときは、複合パスが使えます。複数のパスをまとめ、塗られる部分と透明になる部分を決める仕組みです。
大きい円の上に白い小円を置く方法でも、白い背景では穴のように見えます。ただし、背後に色を敷くと白い円が残ります。背景を透かしたいなら、白い図形で隠す方法と複合パスによる穴を区別して作ります。
グループ・複合パス・パスファインダーの違い
| 機能 | 主な目的 | 選ぶ例 |
|---|---|---|
| グループ | 複数のオブジェクトを一緒に扱う | 色の違う図形をまとめて移動する |
| 複合パス | 複数のパスを共通の見た目で扱い、穴を表現する | リング、文字のような穴あきの形 |
| パスファインダー | 重なりを利用して形を合成・切り抜きする | 複数の形を合体して輪郭を作る |
複合パスを作ると、各パスが元々持っていた色を個別に保つ用途には向かなくなります。形は別々に調整できても、見た目はひとつの複合パスとして扱います。複合パスの性質はAdobe公式の複合パスガイドにまとまっています。
2つの円で穴のある形を作る
- 大きい円を描き、塗りを付けます。
- 小さい円を描き、大きい円の内側へ置きます。
- 中心を合わせたい場合は、整列機能で位置をそろえます。
- 両方の円を選び、「オブジェクト」→「複合パス」→「作成」を実行します。
- 小さい円の部分が透明な穴になっているか確認します。
練習なら外側を100、内側を60といった比率で作ると、リングの幅を見比べやすくなります。単位や絶対的な大きさより、内側の円が外側からはみ出していないことを先に確認します。
作成後は、背後に色の付いた長方形を置いて確かめます。内側にその色が見えれば透明な穴です。白いまま残るなら、白い円を重ねただけになっていないか、複合パスになっているかをレイヤーパネルで確認します。
穴が開かないときは塗りの規則を確認する
複合パスでは、重なった場所を塗るかどうかが塗りの規則で決まります。作成したパスの向きや重なり方によっては、内側まで塗られて見える場合があります。
複合パスを選び、「ウィンドウ」→「属性」を開きます。2つの円を入れ子にした練習例で穴が抜けない場合は、Even-Odd Fill Rule(偶奇規則)へ切り替えて見え方を確認します。Non-Zero Winding Fill Rule(非ゼロ規則)を使う場合は、パスの方向も確認対象です。
複雑なロゴでは、規則の変更によって別の重なり部分まで変わる可能性があります。問題の箇所だけを見ず、全体の穴と塗りを確認してください。2つの円で挙動を確かめてから元の形を調べると、選択ミスと塗り規則の問題を分けやすくなります。
内側の穴だけを動かす・大きさを変える
複合パス全体を選ぶと、外側と内側が一緒に移動します。穴だけを動かしたいときは、ダイレクト選択ツールで内側のパスを選びます。外側のアンカーポイントまで選ばれていないかを確認してから調整します。
穴を右へ寄せると、左側の線幅が厚くなり、右側が薄くなります。ロゴの輪郭を整える場面では、数値上の中心だけでなく、実際に使う大きさで見たときのバランスも確認すると判断しやすくなります。
内側だけ色を変えたいなら、複合パスの穴として扱う目的とは異なります。複合パスを解除して別オブジェクトとして管理するか、別の図形を追加する構成を検討してください。
解除しても、元の色へ戻るとは限らない
解除するには複合パスを選び、「オブジェクト」→「複合パス」→「解除」を実行します。構成していたパスを個別に扱えるようになりますが、作成前の色分けを自動で復元する操作とは考えないようにします。
複合パスは作成時に背面側のオブジェクトの塗りや線などを引き継ぐため、異なる色の図形をまとめる前には、色の違いを残す必要がないか確認します。後から元の見た目へ戻す可能性があるなら、編集前の複製を残す方法が確実です。
複数の窓で写真を見せたいときにも使える
離れた複数の図形を複合パスにし、その背後に写真を置いてクリッピングマスクを作ると、複数の窓から同じ写真を見せる構成にできます。文字の形で写真を見せたい場面でも、パスの構造を整理することが重要になります。
一方、外側の輪郭を単純に合体させたい場合は、パスファインダーの合体などを検討します。各演算の違いはAdobe公式のパスファインダー解説で確認できます。「一緒に移動する」「穴を開ける」「輪郭を合体する」のどれが目的かを決めてから選ぶと、後の編集も整理しやすくなります。
