DaVinci Resolveで再生が重いとき、軽くする仕組みは1つではない。
名前が似ているものが並んでいるため、どれを触ればよいのか分かりにくい。
ここでは、4つの違いと、どの場面でどれを使うのかを整理する。
内容は2026年9月20日にBlackmagic Designの公式リファレンスマニュアル(DaVinci Resolve 20)を確認したもので、実機での再現は含まない。
4つの仕組みがある
| 仕組み | 何をするか | ファイルができるか |
|---|---|---|
| タイムラインプロキシモード | その場でタイムラインの解像度を下げる | できない |
| レンダーキャッシュ | 重い効果を付けたクリップを先に計算しておく | できる(外に出せない) |
| 最適化メディア | 扱いやすい形式の複製を作る | できる(外に出せない) |
| プロキシメディア | 扱いやすい形式の複製を作る | できる(持ち出せる) |
下の2つは、どちらも「軽い複製を作る」という点で同じに見える。
違いは、その複製を外へ持ち出せるかどうかにある。
プロキシと最適化メディアの違い
公式マニュアルでは、この2つが似て見えることを認めたうえで、違いが説明されている。
最適化メディアはDaVinci Resolveの中で管理され、書き出すことができず、ユーザーからは触れない。
これに対して、プロキシメディアは完全に持ち運べて独立しており、ユーザーが管理できる。
| 項目 | 最適化メディア | プロキシメディア |
|---|---|---|
| 管理する主体 | DaVinci Resolveの中 | 使う人 |
| 書き出し | できない | できる |
| 別のPCへ持ち出す | できない | できる |
| 外部のソフトで作る | できない | できる |
1台のPCだけで完結する作業なら、最適化メディアで足りる。
他の人へ渡す、別の場所で続きをする場合は、プロキシメディアになる。
レンダーキャッシュは目的が違う
公式マニュアルでは、プロキシメディアは編集を始める前に扱いやすい素材を用意するもの、と説明されている。
一方、レンダーキャッシュは、重い処理を付けたクリップの再生を良くするためのものである。
挙げられている例は、Resolve FX、カラーコレクション、ノイズリダクション、コンパウンドクリップ、Fusionのコンポジションである。
そして、レンダーキャッシュのメディアは、外へ動かしたり外部から触ったりする想定で作られていない。
作られたプロジェクトの中でだけ働く。
タイムラインプロキシモードはファイルを作らない
名前にプロキシと付いているが、プロキシメディアとは別の機能である。
公式マニュアルには、両者はまったく別の機能で、互いに関係が無いと書かれている。
こちらは、ディスクに実体を作らず、その場でタイムラインの解像度を下げる。
再生 > タイムラインプロキシ解像度 から、1/2、1/4、なし を選ぶ。
| プロキシ解像度 | 幅 | 高さ |
|---|---|---|
| フル 8K UHD | 7680 | 4320 |
| フル UHD/8K UHDの1/2 | 3840 | 2160 |
| フルHD/UHDの1/2/8K UHDの1/4 | 1920 | 1080 |
| HDの1/2/UHDの1/4/8K UHDの1/8 | 960 | 540 |
| HDの1/4/UHDの1/8/8K UHDの1/16 | 480 | 270 |
待ち時間なしで効くため、少しだけ足りないときに向く。
どれを使うか
公式マニュアルに、場面ごとの早見が載っている。
| いまの状態 | 使うもの |
|---|---|
| タイムラインの再生が、少しだけ遅い | タイムラインプロキシモード |
| 重い効果を付けた数本のクリップが再生できない | キャッシュクリップ |
| 素材全部が重く、このPCだけで編集する | 最適化メディア |
| 素材全部が重く、他の人や場所と共有する | プロキシメディア |
同時に使うこともできる。
公式マニュアルでは、どちらか一方を選ぶものではない、と書かれている。
たとえば、rawの素材から最適化メディアを作り、タイムラインプロキシモードを有効にして、カラーページではスマートキャッシュを使う、という重ね方が例として挙げられている。
プロキシメディアの作り方
先に、作られるファイルの中身を決める。
設定は、プロジェクト設定のマスター設定の中の「最適化メディア&レンダーキャッシュ」にある。
| 設定 | 決めること |
|---|---|
| プロキシメディアの解像度 | オリジナル、1/2、1/4、1/8、1/16、自動で選択 |
| プロキシメディアのフォーマット | ProResやDNxHRの各種、H.264、H.265 |
「自動で選択」は、いまのタイムライン解像度より大きいものだけを下げる動きになる。
形式は、目的で分かれる。
- 画質を保ったままrawの再生を良くしたい:ProRes 422 HQ や DNxHR HQX
- インターネットで他の編集者へ送りたい:ProRes Proxy、H.264、H.265
決めたら、作る。
- メディアプールで、作りたいクリップをすべて選ぶ
- 選んだクリップを右クリックして「プロキシメディアを生成」を選ぶ
公式マニュアルには注記があり、音声が別ファイルとして同期されているクリップの場合、その音声はプロキシの映像の中に埋め込まれる。
別のファイルとしては作られない。
どこに作られるか
プロキシは、マスター設定の作業フォルダーの中にある「プロキシ生成の場所」に作られる。
さらに、元のクリップの場所ごとにサブフォルダーへ分けられる。
公式マニュアルでは、このドライブに十分な空きがあることが大切だと書かれている。
作ったあとなら、別のドライブへ移して繋ぎ直すこともできる。
別の場所で続きをする
プロキシを選ぶ理由の多くは、持ち出せることにある。
公式マニュアルには、プロキシだけをまとめて書き出す方法が載っている。
- プロジェクト設定で、プロキシの解像度と形式を決める
- メディアプールで素材をすべて選び、プロキシメディアを生成する
- プロジェクトマネージャーでプロジェクトを右クリックし、「プロジェクトアーカイブを書き出し」を選ぶ
- アーカイブの設定で、プロキシメディアだけにチェックを入れる
- メディアファイルとレンダーキャッシュのチェックを外す
こうすると、プロキシだけを含む小さなアーカイブができる。
公式マニュアルによれば、プロキシが無いクリップについては、オフラインにならないよう元のメディアが自動で書き出される。
できあがるのはフォルダーで、ドライブ間で移したり、圧縮して送ったりできる。
それでも足りないとき
公式マニュアルには、作業中の画質を下げる代わりに再生を良くする設定が挙げられている。
書き出す前に戻す前提のものになる。
| 設定 | 場所 | 効き方 |
|---|---|---|
| タイムライン解像度を下げる | マスター設定のタイムラインフォーマット | 処理するデータの量が減る |
| ビデオフィールド処理を切る | 同上 | インターレース素材でも切れる |
| ビデオのビット深度を8bitにする | ビデオモニタリング | バンディングが出ることがある |
| リサイズフィルターを変える | イメージスケーリング | 処理の軽いフィルターにする |
| UIのオーバーレイを隠す | 環境設定の再生設定 | 再生中の表示を消す |
戻し忘れを防ぐ仕組みもある。
デリバーページのレンダー設定に「サイズ調整を最高画質で強制」というチェックがある。
rawのデコード画質を下げている場合は「デベイヤー解像度を最高画質に強制」を使う。
まとめ
- 軽くする仕組みは4つあり、名前が似ているが別のもの
- 最適化メディアは中で管理され、書き出せず、持ち出せない
- プロキシメディアは持ち運べて、外部のソフトでも作れる
- レンダーキャッシュは重い効果のためのもので、プロジェクトの外では働かない
- タイムラインプロキシモードはファイルを作らず、その場で解像度を下げる
- 他の人と共有するならプロキシ、このPCだけなら最適化メディア
この記事は2026年9月20日時点の公式リファレンスマニュアルの記載に基づいている。
該当するのは、Setup and Workflows の第8章「Improving Performance, Proxies, and the Render Cache」である。
マニュアルはBlackmagic Design公式のサポートページから入手できる。
必要なPCの性能はDaVinci Resolveの推奨スペックにまとめている。
動画編集の話は動画編集メソッドのまとめにも置いている。
