QuestでPCのVRを遊ぶとき、ケーブルで繋ぐか、Wi-Fiで飛ばすかを選ぶ。
どちらでも遊べるが、遅延の出どころが違うため、詰められる場所も違う。
ここでは、遅延がどこで生まれるかと、公式が挙げている条件と設定を整理する。
内容は2026年9月20日にMetaとValveの公開ヘルプを確認したもので、実機での測定は含まない。
遅延はどこで生まれるか
QuestでPCのVRを遊ぶとき、映像はPCで作られ、ヘッドセットで映される。
その間に、いくつかの工程が挟まる。
| 工程 | どこで起きるか | 効く条件 |
|---|---|---|
| 映像を作る | PCのGPU | GPUの性能 |
| 映像を圧縮する | PCのGPU | 圧縮の回路があるか |
| 送る | ケーブルまたはWi-Fi | 帯域と混み具合 |
| 展開する | ヘッドセット | 解像度とリフレッシュレート |
| 映す | ヘッドセットの画面 | — |
有線と無線で変わるのは、3番目の「送る」だけである。
そのため、有線にしても圧縮と展開の分は残る。
ケーブルにしたのに軽くならない、という場合はここが理由になる。
有線で使うときの条件
Metaの公開ヘルプでは、有線での接続にはケーブルの条件が挙げられている。
5Gbps以上に対応したUSB-C 3.2のケーブルが必要になる。
PC側も、USB 3.0のポートへ挿す。
- 充電しかできないケーブルでは使えない
- USB 2.0のポートでは速度が足りない
- 延長するとデータの速度が落ちることがある
ケーブルの見た目からは、データに対応しているかが分からない。
手持ちのもので試して繋がらない場合、まずケーブルを疑う。
無線で使うときの条件
Metaの公開ヘルプでは、無線での接続にはWi-Fiが必要で、5GHzが推奨と書かれている。
Valveの公開ヘルプでは、Steam Linkの条件がもう少し細かく挙げられている。
| 項目 | 最小 | 推奨 |
|---|---|---|
| 無線ルーター | 5GHzの帯域、Wi-Fi 5 | Wi-Fi 6 または 6E |
| GPU(NVIDIA) | GTX 970以上 | RTX 2070以上 |
| GPU(AMD) | RX 570以上 | — |
| メモリ | — | 16GB |
| Questのバージョン | v74以降 | — |
AMDのRX 6400と6500 XTは、対応しないものとして名指しで除かれている。
理由として、ハードウェアでの圧縮を持たないことが挙げられている。
無線では圧縮が要るため、この工程を持たないGPUでは成立しない。
無線で詰められる項目
Valveの公開ヘルプに、性能が出ないときの項目が並んでいる。
無線を選ぶなら、ここを揃えておく。
PCとルーターの間は有線にする
Valveの説明では、PCとルーターの間はギガビット以上の有線で繋ぐよう書かれている。
そして、PCを無線で繋ぐことは勧められない、とされている。
接続が切れたり、遅延が出たりする原因になる。
つまり、無線にするのはヘッドセットとルーターの間だけにする。
電波の条件を揃える
- 5GHz以上の帯域を使う
- チャンネル幅を80MHzか160MHzにする(20MHzと40MHzでは問題が出ることがある)
- ルーターのチャンネルを変えてみる
- ルーターに繋がっている他の機器を外して様子を見る
- ルーターの近くへ寄ってみる
- 周りのWi-Fiが多い場所なら、ルーターの置き場所を変える
チャンネル幅は見落としやすい項目である。
初期設定のままだと、狭い幅になっていることがある。
対応していない構成がある
| 構成 | 扱い |
|---|---|
| メッシュのネットワーク | 正式には対応していない |
| 同じSSIDのアクセスポイントが複数ある | 対応していない |
| 同じチャンネルのアクセスポイントが複数ある | 対応していない |
| ゲスト用のSSID | 繋がらない |
家の中にメッシュを入れている場合、遅延の原因がそこにあることがある。
どうしても使うなら、PCを使いたいノードに繋ぎ、ヘッドセットをそのアクセスポイントに固定する。
設定を触る
- 帯域の設定は手動ではなくAutoにする(揺れを避けるために調整される)
- エンコード幅を1280未満にする(それ以上を90Hzで展開できないヘッドセットが多い)
- OBSやDiscordを使うなら、そちら側をソフトウェアでの圧縮にする
- GPUのドライバーを最新にする
3番目は、配信しながら遊ぶ場合に効く。
録画ソフトがGPUの圧縮の回路を先に使ってしまうと、VR側へ回らなくなる。
NVIDIAのドライバーについては、546.29より古い版で既知の問題があると書かれている。
どちらを選ぶか
| 条件 | 向いているほう |
|---|---|
| ルーターがWi-Fi 5より古い | 有線 |
| 家がメッシュで組まれている | 有線 |
| PCを無線で繋いでいて、有線にできない | 有線 |
| 体を大きく動かすゲームをする | 無線 |
| 配信や録画を同時にする | 有線(圧縮の取り合いを避ける) |
| ヘッドセットの重さを減らしたい | 無線 |
無線にするなら、ルーターとPCの間を有線にするところまでが前提になる。
そこを飛ばすと、ヘッドセット側をいくら調整しても揃わない。
まとめ
- 有線と無線で変わるのは、映像を送る工程だけ
- 圧縮と展開の分は、有線にしても残る
- 有線には5Gbps以上のUSB-C 3.2ケーブルが要る
- 無線は5GHz・Wi-Fi 5が最小で、Wi-Fi 6以上が推奨
- PCとルーターの間はギガビット以上の有線にする
- メッシュと、同じSSIDが複数ある構成は対応外
- チャンネル幅は80MHzか160MHzにする
この記事は2026年9月20日時点の公開ヘルプの記載に基づいている。
手元の機材での測定は行っていないため、数値は条件として挙げられているものである。
ケーブルとWi-Fiの条件はMeta公式のヘルプにある。
無線の条件と設定はSteam公式のSteam Link For Meta, HTC and PICO Headsetsにまとまっている。
繋がらない場合の切り分けはQuestでSteamVRに接続できないときの切り分けに書いた。
VRの話はVRメソッドのまとめにも置いている。

