Illustratorのスクリプトは、繰り返しの作業を自動にする小さなプログラムです。
拡張子が .jsx のファイルに、JavaScript(ExtendScript)で書きます。
- 実行:「ファイル」→「スクリプト」→「その他のスクリプト」でファイルを選ぶ
- メニューに出したい:Illustratorのスクリプト用のフォルダーに入れて、起動し直す
- 書く道具:VS Code と Adobe の拡張機能「ExtendScript Debugger」
- 書く言語:ExtendScript(古い JavaScript。let や => は使えない)
この記事は、Adobe公式ヘルプ「Install and run scripts」(2025年10月27日更新、2026年9月29日に確認)にもとづいています。
2026年10月16日に、Windows 11 Pro(10.0.26200)上のIllustrator 30.8.2で、メモ帳で保存した下のサンプルを「その他のスクリプト」から実行し、結果を確かめました。
スクリプト用のフォルダーへのコピーと起動し直した後のメニュー表示、VS Code からの実行は確かめていません。
スクリプトを実行する
- Illustratorでファイルを開く
- 「ファイル」→「スクリプト」を開く
- メニューに出ているスクリプトを選ぶか、「その他のスクリプト」で .jsx ファイルを選ぶ
Illustratorには、動きを確かめられるサンプルのスクリプトも入っています。
場所は、Illustratorを入れたフォルダーの中の Scripting\Sample Scripts です。
C:\Program Files\Adobe\Adobe Illustrator <バージョン>\Scripting\Sample Scripts実行したときの警告
公式ヘルプによると、フォルダーの外のスクリプトを実行すると、うっかり実行するのを防ぐための警告が出ます。
2026年10月16日の確認では、作業用のフォルダーに置いたスクリプトを「その他のスクリプト」から実行した範囲で、この警告は出ませんでした。
ダブルクリックでの起動や、インターネットから入手したファイルなど、ほかの条件で警告が出るかは確かめていません。
公式ヘルプには、次の1行を書いた .jsx を実行すると警告を出さなくできる、と書かれています。
app.preferences.setBooleanPreference("ShowExternalJSXWarning", false)ただし公式ヘルプは、警告を消すのは勧められず安全でもない方法だと注意しています。
知らない人からもらったスクリプトを実行する前には、中身を読んでください。
メニューに出す(スクリプトの置き場所)
毎回ファイルを選ぶのが面倒なら、Illustratorのスクリプト用のフォルダーに入れます。
Windowsの日本語版では、次の場所です。
C:\Program Files\Adobe\Adobe Illustrator <バージョン>\Presets\ja_JP\スクリプト公式ヘルプによると、入れたら Illustrator を起動し直すと、「ファイル」→「スクリプト」のメニューに名前が出ます。
Program Files の中なので、コピーするときに管理者の許可を求められることがあります。
2026年10月16日に確かめたPC(Illustrator 30.8.2)では、このフォルダーは「Adobe Illustrator 2026」の中にあり、通常のユーザーには読み取りと実行しか許されていませんでした。
この場所へのコピーと、起動し直した後にメニューへ名前が出ることは、今回は確かめていません。
Illustratorを起動したままスクリプトを書き換えたときは、保存すれば次に実行したときから反映されます。
最初の1本を書いてみる
選んでいるオブジェクトの数を表示するスクリプトです。
// 選択ツールで選んだオブジェクトの数を表示する
if (app.documents.length === 0) {
alert("ファイルを開いてから実行してください");
} else {
var sel = app.activeDocument.selection || [];
alert("選んでいるオブジェクト:" + sel.length + "個");
}- メモ帳や VS Code に貼り付ける
- 文字コードを UTF-8 にして、count.jsx などの名前で保存する(日本語が化けるときは BOM付きの UTF-8 にする)
- Illustratorでオブジェクトを選び、「その他のスクリプト」から count.jsx を選ぶ
メモ帳で保存して実行した結果(2026年10月16日)
メモ帳 11.2607.14.0(Windows 11 Pro)に上のコードを貼り付け、「名前を付けて保存」の「エンコード」で「UTF-8」と「UTF-8 (BOM 付き)」を選び、2つのファイルに保存しました。

長方形を2個置いたファイルを開いて2個とも選び、Illustrator 30.8.2 の「ファイル」→「スクリプト」→「その他のスクリプト」から、それぞれのファイルを実行しました。
| 保存したエンコード | ファイルの先頭 | 通知の表示 |
|---|---|---|
| UTF-8 | BOMなし | 「選んでいるオブジェクト:2個」と日本語のまま表示 |
| UTF-8 (BOM 付き) | BOMあり | 同じく日本語のまま表示 |
この版と環境では、BOMの有無で通知の日本語は化けませんでした。

通知の窓の題名は「スクリプト警告」ですが、これはコードの alert が出した通知で、上で説明した実行前の警告とは別のものです。
VS Code での保存と、ほかの版や Mac での動作は確かめていません。
app は Illustrator そのもの、app.activeDocument は今開いているファイル、selection は選んでいるものの一覧です。
ExtendScript は古い JavaScript なので、var を使い、let・const・アロー関数(=>)は使いません。
VS Codeで書く
昔は ExtendScript Toolkit(ESTK)というAdobeの道具で書いていましたが、今は保守されておらず、新しいmacOSでは起動しません。
代わりに、Visual Studio Code に Adobe の拡張機能「ExtendScript Debugger」を入れて使います。
今回の確認では、VS Code から Illustrator につないで実行するところは確かめていません。
最初は、上の選択数サンプルを使って実行先を確認します。
Adobeの拡張機能を入れたら、先にIllustratorを起動し、確認用の文書を開いておきます。
VS Codeでサンプルの.jsxを開き、その編集タブを選びます。
コマンドパレットからExtendScript: Evaluate Script in Host...を実行し、対象にIllustratorを選びます。
エンジンの選択画面も出た場合は、実行対象のエンジンを選んで進めます。
選んだ編集タブの内容がIllustratorへ送られ、このサンプルでは選択数の通知が出る想定です。
Illustratorが起動していないと、この実行コマンドは失敗します。
デバッグ接続なしの単独実行ではブレークポイントは無視されるため、途中で止めたい場合はデバッグセッションを開始します。
操作の根拠はAdobe製ExtendScript Debuggerの公式説明です(2026年10月29日確認、実機再現は未確認)。
- VS Code で書いたスクリプトを、つないだ Illustrator でそのまま実行できる
- ブレークポイントで止めて、変数の中身を確かめられる
- JSXBIN(中身を読めない形)への書き出しもできる
ESTK の今の状態と代わりの道具は、ExtendScript Toolkitの使い方と基本構文で詳しく紹介しています。
VS Code の準備の手順は、PhotoshopのExtendScriptの開発環境構築ガイドと同じです。
次に読む
当サイトの Illustrator スクリプトの記事は、Illustratorスクリプト|レイヤー操作に関するスクリプトまとめなどで紹介しています。
まとめ
- 「ファイル」→「スクリプト」→「その他のスクリプト」で .jsx を実行する
- メモ帳で UTF-8 保存したサンプルは、BOMの有無にかかわらず日本語の通知が化けずに動いた(Illustrator 30.8.2、2026年10月16日)
- 日本語版なら Presets\ja_JP\スクリプト に入れると、メニューに出る
- 警告を消す方法はあるが、公式は勧めていない
- 書くなら VS Code と ExtendScript Debugger、言語は古い JavaScript
参考:Adobe「Install and run scripts」(2026年9月29日に確認)。
最初のサンプルで確認する選択状態
このカウント例は、選択ツールでオブジェクト全体を選んだ場合を対象にしています。
2026年10月16日の確認では、「選択」→「選択を解除」で何も選んでいない状態にして実行すると、長方形が2個残っていても「選んでいるオブジェクト:0個」と表示されました。

コードの || [] は、選択の一覧が null だった場合に備えて、空の一覧に置き換える書き方です。
今回の確認では、選択の一覧が null になる場面は確かめていません。
文字ツールで文字列を編集中の状態は対象に含めず、選択ツールへ切り替えて試してください。
Windows実機の版確認
2026年10月3日に、Windows 11 Pro上のIllustratorを起動し、「ヘルプ」→「Illustratorについて」で30.8.2(64-bit)と表示されることを確認しました。以下はその実画面です。掲載コードの実行結果や、Macでの動作確認を示す画像ではありません。

よくある質問:Illustratorスクリプト(jsx)の始め方
Illustratorのスクリプトとは、何ですか?
繰り返しの作業を自動にする小さなプログラムです。拡張子が .jsx のファイルに、JavaScript(ExtendScript)で書きます。
スクリプトは、どうやって実行しますか?
Illustratorでファイルを開き、「ファイル」→「スクリプト」を開きます。メニューに出ているスクリプトを選ぶか、「その他のスクリプト」で .jsx ファイルを選びます。Illustratorには、動きを確かめられるサンプルのスクリプトも入っていて、場所は、Illustratorを入れたフォルダーの中の Scripting\Sample Scripts です。
実行すると出る警告は、消してもよいですか?
公式ヘルプによると、フォルダーの外のスクリプトを実行すると、うっかり実行するのを防ぐための警告が出ます。2026年10月16日の確認では、作業用のフォルダーに置いたスクリプトを「その他のスクリプト」から実行した範囲で、この警告は出ませんでした。公式ヘルプには、特定の1行を書いた .jsx を実行すると警告を出さなくできると書かれていますが、公式ヘルプは、警告を消すのは勧められず安全でもない方法だと注意しています。知らない人からもらったスクリプトを実行する前には、中身を読んでください。
スクリプトをメニューに出すには、どうしますか?
毎回ファイルを選ぶのが面倒なら、Illustratorのスクリプト用のフォルダーに入れます。記事では、Windowsの日本語版は Presets\ja_JP\スクリプト に入れ、Illustratorを起動し直すと、「ファイル」→「スクリプト」のメニューに名前が出ると説明しています。Program Files の中なので、コピーするときに管理者の許可を求められることがあります。Illustratorを起動したままスクリプトを書き換えたときは、保存すれば次に実行したときから反映されます。この場所へのコピーと、起動し直した後の表示は、2026年10月16日の確認には含めていません。
最初の1本は、どう作ればよいですか?
選んでいるオブジェクトの数を表示するスクリプトを紹介しています。メモ帳やVS Codeに貼り付け、文字コードをUTF-8にして count.jsx などの名前で保存します(日本語が化けるときは、BOM付きのUTF-8にします)。Illustratorでオブジェクトを選び、「その他のスクリプト」から count.jsx を選びます。2026年10月16日に、Illustrator 30.8.2 でメモ帳の「UTF-8」と「UTF-8 (BOM 付き)」の両方で保存して実行し、どちらも日本語の通知が化けずに選択数が表示されました。選択ツールでオブジェクト全体を選んだ場合が対象で、何も選ばなければ0件になります。文字ツールで文字列を編集中の状態は対象に含めないため、選択ツールへ切り替えて試してください。
書くときの言語や注意点を教えてください。
ExtendScriptは古いJavaScriptなので、varを使い、let・const・アロー関数は使いません。
どのエディターで書けばよいですか?
Visual Studio Codeに、Adobeの拡張機能「ExtendScript Debugger」を入れて使う方法を紹介しています。昔はExtendScript Toolkit(ESTK)というAdobeの道具で書いていましたが、今は保守されておらず、新しいmacOSでは起動しません。VS Codeでは、つないだIllustratorでそのまま実行できる、ブレークポイントで止めて変数の中身を確かめられる、JSXBIN(中身を読めない形)への書き出しもできる、といった使い方ができます。今回、VS Code から Illustrator につないで実行するところは確かめていません。
記事は、いつの情報にもとづいていますか? 最新はどこで確認しますか?
Adobe公式ヘルプ「Install and run scripts」(2025年10月27日更新、2026年9月29日に確認)にもとづいています。Windows 11 Pro上のIllustrator 30.8.2(64-bit)で、2026年10月3日に版の表示を確認し、2026年10月16日に掲載のサンプルを「その他のスクリプト」から実行して結果を確かめました。スクリプト用のフォルダーへのコピーと起動し直した後の表示、VS Code からの実行、Macでの動作は確かめていません。バージョンによって画面やフォルダーの場所が変わることがあるため、最新はAdobe公式のヘルプで確認してください。
