画像拡大AIを選ぶときは、元画像への近さと、見た目のくっきり感を分けて比べる必要があります。
この記事では、waifu2x と Real-ESRGAN を同じ自作画像2枚で比較した、2026年9月29日の結果を紹介します。
- 元の画像に近いのは waifu2x(cunet)。今回の2枚とも、数値でいちばん元に近かった
- 今回のReal-ESRGANの出力では、線が強調される一方、元にない模様や小さな文字の崩れが見られた
- この2枚ではwaifu2x cunetが元画像への近さで優位だが、実写写真全般での優劣は未検証
- Upscaylは画面で操作できる候補として公式仕様を紹介(この比較の実測対象外)
この記事の画像と数値は、2026年9月29日に Windows 11(AMD Radeon のグラフィックス内蔵)で、waifu2x-ncnn-vulkan(20250915版)と realesrgan-ncnn-vulkan(20220424版)を動かした結果です。
今回の更新は公式資料と掲載内容の照合で、GPU処理の再実行・数値の再集計・Upscaylの画面操作は行っていません。
比べ方
自分で作った2枚の画像(1200×900)を使いました。
「写真風」はBlenderで作ったCGであり、カメラで撮影した実写写真ではありません。
古い写真の傷、手ぶれ、ピンぼけ、JPEG圧縮などを網羅した試験ではないため、結果をあらゆる写真の復元性能へ一般化できません。
| 画像 | 中身 |
|---|---|
| 写真風 | Blender で描いたレンガの箱・猿の頭・球・床の木目と、英字の文字 |
| イラスト風 | 太い線と塗りの顔の絵と、大小の日本語の文字 |
- 元画像の縦と横をそれぞれ4分の1(300×225)に縮める
- 各ソフトで縦と横をそれぞれ4倍(1200×900)に戻す
- 元の画像とどれだけ近いかを、PSNR と SSIM という2つの数値で測る
PSNR(dB)と SSIM(1が同じ)は、どちらも大きいほど元の画像に近いという意味です。
ただし、見た目のくっきり感とは必ずしも一致しません。
表の処理時間も掲載時の環境・画像サイズでの値であり、別のGPUや大きな画像、一括処理の所要時間を保証しません。
GPUの詳細型番、ドライバー、反復回数、指標計算の細部は本記事に記載がないため、厳密な再現条件が揃ったベンチマークとしては扱わないでください。
横長の表は左右にスクロールできます。
結果(数値)
| 拡大のしかた | 写真風 PSNR | 写真風 SSIM | イラスト風 PSNR | イラスト風 SSIM | 時間(写真風) |
|---|---|---|---|---|---|
| バイキュービック(ふつうの拡大) | 33.64 | 0.9548 | 25.79 | 0.9503 | — |
| Lanczos(ふつうの拡大) | 33.84 | 0.9557 | 26.00 | 0.9492 | — |
| waifu2x cunet | 35.31 | 0.9726 | 30.77 | 0.9871 | 4.9秒 |
| waifu2x upconv_7_photo | 34.02 | 0.9685 | 29.96 | 0.9830 | 1.5秒 |
| waifu2x upconv_7_anime_style_art_rgb | 33.35 | 0.9651 | 29.26 | 0.9843 | 1.1秒 |
| Real-ESRGAN x4plus | 31.42 | 0.9466 | 26.89 | 0.9688 | 11.0秒 |
| Real-ESRGAN x4plus-anime | 31.03 | 0.9407 | 25.84 | 0.9705 | 3.3秒 |
| Real-ESRGAN animevideov3 | 32.18 | 0.9479 | 27.20 | 0.9660 | 1.1秒 |
写真風・イラスト風のどちらでも、waifu2x の cunet がいちばん元の画像に近くなりました。
Real-ESRGAN は、写真風ではふつうの拡大より PSNR が下がりました。
結果(見た目)
イラスト

線と塗りだけの絵では、waifu2x も Real-ESRGAN も、ふつうの拡大よりずっとくっきりしました。
Real-ESRGAN は線が太く濃くなり、元の絵よりはっきりして見えます。
小さな文字

小さな日本語の文字は、Real-ESRGAN では形が崩れ、別の模様のようになりました。
waifu2x は、細い線がにじむところはあるものの、おおむね読めました。
細かい模様(写真風)

縮めた画像では1つ1つのレンガが見えなくなっていたため、どのソフトも元のレンガの形は戻せませんでした。
waifu2x はぼやけたまま残し、Real-ESRGAN は元に無い筋やしわのような模様を描き足しました。
Real-ESRGAN は、失われた細部を「それらしく」描き足すので、くっきり見える代わりに、元と違う絵になることがあります。
どれを使うか
以下は今回の2枚の結果と公式仕様から考えた試用候補で、すべての画像に対する順位ではありません。
| やりたいこと | 試す候補と確認する点 |
|---|---|
| 文字の入った画像・スクリーンショット | waifu2x(cunet)を候補にし、文字の形を原本と照合する |
| イラスト・アニメ調の絵 | waifu2x(cunet)とReal-ESRGAN x4plus-animeで線の太さや塗りを比較する |
| 低解像度の写真の質感を整えたい | Real-ESRGAN x4plusを候補にし、元にない模様や顔の変化を確認する(実写での優位は未検証) |
| たくさんを速く処理したい | 今回短時間だったwaifu2x upconv_7系とReal-ESRGAN animevideov3を候補にし、実際の画像サイズとPCで比較する |
| 画面で操作したい | Upscaylのデスクトップ版(Vulkan対応GPUが必要、今回は未実測) |
使い方(コマンド)
以下は旧記事に掲載したWindows向けncnn-vulkan版のコマンド例をそのまま残したもので、今回の更新では実行していません。
配布元とオプションは、waifu2x-ncnn-vulkan公式READMEとReal-ESRGAN-ncnn-vulkan公式READMEで確認してください。
PowerShellでカレントフォルダーの実行ファイルを起動する場合は、実行ファイル名の前に.\を付けるなど、パスを指定する必要があります。
この点はMicrosoftのコマンド検索規則に基づく補足で、以下の旧コマンド自体を新環境で検証し直したものではありません。
入力画像を上書きしない別名へ出力し、モデルのフォルダーや入力ファイルの位置を確認してから試してください。
waifu2x
waifu2x-ncnn-vulkan.exe -i input.png -o output.png -n 1 -s 4 -m models-cunet| 指定 | 意味 |
|---|---|
| -n | ノイズ除去の強さ(-1〜3、初期値0) |
| -s | 倍率(1・2・4・8・16・32、初期値2) |
| -m | モデルのフォルダー(初期値 models-cunet) |
| -g | 使う GPU(-1 で CPU) |
Real-ESRGAN
realesrgan-ncnn-vulkan.exe -i input.png -o output.png -n realesrgan-x4plus -s 4| 指定 | 意味 |
|---|---|
| -n | モデル(realesr-animevideov3・realesrgan-x4plus・realesrgan-x4plus-anime・realesrnet-x4plus) |
| -s | 倍率(2・3・4、初期値4) |
| -f | 出力の形式(jpg・png・webp) |
ここで比較したncnn-vulkan版はVulkanを使う実装で、waifu2x版のREADMEにはCPUを指定する選択肢も記載されています。
旧記事での内蔵GPUによるコマンド版の動作記録は、Upscaylや別のPCでの動作保証ではありません。
Upscaylとの関係
Upscaylのデスクトップ版は、Real-ESRGANとVulkanを利用する画面操作型のアプリです。
公式READMEではVulkan対応GPUが必要で、多くの内蔵GPUやCPUでは動かないと案内されています。
同じReal-ESRGAN系でもモデルや設定が異なれば出力は変わるため、上のコマンド版の数値や処理時間をUpscaylの実測値として使わないでください。
また公式FAQは、Upscaylをピンぼけや完全にぼけた画像の補正には適さないと説明しています。
出典:Upscayl公式READMEのInstallationとFAQ。
ライセンスは、Real-ESRGAN が BSD-3-Clause、waifu2x-ncnn-vulkan が MIT、Upscayl が AGPL-3.0 です(GitHub の表示)。
参照先:Real-ESRGAN、waifu2x-ncnn-vulkan、Upscayl。
まとめ
- 元の画像に近いのは waifu2x の cunet(今回の2枚とも)
- 今回のReal-ESRGANの出力では、模様の描き足しと小さな文字の崩れが見られた
- 文字は原本と照合し、実写写真や別サイズの画像は自分の用途で比較する
- UpscaylはGUIの候補だが、この表の画質・時間の測定対象には含めていない
測定結果は2026年9月29日の旧記事掲載値を保持し、公式仕様と選定上の注意は2026年10月5日に確認しました。
