Adobe製品でスクリプトを実行するための専用ツール「ExtendScript Toolkit(ESTK)」の基本的な使い方や、よく使う記述をまとめました。
ExtendScriptでAdobeアプリの操作を自動化したいデザイナーや、スクリプト開発を始めたい方向けに解説します。
ExtendScriptはAdobe製品を自動化するスクリプト言語です。
- 専用エディタESTKはmacOS 10.15以降で動きません。
- 後継としてVS Code用ExtendScript Debuggerがあります。
- Photoshopのファイルメニューから直接スクリプトを実行できます。
ExtendScript Toolkit(ESTK)とは
ExtendScript Toolkit(ESTK)は、Adobe製品向けスクリプトの開発・実行・デバッグを行える専用エディタです。
ExtendScript Toolkitは今も使えるか
ExtendScript Toolkitは32ビットのアプリケーションです。
macOS 10.15 Catalina以降の環境では起動しません。
Photoshopの開発者向けドキュメントには、ESTKはもう保守されていないと書かれています。
主な特徴
- JavaScript(ECMAScript 3準拠)ベースのExtendScript言語を使用
- 各Adobe製品の操作を自動化可能
- ブレークポイントによるデバッグ機能、コンソール出力、変数確認パネルを搭載
※現在のJavaScript(ES6以降)の文法(letやconst、アロー関数など)はそのままでは動作しないため、ES3準拠の記法で記述する必要があります。
ESTKでスクリプトを実行できるAdobe製品
ESTK上部のドロップダウンメニューから対象として選択できる主なアプリケーションです。
- Adobe Photoshop
- Adobe Illustrator
- Adobe InDesign
- Adobe After Effects
- Adobe Premiere Pro
- Adobe Audition
- Adobe Media Encoder
- Adobe Bridge
- Adobe Encore など
ExtendScript Toolkitの学習におすすめの書籍
ExtendScriptの基本を体系的に学びたい方向けの参考書です。
『ESTK基本編』は2014年刊行・CS6をベースにした内容のため、手元のAdobe環境や目次を確認したうえで活用してください。
ExtendScript Toolkitの入手方法
ESTKのインストーラーはCreative Cloudデスクトップアプリの通常一覧には表示されない場合があります。
入手先のリンクは下記を参照してください。
| 観点 | ExtendScript Toolkit | ExtendScript Debugger |
|---|---|---|
| 形態 | 単体のアプリ | VS Codeの拡張機能 |
| Adobeの保守 | 終了 | 続いている |
| macOS 10.15以降 | 起動しない | VS Code上で動く |
| JSXBINへの書き出し | できる | できる |
ESTKの代わりはVS Codeの「ExtendScript Debugger」
Adobeは後継としてVisual Studio Codeの拡張機能を提供しています。
名称はExtendScript Debuggerです。
ブレークポイントの設定や変数の確認が行えます。
スクリプトの実行やJSXBINへの書き出しにも対応します。
利用にはVS Code 1.62以降が必要です。
ESTKとExtendScript Debuggerを同時にアプリへつなぐと、デバッガが正しく動かなくなるので、どちらか片方だけを使います。
VS Codeでの環境の作り方は、ExtendScript│Visual Studio Codeでの開発環境構築ガイドで手順を画面つきで紹介しています。
ExtendScript Toolkitの各パネルの役割


| パネル名 | 役割と機能 |
|---|---|
| エディタ | スクリプトを記述・編集する領域 |
| JavaScriptコンソール | $.writeln() などのログ出力や、対話形式でのコード実行結果が表示される |
| データブラウザ | ブレークポイントで処理を一時停止している間の変数やプロパティの確認が可能。監視項目が多く重い場合は環境設定で不要な表示項目のチェックを外すと動作が軽くなります |
| オブジェクトモデルビューア | ヘルプメニューから起動でき、接続先アプリのクラス定義やメソッド、プロパティの仕様を検索・確認できるリファレンスツール |
よく使うExtendScriptの基本コード
alert(ダイアログ表示)
alert("Hello World!"); //ダイアログ表示writeln(コンソール出力)
$.writeln(hoge);$.bp(ブレークポイント設定)
$.bp();コード内にブレークポイントを記述するほか、エディタ左側の行番号付近をクリックしてブレークポイントマーカー(赤丸)をセットして一時停止させることも可能です。
#target(対象アプリケーションの指定)
#target photoshop-110 // Adobe Photoshop CC 2017
頻出処理を関数化して共通ライブラリにする方法
例えば writeln() を短い関数名 w() として定義しておくと、ログ出力の記述を簡略化できます。
function w(message) {
$.writeln(message);
}共通関数をまとめたファイルを common.jsx として保存し、各スクリプトの先頭で読み込めば、共通のユーティリティ関数を再利用できます。
#include "C:/Users/min/Desktop/common.jsx";
w('テスト');
Photoshopの具体的な操作自動化については、下記のまとめ記事を参照してください。

Visual Studio CodeとExtendScript Debugger拡張機能を用いた開発環境の構築手順はこちらです。

PythonからAdobe製品を操作する方法はこちらです。

ExtendScriptの開発環境は、ほかにも書いています。



ESTKを使わずにPhotoshopでスクリプトを実行する
専用エディタが無くてもスクリプトを実行できます。
[ファイル]→[スクリプト]→[参照]を選び、実行する .jsx ファイルを指定します。
Photoshop 23.5以降では、新しい形式のUXPスクリプト(拡張子 .psjs)も同じ方法で実行できます。
ExtendScriptは今後も使えるか(UXPとの関係)
Adobeは、PhotoshopからExtendScriptのサポートを外す予定は今のところないと書いています。
パネル型の拡張機能(CEP)はUXPへ移り、2029年12月以降はどのアプリにも入らなくなります。
ExtendScriptのスクリプトは、この移行の影響を受けないと発表されています。
まとめ
ExtendScript Toolkit(ESTK)は、Adobe製品の繰り返し作業を自動化するスクリプトの開発・検証に役立つツールです。
日常の定型作業から小さくスクリプト化していくことで、作業時間を大幅に短縮できます。
デザイナーがスクリプトやプログラムを学ぶと、作業の効率化だけでなく、開発チームとの連携や仕様理解にも大きく役立ちます。
まずは簡単なログ出力や既存コードの実行から試し、必要な自動化ツールを段階的に作成してみてください。
ExtendScript Toolkit(ESTK)は32bitアプリで、Adobeは後継としてVisual Studio Codeの拡張機能「ExtendScript Debugger」を案内しています。
新しいmacOSでは動かない場合があるので、これから始めるならVS Code側を検討してください。
よくある質問:ExtendScript Toolkit(ESTK)の基本
ExtendScript Toolkit(ESTK)とは、何ですか?
Adobe製品向けスクリプトの開発・実行・デバッグを行える専用エディターです。ExtendScriptは、Adobe製品を自動化するスクリプト言語です。
ESTKは、今も使えますか?
ESTKは32ビットのアプリケーションで、macOS 10.15 Catalina以降の環境では起動しません。記事では、専用エディターのESTKはmacOS 10.15以降で動かず、後継として、VS Code用のExtendScript Debuggerがあるとしています。Adobeの保守終了については、ESTKとExtendScript Debuggerの比較表で整理されています。
ESTKで、スクリプトを実行できるAdobe製品は?
ESTK上部のドロップダウンメニューから、対象として選択できる主なアプリケーションは、Adobe Photoshop、Illustrator、InDesign、After Effects、Premiere Pro、Audition、Media Encoder、Bridge、Encoreなどです。
ESTKは、どこから入手しますか?
ESTKのインストーラーは、Creative Cloudデスクトップアプリの通常一覧には表示されない場合があります。入手先のリンクは、記事内の案内を参照してください。
ESTKの代わりに、何を使えばよいですか?
Adobeは後継として、Visual Studio Codeの拡張機能「ExtendScript Debugger」を提供しています。ブレークポイントの設定や変数の確認が行え、スクリプトの実行やJSXBINへの書き出しにも対応します。利用にはVS Code 1.62以降が必要です。ESTKとExtendScript Debuggerを同時にアプリへつなぐと、デバッガーが正しく動かなくなるので、どちらか片方だけを使います。VS Codeでの環境の作り方は、記事の案内にある「ExtendScript│Visual Studio Codeでの開発環境構築ガイド」で紹介されています。
ESTKの各パネルは、何をするものですか?
エディターは、スクリプトを記述・編集する領域です。JavaScriptコンソールは、ログ出力や、対話形式でのコード実行結果が表示されます。データブラウザーは、ブレークポイントで処理を一時停止している間の変数やプロパティを確認できます(監視項目が多く重い場合は、環境設定で不要な表示項目のチェックを外すと動作が軽くなります)。オブジェクトモデルビューアーは、ヘルプメニューから起動でき、接続先アプリのクラス定義やメソッド、プロパティの仕様を検索・確認できるリファレンスツールです。
ESTKを使わずに、Photoshopでスクリプトを実行できますか?
できます。専用エディターが無くても、[ファイル]→[スクリプト]→[参照]を選び、実行する.jsxファイルを指定します。Photoshop 23.5以降では、新しい形式のUXPスクリプト(拡張子.psjs)も同じ方法で実行できます。
ExtendScriptは、今後も使えますか?
AdobeはPhotoshopからExtendScriptのサポートを外す予定は今のところないと書いている、としています。パネル型の拡張機能(CEP)はUXPへ移り、2029年12月以降はどのアプリにも入らなくなりますが、ExtendScriptのスクリプトは、この移行の影響を受けないと発表されています。なお、書籍『ESTK基本編』は2014年刊行・CS6をベースにした内容のため、手元のAdobe環境や目次を確認したうえで活用してください。最新はAdobe公式の情報で確認してください。
