PDFの一部を隠したいとき、白い四角を上に置いて消したように見せる方法があります。
この方法では、下の文字は消えていません。
見えなくなっているだけで、コピーすれば読めてしまいます。
この記事では、文字が読めてしまう理由、該当箇所の確認方法、そして安全に削除する手順を解説します。
まず3秒で確認:あなたのPDFは危ないか
手元の PDF を開いて、次の2つを試してください。どちらかで隠した文字が出てきたら、そのファイルはそのまま渡してはいけない状態です。
- 隠した場所をマウスでドラッグする → 白い四角の下で文字が選択される(薄く反転する)なら、文字データが残っています。そのままコピーすれば読めます。
- Ctrl+F(Mac は Command+F)で、隠したはずの語句を検索する → ヒットするなら、文字データが残っています。
白塗りや黒い四角、マーカー、図形の追加は、どれも上に物を置いただけで、下の文字を消していません。次の節で、なぜそうなるのかを説明します。
なぜ白塗りでは消えないのか
PDFには、文字の配置情報を持つものと、スキャンなどの画像を主体とするものがあります。
文字を配置したPDFでは、「この位置にこの文字を置く」という情報を持ちます。
白い四角を描くと、そこに「白い四角を置く」という指示が1つ増えるだけです。
元の文字を置く指示は、そのまま残っています。
画面上では四角に隠れて見えませんが、データとしては文字が存在し続けます。
そのため、テキストのコピーや検索ができてしまいます。
自分のPDFを確かめる
特別なツールは不要です。
次のいずれかの方法で確認してください。
- 隠した部分をドラッグして選択し、コピーしてメモ帳などのテキストエディタに貼り付ける
- PDF閲覧ソフトの検索バーに、隠した語句を入力して検索する
文字が貼り付けられたり検索にヒットしたりした場合は、情報が残っているためそのまま共有してはいけません。
画面上は見えなくても、データとしてテキストが残っています。
確実に消す方法1|Acrobat Proの墨消し
Acrobat Pro の「墨消し」は、指定した部分の文字や画像のデータそのものを削除する機能です。Adobe の案内では次の流れになります(Adobe 公式)。
- [すべてのツール]→[PDFを墨消し]→[テキストと画像を墨消し]を選ぶ
- 消したい部分をドラッグで選ぶ(または右クリックして[テキストを墨消し]を選ぶ)。選んだ範囲が赤い枠で囲まれる
- 左パネルの[適用]を押す
- 確認のダイアログで[非表示情報を完全に削除]のトグルをオンにする
- [続行]を選んで保存する
ここが分かれ目です。赤い枠が付いた状態は「消す場所の予約」でしかありません。[適用]を押していないファイルは、白塗りと同じで中身が残っています。Adobe の案内にも「一度墨消しを適用すると、情報は完全に削除され、復元することはできません」と書かれています。適用前の状態を残したいなら、適用する前に元ファイルを別名でコピーしておいてください。
[非表示情報を完全に削除]のトグルについて、Adobe は「目視では確認できない情報やメタデータを一括で削除できる」と説明しています。作成者名・会社名・編集日時などは本文に出てこないため、墨消しだけでは残ります。渡す相手が社外なら、必ずこのトグルをオンにしてください。
保存されるファイル名には「_墨消し済み」が付くため、元ファイルと見分けが付きます。相手に渡すのは「_墨消し済み」が付いた方です。ここを間違えて元ファイルを添付する事故が起きやすい箇所です。
Adobeが用意している専用の機能が墨消しです。
図形を上に重ねる処理とは異なり、指定した文字データそのものを完全に削除します。
- Acrobatを開く
- 「すべてのツール」から「PDF を墨消し」を選ぶ
- 左のパネルで「テキストと画像を墨消し」を選ぶ
- 消したい部分をドラッグで指定する
- 左のパネルで「適用」を選ぶ
- 確認のダイアログで、非表示情報も完全に削除するかを選ぶ
- 「続行」を選び、別名で保存する
「適用」を押すまでは、消去する領域を指定しただけの状態です。
この段階で保存しても、元の文字データは消えていません。
領域を指定した後は、適用を確定してから別名で保存します。
非表示情報も消しておく
PDFには、本文以外にも画面に表示されないデータが含まれています。
作成者名などのメタデータ、注釈コメント、しおり、添付ファイルなどが該当します。
墨消しの適用ダイアログで同時に削除できるため、外部へ提出・公開するファイルでは削除しておくと安全です。
確実に消す方法2|画像化して再PDF化する(無料)
無料のソフトを使う場合の選び方(3つの条件)
「PDF 墨消し 無料」で出てくるツールは数多くありますが、機密情報を扱うので選ぶ条件を先に決めてください。次の3つを満たさないものは使わない、という線引きが安全です。
- ファイルを外部に送らない:Web にアップロードする形のサービスは、隠したい情報をそのまま他社のサーバーへ渡すことになります。社内規程で禁止されている場合もあります。PC の中だけで処理が完結するもの(またはブラウザ内だけで処理し送信しないと明記されているもの)を選びます。
- 文字データを削除する機能である:「マーカーを引く」「図形を重ねる」「注釈を付ける」は墨消しではありません。機能名に墨消し・redact と書かれているかを見ます。
- 処理後に自分で確認できる:どのツールを使っても、最後は差分1の2つの確認(ドラッグとCtrl+F検索)を自分で行います。
Microsoft Store で無料配布されているものとしては、日本語の文書向けに作られた「究極の墨消し」(Windows)があります。導入する前に、ストアのページでご自身の環境の対応状況と、処理がPC内で完結する旨の記載を必ず確認してください。当サイトではまだ実機で動作を確認していないため、操作手順と仕上がりの検証結果は後日追記します。
ソフトを入れられない場合は画像化(以下の手順)
職場の PC にソフトを追加できない場合は、ページを画像にしてから PDF に戻す方法が確実です。文字データ自体がなくなるため、コピーも検索もできなくなります。引き換えに、本文の検索やコピーができなくなり、ファイルサイズも大きくなります。
Acrobat Proの墨消し機能は有料プランが必要です。
画像化を使う場合は、隠した後の各ページを描画し、その画像だけから新しいPDFを作ります。
- 白塗りなどの図形を重ねた状態のPDFを開く
- 各ページを画像ファイルとして書き出すか、スクリーンショットを保存する
- 保存した画像を順に並べて、改めて1つのPDFに結合・変換する
元PDFのページ、OCRの文字層、添付ファイルを新しいPDFへ引き継がず、隠す箇所が画像上でも読めないことを全ページで確認します。
ただし、画像化にはいくつかのデメリットがあります。
| 墨消し | 画像にする | |
|---|---|---|
| 費用 | 有料 | 無料 |
| 他の文字の検索 | できる | できなくなる |
| 文字の鮮明さ | そのまま | やや粗くなる |
| ファイルの大きさ | そのまま | 大きくなりやすい |
文書全体のテキスト検索ができなくなるため、検索性が必要な書類には向きません。
閲覧のみを目的として外部へ1回送付する用途であれば有効な代替策です。
やってはいけない消し方
| 方法 | 結果 |
|---|---|
| 白い四角を重ねる | 読める |
| 黒い四角を重ねる | 読める |
| 蛍光ペンで塗りつぶす | 読める |
| 画像を上に置く | 読める |
| パスワードをかける | 開ければ読める |
パスワードは閲覧を制限するための機能であり、文書内の文字データを消去するものではありません。
編集や印刷を制限するセキュリティ設定も同様です。
編集制限をかけていても、テキストのコピーや抽出は可能な場合があります。
共有前の最終確認
作業完了後、保存したPDFファイルを再表示してください。
その状態で、墨消ししたはずの語句を検索窓に入力して検索します。
検索にヒットしないことだけでは、情報を削除できたと判断できません。画像内の文字、メタデータ、コメント、添付ファイルなどは、本文の検索とは別に確認します。
編集中の画面ではなく、保存・出力後のファイルを再度開いて確認することが重要です。
白塗りの手順はこちらです。

送る直前に行う4項目
作業したファイルではなく、これから実際に添付するファイルを開いて確認してください。
- 全選択してコピーし、テキストエディタに貼る(Ctrl+A → Ctrl+C → メモ帳に Ctrl+V)。隠したはずの語句が貼り付けられないかを見ます。ドラッグよりも確実です。
- Ctrl+F で語句を検索する。氏名・社名・金額・住所など、隠した語句を1つずつ検索して0件になることを確認します。
- プロパティを開く(Acrobat や Edge の PDF 表示から[文書のプロパティ])。作成者・タイトル・会社名に個人情報や社内の文書名が残っていないかを見ます。
- ファイル名と保存先を確認する。「_墨消し済み」が付いた側か、画像化後の新しいファイルかを確かめます。元ファイルと同じフォルダに置くと添付を間違えやすいので、送付用のフォルダに分けます。
4項目のうち1つでも引っかかったら、墨消しの[適用]が終わっていないか、別のファイルを見ています。
白塗りと検索だけでは確認できない情報を試す
練習用PDF・PNG・検証スクリプトをダウンロード(ZIP)。
2026年10月2日に作った架空の文字と模様で、個人情報や実務の資料は含みません。
| 練習用PDF | 本文でDEMO-SECRET-42を検索 | 残る情報 |
|---|---|---|
| source.pdf | 見つかる | 見える文字・メタデータ・添付 |
| covered.pdf | 見つかる | 表示は白塗りでも、元の文字・メタデータ・添付 |
| hidden-only.pdf | 見つからない | 文書のSubjectとdemo-note.txtに文字が残る |
| raster-new.pdf | 見つからない | この入力では元の文字層・Subject・添付を引き継いでいない |
まずcovered.pdfを開き、見えない文字が検索やコピーに残るか確かめます。
次にhidden-only.pdfを開き、本文の検索結果と文書のプロパティ、添付ファイルを別々に確認します。
架空のDEMO-SECRET-42が添付に残るため、検索結果だけを合格条件にできない例です。

raster-new.pdfは、白塗りした3ページをPopplerで描画し、画像だけからReportLabで新規作成したPDFです。
pypdfで抽出文字、元のSubject、添付、フォーム、注釈を引き継いでいないことを確認し、1ページ目を再描画して白塗り部分と公開用の文字を確認しました。
任意のPDFや任意の画像化サービスの安全性を保証する結果ではありません。
実際の提出物では全ページの画像を確認し、余白や欄外、同じ語句の別の出現箇所、コメント、添付、文書のプロパティを確認します。
画像上に読み取れる情報が残っていればOCRでも読めるため、検索に出ないことを理由に採用しません。
Acrobatの墨消しと非表示情報の削除はAdobeの公式手順を2026年10月2日に確認しています。
今回の実行確認は練習用PDFの生成・抽出・描画であり、Acrobatの画面操作は未検証です。
戻す必要があるときは元PDFから再作業できるよう、外部提出用の出力と元を分けて保管します。
あなたはどっち?利用環境に合わせた最適プラン判定フロー
PDFを渡す前の状況から順に当てはめると、必要な対応が決まります。記事内で説明しているAdobeの案内と、画像化して再PDF化する方法にもとづく目安です。
- まず、隠した場所をドラッグして文字が選択されるか、Ctrl+F(MacはCommand+F)で隠した語句が検索にヒットするかを確かめる。
- どちらかで文字が出てきたら、そのファイルはそのまま渡さない。
- Acrobat Proを使えるなら、「PDFを墨消し」の「テキストと画像を墨消し」で範囲を選び、必ず「適用」を押す。
- 社外へ渡すなら、「非表示情報を完全に削除」のトグルをオンにして、作成者名や編集日時などのメタデータも消す。
- Acrobat Proがないなら、画像化して再PDF化する無料の方法を使う。ただし文字の検索やコピーはできなくなる。
- 渡す前に、「_墨消し済み」が付いたファイルを開いて、同じ確認をもう一度行い、元ファイルを添付していないか確認する。
図形や白塗りを重ねただけでは、下の文字は消えていません。消したいデータが本当に消えたかを、渡す前に必ず確認してください。
まとめ
- 白塗りは上に四角を置いただけ。文字データはそのまま残る
- ドラッグしてコピーや検索を行えば残っているか自分で確認できる
- 完全に削除するなら墨消し。「適用」を実行して初めてデータが消去される
- 画像化する場合は描画した画像だけから新しいPDFを作り、元の文字層や添付を引き継がない。ただし全文検索はできなくなる
- パスワードや編集制限の設定では文字データ自体は消えない
白塗り自体のやり方はPDFの文章の一部を白で塗りつぶして消す方法にまとめています。
見た目を一時的に覆うだけでよい場合はそちらを、外部へ安全に配布する場合は本記事の手順を利用してください。
この記事は2026年9月9日時点のAcrobatの表示にもとづいています。
UIやメニュー表記はアップデートにより変更される場合があるため、Adobe公式ヘルプもあわせて確認してください。
よくある質問:PDFの白塗りで迷ったときのチェックリスト
白い四角を重ねれば文字は消えますか?
消えません。白い四角は「四角を置く」という指示が1つ増えるだけで、元の文字を置く指示は残っています。コピーや検索で読めてしまいます。
黒く塗る・マーカー・図形・画像を重ねても同じですか?
同じです。上に物を置いただけで、下の文字データは残ります。
墨消しで「適用」を押す前に保存するとどうなりますか?
赤い枠が付いた状態は消す場所の予約でしかありません。適用を押していないファイルは、白塗りと同じで中身が残っています。
墨消しをやり直せますか?
Adobeの案内では、一度適用すると情報は完全に削除され、復元できません。適用前の状態を残したいなら、適用する前に元ファイルを別名でコピーしておいてください。
「非表示情報を完全に削除」は何のために使いますか?
目視では確認できない情報やメタデータを一括で削除するためです。作成者名・会社名・編集日時などは本文に出てこないため、墨消しだけでは残ります。社外へ渡すなら、オンにしてください。
渡すファイルはどちらですか?
「_墨消し済み」が付いた方です。元ファイルを添付する事故が起きやすい箇所なので、ファイル名を確認してください。
