編集を進めるほど音が映像より先に、または後ろにずれていく。
切った覚えも動かした覚えもないのにずれる場合、編集の操作ではなく素材の性質が原因のことがある。
ここでは、可変フレームレートという性質と、その調べ方、直し方を整理する。
内容は2026年9月20日にAdobeの公開資料を確認したもので、実機での再現は含まない。
可変フレームレートとは
Adobeの資料では、メディアファイルのフレームレートが時間とともに変わることを指す言葉として説明されている。
圧縮の度合いを保つため、または撮影や録画のときの性能を良くするために行われる。
例として挙げられているのは次のものである。
- スマートフォンで撮った映像
- ウェブカメラの映像
- NVIDIA ShadowPlayのようなゲームの録画ソフト
- OBS Studioのような画面録画のソフト
つまり、カメラで撮ったものより、手元の機器で録ったものに多い。
1秒あたりの枚数が場面によって変わるため、一定の速さで進む音と合わなくなる。
最初は合っていて、後半になるほど開くのはこのためである。
素材が可変かどうかを調べる
先に、その素材が可変かどうかを確かめる。
Adobeの資料では、2つの調べ方が案内されている。
Premiere Proで見る
- 素材をPremiere Proに読み込む
- プロジェクトパネルでその素材を右クリックしてプロパティを選ぶ
- プロパティのパネルに「Variable Frame Rate Detected」と出るかを見る
この表示が出れば、可変フレームレートである。
MediaInfoで見る
もう1つは、MediaInfoという無料のソフトで見る方法である。
- MediaInfoでファイルを開く
- Viewからツリー表示を選ぶ
- Videoの中のFrame Rate Modeを見る
ここがVariableになっていれば、可変フレームレートになる。
このとき、最小と最大のフレームレートの値も出る。
この2つの差が大きいほど、扱いにくい素材になる。
Premiere Proの中で合わせる
Adobeの資料では、音ズレに対応するための設定が案内されている。
- プロジェクトパネルから、その素材をソースモニターで開く
- エフェクトコントロールのパネルに切り替える
- MPEG Source の設定を見る
ここに、2つの選択肢がある。
| 設定 | 何をするか | 代わりに起きること |
|---|---|---|
| Preserve Audio Sync | 音と映像が合うようにデコードする | 映像のフレームを足したり落としたりするため、動きが滑らかでなくなることがある |
| Smooth Video Motion | 素材にあるフレームをすべてデコードする | 音と映像を合わせようとしない |
音のある可変フレームレートの素材では、Preserve Audio Syncが既定になる。
音が検出されない場合は、Smooth Video Motionが既定になる。
モーショングラフィックスの作業で、あるフレームをすべて使いたい場合はこちらを選ぶ、と説明されている。
それでも合わないとき
Adobeの資料には、この設定が意図どおりに働かない場合があると注記されている。
理由として挙げられているのは、最小と最大のフレームレートの差が大きいことである。
その場合は、固定フレームレートへ変換してから使うことが勧められている。
変換に使うソフトとして、Shutter EncoderとHandbrakeが挙げられている。
Media Encoderでも変換できるファイルはあるが、読み込めないファイルについては上の2つを使うよう案内されている。
先に変換したほうがよい場合
Adobeの資料には、制限として2つ挙げられている。
- プロキシ、統合、トランスコードの作業を使う予定があるなら、編集を始める前に固定フレームレートへ変換したほうがよい
- 以前の版で手作業で同期させた素材は、新しい版でプロジェクトを開いたときに同期をやり直す必要がある
1つ目は、あとから効いてくる話になる。
編集の途中でプロキシを作り始めると、そこで改めてずれることになる。
可変だと分かった時点で変換しておくほうが、やり直しが少ない。
フレームレートの解釈を変えるのは別の話
フレームレートに関する設定として、フッテージを変換という機能がある。
これは可変フレームレートの対処ではなく、素材のフレームレートをどう解釈するかを変えるものである。
- プロジェクトパネルで素材を右クリックする
- 変更 > フッテージを変換 を選ぶ
- 「このフレームレートを仮定」を選び、値を入れる
- デュレーションの欄で長さの変化を見る
- OKを押す
公式の説明では、フレームレートを変えると映像だけでなく音も変わる。
そして、元の長さが比例して変わる。
例として、10秒の24fpsのクリップを48fpsにすると、長さが半分の5秒になると書かれている。
音ズレを直すつもりでこれを使うと、素材の長さそのものが変わってしまう。
確かめる順番
- プロパティで「Variable Frame Rate Detected」が出るかを見る
- 出ないなら、音ズレの原因は別にある
- 出たら、MPEG Source の設定を見る
- Preserve Audio Sync になっているかを確かめる
- それでも合わないなら、MediaInfoで最小と最大の差を見る
- 差が大きいなら、固定フレームレートへ変換してから読み込み直す
2番目で止まる場合、音声トラックを動かしてしまった、素材の同期を取り違えた、といった別の原因になる。
先にここで分けておくと、無駄な変換をせずに済む。
録る側で避ける
毎回変換するより、録る時点で固定にできるなら、そのほうが早い。
- 画面録画のソフトに固定フレームレートの設定があれば、そちらにする
- 録画のフレームレートを、編集で使う値に合わせておく
- 長く録るものほど、ずれが積み上がるので先に決める
録画ソフトが可変にするのは、負荷が上がったときにコマを落として止まらないようにするためである。
固定にすると、その分だけPCの余力が要る。
まとめ
- 後半ほど開いていく音ズレは、可変フレームレートを疑う
- スマートフォン、ウェブカメラ、ゲームや画面の録画ソフトに多い
- プロパティに「Variable Frame Rate Detected」と出るかで分かる
- MPEG Source の Preserve Audio Sync が、音を合わせる側の設定
- Smooth Video Motion は、合わせずにフレームをすべて使う側
- 差が大きい素材は、固定フレームレートへ変換してから使う
- フッテージを変換は別の機能で、長さそのものが変わる
この記事は2026年9月20日時点で公開されている資料の記載に基づいている。
可変フレームレートについての記載は、Adobeのコミュニティに社員がFAQとして掲載しているものを参照した。
可変フレームレートの扱いはAdobeコミュニティのFAQにまとまっている。
フッテージを変換の仕様はAdobe公式のクリップのフレームレートを変更するにある。
プロキシの考え方はDaVinci Resolveのプロキシと最適化メディアの違いにも書いた。
動画編集の話は動画編集メソッドのまとめにも置いている。
