※本記事にはアフィリエイト広告が含まれます。
ローカルLLM向けノートPCの選び方は、機種名より先にVRAM・メモリ・電力の3条件で決めます。
結論は、次の3つを仕様欄で確かめることです。
- VRAM(統合メモリ)の容量:動かしたいモデルの容量より余裕があるか
- 本体メモリ:VRAMに載らない分の受け皿。GPUなしならこれが上限
- GPUの電力:同じ型番でも幅があり、速さが変わる
この記事は、8B以上のモデルを日常的に動かしたくて、ノートPCの買い替えを考えている方に向けています。
画像生成AI向けのノートPCは別記事にまとめたので、本記事は文章を扱うLLMに絞ります。
実機のノートPCが無いので使用感や機種のおすすめは書かず、公式仕様と当方の実測だけで線を引く記事です。
仕様は2026年10月25日に各社の公式ページで確かめました。
ローカルLLM向けノートPCは3つの数字で決める
先に、見る数字と決まることを表にします。
| 見る数字 | 何が決まるか | 確かめ方 |
|---|---|---|
| VRAM(統合メモリ) | 動かせるモデルの上限 | 動かすモデルのダウンロード容量より余裕があるか |
| 本体メモリ | VRAMに載らない分の受け皿 | GPUなしなら本体メモリが上限になる |
| GPUの電力 | 同じ型番の中での速さ | メーカーの仕様欄で下限と上限を見る |
前提:持ち運ばないならノートにこだわらない
ノートPCはVRAMやメモリを後から足せず、GPUの電力にも上限があります。
持ち運ぶ予定が無いなら、ミニPCやデスクトップも候補に入れてから読み進めてください。
ミニPCの選び方はローカルAI用ミニPCの選び方にまとめました。
ノートにこだわらないなら、AI向けミニPCを扱うメーカーの公式サイトも見ておくと比べやすくなります。
動かすモデルの容量からVRAMを逆算する
ローカルLLMは、モデルの重みを丸ごとVRAMか本体メモリに読み込んで動きます。
だから最初に決めるのは「どのモデルを動かしたいか」です。
Ollama公式のモデルページにあるダウンロード容量を並べます。
| モデル(Ollamaのタグ) | ダウンロード容量 | 公式ページの記載 |
|---|---|---|
| gemma3:4b | 3.4GB | テキストと画像に対応 |
| qwen3:8b | 5.2GB | 思考モードに対応 |
| gemma3:12b | 8.2GB | テキストと画像に対応 |
| qwen3:14b | 9.3GB | 思考モードに対応 |
| gpt-oss:20b | 14GB | 「16GBメモリのシステムで動く」 |
| gemma3:27b | 17GB | 「1枚のGPUで動く中で最も高性能」 |
| qwen3:32b | 20GB | 思考モードに対応 |
出典:Ollama library:gemma3/qwen3/gpt-oss(2026年10月25日確認)
動かすときは、ダウンロード容量に加えて会話の文脈(コンテキスト)を置くメモリも要ります。
容量とVRAMがほぼ同じ組み合わせは、動いても文脈を短くする必要が出ます。
目安は、動かしたいモデルの容量をVRAMが上回り、さらに余裕があることです。
→ 関連:ローカルLLMに必要なスペック(メモリの見積もり)
本体メモリはVRAMに載らない分の受け皿になる
VRAMに収まらないモデルは、残りを本体メモリに置いて動きます。
その部分はGPUではなくCPUが受け持つため、速度が落ちます。
ノートの型ごとのモデルの置き場所は、次のとおりです。
- GPU付きノート:VRAMに入れ、あふれた分を本体メモリに置く
- GPUなしノート:本体メモリの容量がそのまま動かせるモデルの上限
- 統合メモリ型(Ryzen AI MaxやApple Mチップ):本体メモリをGPUと共有し、容量がVRAMの代わりになる
当方のGPUなし・16GBのノートでは、8Bのモデル(5.2GB)までは動きました。
12B(8.2GB)以上は試していません。
GPUの電力は型番だけでは分からない
ノート用のGeForceは、同じ型番でもメーカーが設定する電力に幅があります。
NVIDIAの公式比較ページでは、この電力を「GPU サブシステム電力」と表記しています。
例えばRTX 4070 Laptopは35〜115Wで、下限と上限の差は3倍以上です(115÷35≒3.3)。
性能はこの電力で変わるので、型番だけで比べると同じGPUでも速さが違います。
買う前に見るところは次の3つです。
- メーカーの仕様欄にあるGPUの電力の値
- 電力の表記の語はメーカーごとに違うので、数値(W)で見る
- 電力の項目が無ければ、問い合わせるか候補から外す
GeForce RTX Laptop GPUのVRAMと電力(公式一覧)
NVIDIA公式の比較ページから、ローカルLLMに関わる項目を1枚にまとめました。
| GPU | ビデオメモリ | 種類 | GPUサブシステム電力 | CUDAコア |
|---|---|---|---|---|
| RTX 5090 Laptop | 24GB | GDDR7 | 95〜150W | 10,496 |
| RTX 5080 Laptop | 16GB | GDDR7 | 80〜150W | 7,680 |
| RTX 5070 Ti Laptop | 12GB | GDDR7 | 60〜115W | 5,888 |
| RTX 5070 Laptop | 8GB | GDDR7 | 50〜100W | 4,608 |
| RTX 5060 Laptop | 8GB | GDDR7 | 45〜100W | 3,328 |
| RTX 5050 Laptop | 8GB | GDDR7 | 35〜100W | 2,560 |
| RTX 4090 Laptop | 16GB | GDDR6 | 80〜150W | 9,728 |
| RTX 4080 Laptop | 12GB | GDDR6 | 60〜150W | 7,424 |
| RTX 4070 Laptop | 8GB | GDDR6 | 35〜115W | 4,608 |
| RTX 4060 Laptop | 8GB | GDDR6 | 35〜115W | 3,072 |
| RTX 4050 Laptop | 6GB | GDDR6 | 35〜115W | 2,560 |
出典:NVIDIA:GeForce ノートPC 比較(2026年10月25日確認)
VRAM 8GBの型番が多い
一覧のうち、RTX 5070・5060・5050と、RTX 4070・4060は8GBです。
RTX 4050は6GBで、この一覧では最も少ない容量です。
8GBなら、gemma3:4b(3.4GB)やqwen3:8b(5.2GB)が候補に入ります。
gemma3:12b(8.2GB)は容量がVRAMを超えるため、8GBのGPUだけでは収まりません。
GPUが付いていれば大きなモデルが動く、とは考えないでください。
12GB・16GB・24GBで候補に入るモデル
| VRAM | 該当するGPU | 候補に入るモデル(容量) |
|---|---|---|
| 8GB | RTX 5070・5060・5050・4070・4060 | gemma3:4b(3.4GB)、qwen3:8b(5.2GB) |
| 12GB | RTX 5070 Ti・4080 | gemma3:12b(8.2GB)、qwen3:14b(9.3GB) |
| 16GB | RTX 5080・4090 | gpt-oss:20b(14GB)。公式は「16GBメモリで動く」 |
| 24GB | RTX 5090 | gemma3:27b(17GB)、qwen3:32b(20GB) |
容量がVRAMに近い組み合わせは、文脈を長く取る余裕が少なくなります。
16GBにgpt-oss:20b、24GBにqwen3:32bを載せる組み合わせがこれに当たります。
当方はこれらのGPUで動かしていないので、この表は公式の容量を並べた目安です。
速度は確かめていません。
同じ型番でも電力の幅が大きい
電力の列を見ると、RTX 4070・4060・4050は35〜115W、RTX 5090は95〜150Wです。
下位の型番は下限が35Wまで下がるので、同じ型番でも低い電力で載ることがあります。
同じRTX 5070 Laptopでも50Wと100Wでは速さが違うため、型番で比べるときは電力もそろえてください。
具体的な性能差の数値は公式一覧に無いので、ここでは「電力で変わる」とだけ書きます。
統合メモリ型のノートPC(Ryzen AI Max・MacBook Pro)
VRAMが固定のGeForceノートに対して、本体メモリをGPUと共有する統合メモリ型があります。
27B以上の大きなモデルをノート1台で動かしたい人の選択肢が、この型です。
AMD Ryzen AI Max+ 395の公式仕様
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| CPU | 16コア/32スレッド |
| グラフィックス | Radeon 8060S Graphics(グラフィックスコア数 40) |
| システムメモリ | 256-bit LPDDR5x、最大128GB、最大メモリ速度 LPDDR5x-8000 |
| TDP | デフォルト55W、cTDP 45〜120W |
| NPU | 最大50 TOPS |
出典:AMD:Ryzen AI Max+ 395 仕様(2026年10月25日確認)
この仕様から読めることは3つあります。
- メモリの上限が128GBなので、搭載量の多い構成ならqwen3:32b(20GB)やgemma3:27b(17GB)の容量が収まる
- グラフィックスに割り当てられる容量は公式の仕様ページに記載が無いので、割り当ての上限はPCメーカーの仕様で確かめる
- cTDPが45〜120Wと広いので、GeForceと同じく電力の設定で速さが変わる
当方はRyzen AI Maxの実機を使っていないため、速度は未確認です。
MacBook Proのユニファイドメモリは最大128GB
Apple公式の仕様ページから、本記事では構成できるメモリの下限と上限だけを使います。
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| 最小の構成 | 16GBユニファイドメモリ(M5) |
| 上限の構成 | 128GBユニファイドメモリ(40コアGPU搭載 M5 Max) |
出典:Apple:MacBook Pro 仕様(2026年10月25日確認)
ユニファイドメモリはCPUとGPUが同じメモリを使う仕組みです。
そのため、容量がそのまま動かせるモデルの上限の目安になります。
MacとWindowsのどちらを選ぶかは、AI用途でMacとWindowsはどちらを選ぶ?で比べています。
→ 関連:Mac miniでローカルLLMを動かす
GeForceノートと統合メモリ型の違い
| 項目 | GeForce搭載ノート | 統合メモリ型 |
|---|---|---|
| モデルを置く場所 | VRAM(6〜24GB)に収める | 本体メモリ(最大128GB)を共有する |
| 容量の増やし方 | 後から増やせない | 購入時の構成で決まり、後から増やせない |
| 電力の幅 | 35〜150W(型番ごとに幅がある) | Ryzen AI Max+ 395はcTDP 45〜120W |
| 向く使い方 | 8B〜14Bを速く動かす | 27B〜32Bをノート1台で動かす |
どちらも、後からVRAMやメモリを足せない点は同じです。
動かしたいモデルの容量を先に決めて、1段上の容量を選ぶのが失敗の少ない順番です。
GPUなし16GBノートの実測から引く買い替えの線
当方のノートPCでOllama 0.40.11を動かし、生成速度を測りました。
環境はRyzen 5 7530U・メモリ16GB・専用GPUなし(Windows 11 Pro)です。
gemma3:4bは約11 tok/s、qwen3:8bは約6 tok/s
| モデル | 生成速度 | 回答の様子 |
|---|---|---|
| gemma3:4b(3.4GB) | 約11 tok/s | 日本語で3点を箇条書き。待たずに読める |
| qwen3:8b(5.2GB) | 約6 tok/s | 日本語は自然。1回の回答に約50〜56秒 |
同じ質問を各モデルに2回投げ、ollama run <モデル> --verbose のeval rate(生成速度)を記録しました。
CPUだけで動かしているので、GPUのあるPCではこれより速くなります。
4Bまでは実用、8Bは待ち時間が長い、というのが当方の感触です。
買い替えが要らない人
- gemma3:4bなど4Bクラスで、要約や下書きができれば足りる
- 8Bはたまに使うだけで、1回50秒以上の待ち時間を許せる
- まず試したい段階で、動かすモデルがまだ決まっていない
この条件なら、ノートPCを買い替える前に今のPCでOllamaを動かすほうが先です。
GPU付きのPCで速度が出ないときは、GPUが使われていないことがあります。
→ 関連:ローカルLLMでGPUが使われない原因
買い替えが要る人
- 8B以上を毎日使い、約6 tok/sの待ち時間を許せない
- 12B〜14B(8.2〜9.3GB)を動かしたい(VRAM 12GB以上か統合メモリ型)
- 27B〜32B(17〜20GB)をノート1台で動かしたい(VRAM 24GBか統合メモリ型)
- 本体メモリが16GB以下で、8Bを動かすとメモリが足りない
迷ったら、使い方から構成を選んでください。
| 使い方 | 迷ったら選ぶ構成 |
|---|---|
| 8Bまでを速く | VRAM 8GB(RTX 5070・5060、4070・4060)で電力の高い構成 |
| 12B〜14Bを日常的に | VRAM 12GB(RTX 5070 Ti・4080)か16GB(RTX 5080・4090) |
| 27B〜32Bを1台で | VRAM 24GB(RTX 5090)か、統合メモリ型の大容量構成 |
| 持ち運ばない | ミニPCかデスクトップ(冒頭の節) |
候補を並べて比べるときは、AI向けPC比較データベースを使ってください。
ノートPCで動かすデメリットと対処
ノートPCには、デスクトップに無い弱点が3つあります。
電力の設定で性能が変わる
同じGPUの型番でも、薄い筐体では電力が低く設定されることがあります。
対処は、仕様欄のGPU電力を見て、下限に近い構成を避けることです。
電力の記載が無い機種は、1段上の型番を選ぶか候補から外します。
VRAMは後から増やせない
ノートのGPUは基板に直付けなので、VRAMの交換や増設はできません。
対処は、動かしたいモデルの容量に対して1段上のVRAMを選ぶことです。
将来27B以上まで広げたいなら、最初から統合メモリ型の大容量構成を候補にします。
持ち運ばないならミニPCやデスクトップが選べる
ここまでの弱点は、持ち運ばない人には関係ありません。
持ち運ぶ予定が無いなら、冒頭で触れたミニPCやデスクトップを候補に戻してください。
同じ3つの数字で比べれば、ノートとミニPCを同じ土俵で選べます。
BTOで選ぶときの確認手順
BTOはGPUとメモリを選んで注文できるので、条件で選ぶこの記事の考え方と合います。
仕様欄で見る3項目
- GPUの型番とVRAMの容量
- GPUの電力(下限と上限、または設定値)
- 本体メモリの容量(統合メモリ型なら、グラフィックスに割り当てられる上限)
3つのうち1つでも仕様欄に無ければ、メーカーに問い合わせるか候補から外してください。
注文前に今のPCでモデルを試す
Ollamaは今のPCでも動くので、買う前に候補のモデルの日本語の出力を確かめられます。
動かしたいモデルが4Bで足りると分かれば、買い替え自体が要りません。
8B以上が要ると分かってから、上の3項目で機種を絞る順番にしてください。
GPUとメモリを選んで注文したい方は、マウスコンピューターのノートPCカテゴリーで「スペックから探す」が使えます。
まとめ:次にやること
ローカルLLM向けのノートPCは、VRAM(統合メモリ)・本体メモリ・GPUの電力の3つで決めます。
- 動かしたいモデルを決め、Ollama公式ページでダウンロード容量を見る
- 今のPCでOllamaを動かし、4Bで足りるか8B以上が要るかを確かめる
- 候補の機種の仕様欄で、VRAM・GPU電力・本体メモリの3項目を確かめる
- AI向けPC比較データベースで候補を並べて比べる
この記事は2026年10月25日時点の公式仕様で書きました。
GPUの一覧やメモリの上限は新製品で変わるので、注文前に公式ページで確かめてください。
